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水平線ストーリー27

时间: 2020-08-01    进入日语论坛
核心提示:レインボー・シャワー・ツリーが咲いていたその花の名前を教えてくれたのは、ジニーだった。もう、ずいぶん前のことになる。  
(单词翻译:双击或拖选)
レインボー・シャワー・ツリーが咲いていた

その花の名前を教えてくれたのは、ジニーだった。もう、ずいぶん前のことになる。
      □
 僕はまた、ハワイにきていた。
CFのためのロケだった。アイドル・タレントを使った清涼飲料のCFだった。
タレントやロケの本隊より数日前に、僕はホノルルにきていた。ロケ隊が着く前に、ロケハンをすませておくためだ。
毎日、オアフ島を走り回っていた。
クルマのドライバーは、ジニーといった。アルバイトで、撮影コーディネート会社の手伝いをやっていたらしい。
19歳だといった。
白人の血が半分。ハワイアンの血が4分の1。日本人の血が4分の1。ハワイにはいくらでもいる|混血娘《チヨプスイ・ガール》の1人だった。
少しグレーがかった金髪。スラリと細い手脚。頬《ほお》に、かすかなソバカス。
もう少女ではない。けれど、まだ女と呼ぶには早過ぎる。そんな季節の顔立ちをしていた。
      □
「ん」
そのとき、僕は、思わずつぶやいた。クルマを運転しているジニーに、
「ちょっと止めてくれないか」
と言った。ジニーのカルマンギアは、スッと通りの端に寄った。
ホノルル。午後3時。
カラカウア|通り《アベニユー》とクヒオ|通り《アベニユー》の交わるところ。
公園とは呼べないほどの、小さな芝生のスペース。
そこに、その樹《き》は立っていた。
7、8メートルの樹。花が咲いていた。
ピンポン玉ぐらいのつぼみが開いたところだった。薄い黄色。そこに淡い赤が混ざっている。
一見、目立たない花が、樹の枝からつらなってたれ下がっていた。
僕はカメラを手に、その花を見上げた。
「この花が好きなの?」
クルマからおりてきたジニーがきいた。
「ああ。ずいぶん前から気になっていたんだ」
カメラをかまえながら、僕は言った。
「この樹の名前、知ってるかい?」
ふり向いてジニーにきいた。ジニーは、うなずくと、
「〈|虹の通り雨の木《レインボー・シヤワー・ツリー》〉っていうの」
と言った。
「なるほど……」
僕は、つぶやいた。虹のように淡い色の花が、|通り雨《シヤワー》のようにたれ下がっている。そこから名づけられたんだろう。
「もっときれいなレインボー・シャワー・ツリーがあるけど、見たい?」
ジニーが言った。
「もちろん」
僕は答えた。ロケハンは、順調に終わったところだ。きょうの午後は|休み《オフ》だ。
「オーケー。じゃ、案内するわ」
とジニー。自分のカルマンギアに歩いていく。
      □
「ここよ」
とジニー。クルマをとめた。
ホノルルから東へ30分走った。カイルアの丘の上。小さな家の前だった。
ジニーは、家に入っていく。
「かまわないのか?」
「もちろん。私の家だもの」
ふり向いて、ジニーは微笑《ほほえ》んだ。
家の前庭には、1本のレインボー・シャワー・ツリーがあった。ホノルルの木とは比べものにならない数の花が、樹から流れ落ちるようにたれていた。
「この花が好きで、この家を借りたの」
とジニー。僕は、うなずいた。
「よそからハワイにくる人はみんな、ハイビスカスの派手な色や、プルメリアの香りに気をとられているけど、私は子供の頃からこの花が好きだった」
とジニー。微笑みながら、
「よそからきた人で、この花を好きだと言ったのは、あなたがはじめてよ」
と言った。
「ビールかワインでも飲む?」
「もちろん」
      □
 翌日。ロケ隊がホノルルに着いた。撮影がはじまった。
けれど、タレントのスケジュールのつごうで、|休み《オフ》の日がよくあった。
タレントが雑誌のための取材撮影をやっている日、僕らCFチームはオフだ。
そんな日は、ジニーと過ごした。二人で、ビーチを歩いた。崖《がけ》の上から、沖の鯨《くじら》をながめた。そして、一番よく時間を過ごしたのは、彼女の家だった。
家の庭に、木のテーブルとイスを持ち出す。ジニーの得意なシーフード・サラダを食べながらカリフォルニア・ワインを飲んだ。僕らの上では、いつもレインボー・シャワー・ツリーの花が揺れていた。
彼女に関するいろいろなことを、僕は知った。彼女がカイルア島育ちだということ、良い仕事を求めてオアフ島にひとりできていること。どこでも裸足で歩く習慣。そして、唇の柔らかさ……。
      □
 つぎのハワイ・ロケは、3か月後だった。
彼女の電話番号を回した。コールの音だけが、くり返し僕の耳もとで響いた。
借りたクルマを、僕はカイルアへ走らせた。
彼女の家の前。FOR RENT(貸し家)の看板が立っていた。
窓のカーテンは閉じられていた。庭にも、もう、木のテーブルとイスはなかった。
レインボー・シャワー・ツリーの花だけが、カイルア湾《ペイ》からの風に揺れていた。僕は、眼を細めてそれを見ていた。
いまも、あの花を見ると、ふとジニーの長い金髪を思い出すことがある。
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