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猫を抱いて長電話07

时间: 2020-08-09    进入日语论坛
核心提示:化粧仮面 時々、ふと、何故女は化粧するのか、と思うことがある。 少しでもきれいに見せたいからに決まっているし、化粧でもし
(单词翻译:双击或拖选)
 化粧仮面
 
 時々、ふと、何故女は化粧するのか、と思うことがある。
 少しでもきれいに見せたいからに決まっているし、化粧でもしないと、とても他人様にお見せできない顔である、と信じているからであろうが、それにしても、毎度毎度、顔の上にペンテルクレヨンのごとく色を塗りたくるのは、我ながら実に不可解な行為ではある。
 友人で、風邪をひいてひとり寝ている時でも、化粧を欠かしたことがない、という人がいる。他人の目、ことに異性の目を意識しているだけではなく、いついかなる時にでも他人に見られて大丈夫、という仮面を作っておかないと不安なのだそうだ。
 理解できないこともない。たとえば、私は「もし入院したら」ということをよく考える。もし入院して、ベッドの上で四六時中スッピンでいるのは、ほとんど耐えがたい屈辱なのではないか、と想像したりする。
 むろん痛みや気分の悪さと闘っている時はそれどころじゃなくなるだろうが、さほどの痛みも苦しみもなく、自由に病院内を歩き回れる状態だとしたら、これは実に困る。見舞い客だって気軽にやって来るだろう。それに、もしかしたら、担当医が好みのタイプだったりするかもしれない。廊下でよく会う男の入院患者のひとりに、元気だったらきっとグッとくるであろうハンサムボーイがいるかもしれない。
 入院経験がある人に聞くと、化粧をしている入院患者はまずもって皆無であるという。入院中のおしゃれというと、せいぜいが素敵なパジャマやガウンを着ることぐらい。化粧は顔色の判断がつかなくなるから、医者にも看護婦にも嫌な顔をされるのだという。
 別に元気な時でも顔色の悪い女はいくらもいるのに、と思うのだが、まあ、入院すると、化粧をこてこてやるのは不謹慎だ、という考え方があるのかもしれない。そうだとすると、女にとって、入院という事態は二重三重の不幸。よほどの美人でない限り、素顔をさらし続けるのは苦痛に違いない。
 かつて急性胃炎をおこし、深夜、救急病院に担ぎこまれた時のこと。担当してくれた若いお医者さんが、とても親切だったので、いつか御礼を言いたいと思っていた。
 数日後、検査結果を聞きに病院へ再び出向いた時、たまたま廊下でその先生に会った。私がにこにこして「こんにちは、先日は本当にどうもありがとうございました」と頭を下げたところ、先生は怪訝《けげん》な顔をする。「どちらさまでしたっけ」などとおっしゃる。
 私が「急性胃炎で……」と説明し、当夜の状況を説明すると、やっとわかってくれたらしい。先生は「ああ、あの時の……」と顔をほころばせた。「お化粧なさっているので、ちっともわかりませんでした」
 この時のショック! 実は私は深夜、担ぎこまれた時、スッピンであった。当然だ。その日は夕方から苦痛に七転八倒していたのだ。化粧なんかする余裕などあるわけがない。
 先生はスッピンの私の顔を覚えておいでだった分だけ、数日後、元気に化粧を施した私の顔を見ても、誰なのかとんと思い出せなかったのだ。
 いくらなんでもあんまりじゃない、と言いたくなるのを我慢して、私は愛想笑いをし、先生と別れた。
 この調子であるからして、入院して素顔をさらすとなると、これは大変な覚悟がいる。下手をすると、退院の時、きれいに化粧でもしたら、医者、看護婦、果ては同じ病室内の患者たちにも、「この人、こんな顔だったっけ」などと首を傾げられてしまうかもしれない。
 こんな話を先日、女友達としていたところ、彼女は身を乗り出して「わかるわかる」と言った。この人になると、さらに念が入っていて、自分が死んだ時のことまで考えて不安になるらしい。
 素顔をさらして柩《ひつぎ》に入れられるのは、大変な屈辱だし、かといって、自分は死んでいるのだから気に入ったメイクを施すわけにもいかない。だから、今から亭主や子供に「自分が死んでも絶対に死に顔を公開するな」ときつく言い渡してあるのだそうな。
 冗談のような話ではあるけれど、やはり化粧とはそれほどに、生涯、女の仮面であり続けるのでしょうね。
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