日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

水平線ストーリー07

时间: 2020-08-01    进入日语论坛
核心提示:貝殻《シエル》ジンジャーの花引っ越しの手伝いをしてくれないか。モデルのヒロコにそう頼まれたのは、確か土曜の午後。撮影地を
(单词翻译:双击或拖选)
貝殻《シエル》ジンジャーの花

引っ越しの手伝いをしてくれないか。
モデルのヒロコにそう頼まれたのは、確か土曜の午後。撮影地をヴァンで移動しているときだった。
ヴァンの窓の外。オアフ島の風景が流れ過ぎていた。
      □
 M化粧品の夏キャンペーン。そのためのハワイ・ロケだった。
モデルは、ヒロコ・スチュワート。日米のハーフだ。カウアイ島育ち。18歳でホノルルに出てきた。日系企業で秘書をやっているとき、スカウトされて、モデルの仕事をはじめたという。
いまは21歳。ハーフといっても、外見は、ほとんど白人だ。長くてまっすぐな脚。バニラ・アイスクリームのように白い肌。薄茶色の瞳《ひとみ》。
サラリと肩までたらした黒い髪と、同じ色の濃いまつ毛は、どうやら日系人の母親からもらったらしい。
「引っ越し?」
ときき返す僕に、
「一軒家から、ワイキキのコンドミニアムに引っ越すの」
ヒロコは言った。
「で、いつ?」
「あした」
明日は日曜日。現地スタッフ全員が|休み《オフ》。当然、ロケは無しだ。
「もしできれば手伝ってもらえると……」
ヒロコは、すまなそうな声で、僕に頼む。荷物はたいしてないんだけど、私の〈|かぶと虫《ビートル》〉じゃさすがに積めなくて。いま使っているこのヴァンなら積めそうなんで、もしできれば……。
話をすべてきき終わる前に、僕は、オーケーと答えていた。
撮影機材を積んでいるこのヴァンも、僕ら日本人スタッフも、明日は暇だ。そして何よりも、このロケが終わるまで、僕らとヒロコは同じチームの一員なのだから。
      □
 翌日。朝の10時。
僕とアシスタントのAは、ヒロコが借りている一軒家にヴァンを走らせた。
その家は、ホノルルの北側。U・H(ハワイ大学)の近くにあった。そして、僕が想像していたより、はるかに大きな家だった。
ハワイの一軒家としては、ごく庶民的な大きさだろう。けれど、女の子が1人で住むにしては、広い家だった。
その理由は、すぐにわかった。
彼女は、ひとり暮らしではなく、誰かと住んでいたらしい。
家の中は、きれいに整理されてカラッポだった。けれど、この家に住んでいたもう1人の誰かの存在感が、細かいホコリのように、空気の中に漂っていた。
僕らは、ヒロコの荷物をヴァンに積み込む。荷物は、30分たらずでヴァンにおさまってしまった。
アシスタントのAは、荷物がとちゅうでガタつかないように、荷物のすき間にクッションをつめはじめた。
僕とヒロコは、ガランとしたリビング・ルームから家の前庭をながめた。
「きれいな庭だな」
僕は言った。ちょっとした広さの庭だった。芝生は、きれいに刈り込まれ、手入れされている。そして、庭の周囲では〈|しょうが《ジンジヤー》〉の花が咲いていた。
ハワイの人たちにとって、ジンジャーは、ハイビスカスやプルメリアと同じように花を楽しむものなのだ。
まっ赤な花をつけている〈|赤しょうが《レツド・ジンジヤー》〉。スズランのように白い花がいくつもついているのは〈|貝殻しょうが《シエル・ジンジヤー》〉……。5、6種類のジンジャーが、庭に咲きほこっていた。どれも、よく手入れされているようだった。
「ジンジャーが好きなんだ……」
つぶやくように僕が言う。
「彼がね……好きだったの……」
ヒロコが、小声で答えた。しばらくの沈黙。
「……それにしても、よく手入れしてあるなァ」
「……彼が〈庭師《ガーデナー》〉だったから……」
「ガーデナーか……」
僕はつぶやいた。ハワイには、庭を大切にする金持ちが多い。ガーデナーはいい技術職だ。
「彼は、たくさん稼いだ?」
ヒロコは、うなずいた。
「でも……1年前、私がモデルとして売れ出すと、収入は逆転したけど……」
「……うまくいかなくなった原因は、そこ?……」
約10秒の沈黙。
「たぶんね……」
それ以上、立ち入ったことをきこうとは思わなかった。僕らは、最後に家の中を見て回った。
バス・ルームの窓ぎわ。貝殻の上に男物の安全カミソリがぽつんと置き忘れられていた。ヒロコは、それを手にとる。ゴミ箱に落とした。乾いた音がした。
      □
 僕はヴァンの運転席に。エンジンをかける。助手席のヒロコは、家をふり返る。庭に咲いているジンジャーを、じっと見つめている。
僕は、その横顔をながめた。これから彼女が暮らすのは、ドアマンつきの高級コンドミニアムだ。けれど、ジンジャーの花が咲く庭は、そこにはないのだ。
「出していいかい?」
ステアリングを握って、僕は、きいた。彼女は、何かをふっ切るようにうなずいた。きっぱり微笑《ほほえ》む。涙は見せなかった。
僕はセレクターをDレンジに。アクセルを踏み込む。家が、ミラーの中で遠ざかっていく……。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%