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水平線ストーリー31

时间: 2020-08-01    进入日语论坛
核心提示:二人のチャイナ・タウン「たまらなく麺《めん》が食べたい」編集者のSが言った。僕らは、撮影機材を片づけながら笑った。笑い声
(单词翻译:双击或拖选)
二人のチャイナ・タウン

「たまらなく麺《めん》が食べたい」
編集者のSが言った。僕らは、撮影機材を片づけながら笑った。笑い声が、オアフ島の風に運ばれていく。
ホノルルの東。カピオラニ公園。
僕らは、午前中の撮影を終えたところだった。カメラマンの僕。アシスタント。編集者のS。そして、現地コーディネーターのK。4人で、昼に何を食べにいくか話しはじめたところだ。
      □
 雑誌の仕事だった。男性誌の中のハワイ特集ページ。その取材だった。
広告のロケとちがって、撮るカット数が多い。僕らは、この5日間、ホノルルの周辺を走り回っていた。
食事は、なぜかアメリカンが多かった。昼はバーガー・キング。夜はリブ・ステーキ。そんな日がつづいた。Sが〈麺を食べたい〉と主張したのも、当然といえば当然だった。僕らの誰も反対しなかった。
「どこへいこうか」
僕は、コーディネーターであり友人でもあるKに言った。Kは、ちょっと考えて言った。
「そうだなあ……。ラーメンやサイミンもいいけど、ちょっとちがうやつにもトライしてみようか」
「もう、麺ならなんでもいい」
Sが、また言った。僕らは笑いながら、撮影用のヴァンに乗り込んだ。
      □
 Kの運転するヴァンは、チャイナ・タウンに入っていった。
ホノルルのチャイナ・タウンは、それほど広くない。むしろ、他の都市のチャイナ・タウンに比べれば、狭い方かもしれない。けれど、古びた街並みには、それなりに独特の雰囲気があった。
Kは、あいているパーキング・メーターの前にヴァンを駐《と》めた。チャイナ・タウンの端の方だった。僕らは、Kに案内されて1軒の店に歩いていく。
「僕も、はじめて入るんだけど」
と言いながら、Kは店に入っていく。一見、中華食堂のようだった。けれど、窓ガラスをよく見ると、ヴェトナミーズ・レストランと描かれていた。
越南という2文字も見える。越南とは、ヴェトナムのことだ。どうやら、それはヴェトナム料理の店らしかった。
もう、午後2時近かった。店はガランとすいていた。入っていく僕らに、
「いらっしゃい」
若い東洋人の娘が英語で言った。その顔を見て、
「あれっ、君は……」
僕は思わず言った。彼女も、
「あ……」
と、つぶやいた。
      □
 きのうだった。
僕らは、アラ・モアナ・ビーチで取材撮影をしていた。アラ・モアナの海岸には、地元《ローカル》の若い連中が多い。そんな男の子や女の子のビーチ・ファッションを撮影していた。
彼女とは、そのとき会った。正確に言うと声をかけたのだ。
彼女は、男の子と一緒だった。ビーチでデートしている。そんな感じだった。二人とも東洋人。10代の終わり頃だろう。
日系人には見えなかった。チャイニーズだろうと思った。
彼女の方はストレート・ヘアーを真ん中分け。白黒ストライプのワンピース水着。彼の方は蛍光色の入ったサーファー風のスイム・パンツ。二人とも、小さい頃から海の近くで育った感じがした。絵になっていた。二人に並んでもらって、僕は10回近くシャッターを切った。
      □
「君……ヴェトナム人……」
「そう。ここが、私のパパがやっている店よ」
彼女は言った。きれいに灼《や》けた顔から、白い歯がのぞいた。LOCAL《ローカル》 MOTION《モーシヨン》の青いTシャツを着て、ジーンズをはいていた。
僕らはテーブルに坐《すわ》る。漢字に英文ルビのついたメニューをながめた。
ヴェトナム料理は、チャイニーズに似ていた。国が隣り同士なのだから当然なのかもしれない。
僕は漢字で〈牛丸〉と書かれている麺《めん》を注文した。牛の肉ダンゴと野菜の入った麺だった。中華よりさっぱりとしていておいしかった。
僕らは食事を終える。食器を下げにきた彼女に向かって僕は、
「きのうデートしていた彼、かっこよかったじゃないか」
と言った。彼女は、人さし指を唇に当てる。〈ないしょ〉というしぐさ。店の奥をちらりと見た。店の奥はキッチンだ。たぶん、彼女の親がいるのだろう。
      □
 店を出る。僕らは、駐めたヴァンに歩きはじめた。後ろで足音。彼女だった。小走りでやってくる。
「ごめんなさい」
と僕らに言った。
「気にしなくていい。君のパパかママが、彼とつき合うのを嫌がっているんだね」
僕は言った。
彼女はうなずく。
「パパがね……チャイニーズの彼とつき合うのをとても嫌がってるの。ほら、ヴェトナムとチャイナの間には、いろいろとあったから……」
彼女は言った。僕は、うなずいた。中国とヴェトナム。国同士の間に紛争があったことは、なんとなく知っていた。こんな小さなチャイナ・タウンにも、その影は落ちているらしい。
      □
 3日後。帰国する僕らは、ヴァンで空港に向かっていた。アラ・モアナ公園の前を通りかかった。
あの二人が、いた。水色のワーゲンから、おりてきたところだった。気づいたKが、ヴァンのスピードを落とす。クラクション。彼らも気づく。僕らに手を振った。
彼女の長い髪が、彼のTシャツのスソが、海風に揺れていた。
いつか、彼らも正々堂々とつき合える日がくるのだろう。僕は、そう思った。時代は変わる。あのベルリンの壁でさえ、壊れたのだから。
僕は眼を細める。彼らに手を振り返した。カー・ラジオがヒューイ・ルイス&ザ・ニュースの〈|Power of Love《パワー・オブ・ラヴ》〉を流していた。
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