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水平線ストーリー03

时间: 2020-08-01    进入日语论坛
核心提示:マギーの店は、きょうもOPEN陽《ひ》が西に傾いていた。ホノルルの街が、パイナップル色の夕陽につつまれはじめていた。僕は
(单词翻译:双击或拖选)
マギーの店は、きょうもOPEN

陽《ひ》が西に傾いていた。ホノルルの街が、パイナップル色の夕陽につつまれはじめていた。
僕は、借りているコンドミニアムのラナイ、つまりベランダで、アロハ・シャツを干していた。
持っているアロハは、みな古着《アンテイツク》なので、洗濯を人まかせにすると、すぐボロボロになってしまうのだ。必ず自分でもみ洗いをする。優しくていねいに絞る。針金を曲げてつくったようなハンガーにかける。それを、ラナイの手すりにかける。
ひと晩、サラサラしたハワイの風に当たれば、アロハは乾いて、着られるようになる。
僕は、アロハを干しながら、ホノルルの街をながめていた。
ホテルの白い建物が、夕陽の色に染まりはじめている。
すぐ前のワイキキ・ビーチ。日光浴をしている人たちの影が、かなり長くなってきた。
海を渡ってくる風も、少しひんやりとしてきた。
アロハを干しながら、マギーの店にいってみようと思った。夕食の約束までには、かなり時間がある。ちょうどいい。僕は、アロハを干し終わると、ショートパンツ、ゴムゾウリのスタイルで部屋を出た。ホノルルの街に歩き出した。
      □
 街は、そろそろ夜に向けての準備に入っていた。
ビーチ帰りの人たちは、丸めた中国ゴザをかかえ、ちょっと疲れた足どりで自分たちのホテルに向かう。シャワーを浴び、着がえた観光客たちも、ちらほらといた。男はパリッとした新品のアロハ。女は同じ柄のムームーを着て、夕食前の一杯を飲みに、ゆっくりと歩いていく。
そんなホノルルの街角を歩きながら、僕は思い返していた。マギーの店にいくようになって、もう5年にはなるだろう。
      □
 マギーの店は、古着屋だった。
アンティックのアロハが専門だ。同じ古着屋でも、〈ベイリーズ〉のように女物のドレスやアクセサリーを置いてある店もある。けれど、マギーの店〈パイナップル・カンパニー〉は、アロハ・シャツしか置いてなかった。
はじめて僕がいったのは、約5年前。CFのロケでホノルルにきていた時だ。クヒオ|通り《アベニユー》の裏通りを歩いていて、偶然に見つけた。ごく普通の一軒家にちょっと手を加えた店だった。〈アンティック・アロハ パイナップル・カンパニー〉と描かれた木の看板が風に揺れていた。通りに面した出窓の中に1枚のアンティック・アロハが飾ってあった。
僕は階段を3、4段上り、木のドアを押して店に入った。まだオープンしてすぐらしく、ダンボール箱がすみに積んであった。ずらっと並んでいるハンガーの、半分にしかアロハがかかっていない。そして、簡単なレジのとなりで、金髪の女性がアロハを修理していた。彼女は僕に、ニコリと微笑《わら》いかけ、
「まだ、商品を全部出していないんだけど、自由に見て」
と言った。積まれているダンボール箱を眼でさして見せた。
「オープンしたばかり?」
「そうなの。ハワイのほかの島やカリフォルニアから、アンティックを集めてきたんだけど、まだ整理もできなくて、修理も……」
と彼女。手にしている破れたアロハをながめた。
彼女はマギーと名のり、僕も自分の名前を言った。握手をした。マギーは、20代の半ばだろうか。ちょっとブラウンがかった金髪。薄いブルーの瞳《ひとみ》。アンティック・アロハを着て、ショートパンツをはいていた。
彼女は、ハワイ生まれハワイ育ちだと言った。よくビーチにいくらしく、きれいに陽灼《ひや》けしていた。フランスパン色の長い脚に、Kスイスのテニスシューズがよく似合っていた。
その日、僕は2枚のアンティック・アロハを買って帰った。
以来、マギーの店にはよく顔を出すようになった。ホノルルにくると必ずいく。長く滞在するときは、週に1回はのぞいてみた。彼女はいつも、針と糸で、アンティック・アロハを修理していた。アロハに合った色の糸で、ていねいにていねいに、シャツのほころびをつくろっていた。
マギーに恋人ができたことに気づいたのは、2年ぐらい前だった。
夕方。ぼくが店にいると、男が入ってきた。年齢は20代の後半。白人。きちっとした身なりをしていた。マギーと短くキスをかわす。奥の部屋に入っていった。
「恋人?」
ときく僕に、マギーは微笑《ほほえ》み、うなずいた。
彼の名前はエリック。ロス・アンゼルスに本社があるレンタカー会社の社員で、ハワイに転勤になったのだと言った。
エリックは、会社が終わる夕方になると、マギーの店にやってきた。きさくな男で、僕らは何回か一緒にレストランにいったりした。
      □
 あい変わらず、マギーはアロハの修理をしていた。僕が店に入っていくと、頭を上げ、ニコリと白い歯を見せた。
「ひさしぶり」
「日本での仕事が忙しかったんだ」
僕は言った。ハンガーにかかっているアロハを、ゆっくりと見はじめた。
      □
「エリックは?」
僕はきいた。そろそろ、仕事を終えたエリックがやってくる時間だった。
「こないの」
マギーは言った。手を動かしながら、ぽつりぽつりと話しはじめた。エリックと仲たがいしたこと。ちょっとした仲たがい、がこじれて、決定的な別れになってしまったこと。
そして、エリックはロスに帰ったということ。マギーはゆっくりと話してくれた。
「アロハを修理するのには慣れてるけど、男と女の仲を修理するのはヘタだったのよね」
とマギー。カラリと言った。
「でも、とにかく、お店はがんばるわ」
僕は、うなずいた。
店のラジオから、きき慣れた曲が流れていた。〈Honolulu《ホノルル》 Citylights《シテイライツ》〉。ハワイのローカル・ヒットだ。この美しい街から、立ち去るのは難しい……。男のコーラスが、ちょっと皮肉な内容の詞を唄《うた》っていた。
僕は、アロハを1枚買うとマギーの店を出た。ゆっくりと歩く。カラッと乾いた風が、クヒオ|通り《アベニユー》を渡っていく。ホノルルの街に、たそがれが迫っていた。
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