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水平線ストーリー32

时间: 2020-08-01    进入日语论坛
核心提示:赤と白「やっぱり、白ね」彼女が、つぶやくように言った。「ああ」僕も、フォークを使いながら言った。グラスの白ワインを、ひと
(单词翻译:双击或拖选)
赤と白

「やっぱり、白ね……」
彼女が、つぶやくように言った。
「ああ……」
僕も、フォークを使いながら言った。
グラスの白ワインを、ひと口、飲んだ。
      □
 そのたそがれ。僕と彼女は目白《めじろ》にあるビストロにいた。
のんびりと食事をしていた。
その店は、文字どおりのビストロだった。
日本でビストロと名のっている店でも、正確にはレストランである場合が多い。
フランスでビストロといえば、それはごく気軽な食堂のことをさす。市場の近くや、下町の裏通りによくある。
カウンターの上に、つくった惣菜《そうざい》を並べ、客が選べるようになっていたりする。そんな気さくな店だ。
僕らが食事をしていたのも、そんなビストロの雰囲気をうまく東京の街にとけ込ませた店だった。
僕らは、鴨《かも》の料理を食べていた。
秋が深くなっていた。鴨肉にアブラがのるシーズンだった。
僕らは、鴨を食べながら、白ワインを飲んでいた。
      □
 普通、鴨料理には赤ワインということになっている。レストランでも、赤をすすめられることが多い。
こってりとアブラののった鴨肉には、やはり濃く厚みのある味の赤ワインでないと負けてしまう。それが一般的なセオリーだった。
けれど、僕は逆の好みを持っていた。
鴨《かも》に限らず、こってりとした肉類には、さっぱりとした白ワインというものだ。アブラっこくなった口に、冷たい白を流し込むのが好きだった。いつも、そうしている。
赤と白。それは、人それぞれの好みでいい。自由にやればいい。
ただ、僕と彼女がつき合うきっかけになったのは、鴨と白ワインだった。
      □
 そのころ、僕はCFディレクターをしていた。彼女は、ヘア・メイク。ロケ隊のスタッフだった。
たまたま、八ケ岳にロケにいった。スタッフ全員で小さなホテルに泊まった。やはり晩秋で、夕食には鴨が出た。
僕が白ワインを頼むと、ホテルのオーナー兼シェフがしぶった。頭の硬い男らしかった。そのとき、
「私にも、白ワイン」
と明るい声で言ったのが彼女だった。後できけば、彼女もやはり、肉料理のときは白ワインを飲むという。
そんなことがきっかけで、個人的につき合うようになった。
「こってりした料理とさっぱりしたお酒。つまり、対照的なものだからうまく合うのよね」
と彼女は言った。僕も同感だった。
そういえば、僕と彼女も対照的だった。
僕は、いつもジーンズにスタジアム・ジャンパー。ナイキやケッズのスニーカーをはいていた。
彼女は、ヨーロピアン・スタイルが好きだった。
秋だと、よくキャメル色のカシミア・セーターを着ていた。
その下にコーデュロイのスカートをよくはいていた。
首には、バーバリーのマフラーを巻いていた。
やせて色白の彼女には、確かにそれが似合っていた。
すべて、アメリカ対ヨーロッパだった。僕がヘミングウェイを読んでいると、彼女はサガンの新刊を読んでいた。僕がスティービー・ワンダーを聴いていると、彼女は僕の知らないフレンチ・ポップスを聴いていた。
対照的だから、つき合いが面白かった。
けれど、対照的だから、結局、長つづきはしなかった。
つき合いはじめて2年目。街路樹から枯葉が落ちつくした日、別れた。
最後のデートも、目白のビストロにいった。鴨《かも》を食べ、白ワインを飲んだ。
「自由にやることが、結局は一番大切なのよね」
自分に言いきかせるように、彼女はつぶやいた。
肉の味を白ワインが洗い流していく。そんな感じで、僕らのつき合いは過去形になった。
僕らは、グラスに残った白ワインを飲み干すと店を出た。東京の街に、その年、最初の雪が降りはじめていた。
僕はいまも、秋の鴨には白ワインを合わせる。そして、街でバーバリーのマフラーを見かけると、一瞬、彼女のことを思い出す。
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