返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

猫を抱いて長電話08

时间: 2020-08-09    进入日语论坛
核心提示:男と女 男が女一般の悪口を言う時によく使われる言葉。 生意気。論理が通用しない。くだらないことですぐに泣く。自己正当化が
(单词翻译:双击或拖选)
 男と女
 
 男が女一般の悪口を言う時によく使われる言葉……。
 生意気。論理が通用しない。くだらないことですぐに泣く。自己正当化が激しい。女どうしになると愚痴ばかり言い合う。ちょっと身体の調子が悪いと大袈裟《おおげさ》に騒ぎたてる。現実的。打算的。冷たい。視野が狭い。仕事と私生活の区別がつかない。嫉妬《しつと》深い。物事を深く真面目に考えない。事務的。融通がきかない。陰険。意地悪……。
 これに対して、女が男一般の悪口を言う時によく使われる言葉というと……。
 子供っぽい。理想ばかり追って現実の対処ができない。女を馬鹿にする。出たがりや。目立ちたがりや。軽薄。馬鹿。くだらないことですぐに怒る。育ちが悪い。意志薄弱。自意識過剰。自尊心過剰。物事を勝った負けたで決めてかかる。ロマンという言葉は男のためにあると信じている。寂しがり屋。甘ったれ。いやなことでも頼まれればいやと言えない。女にもてるかもてないか、で男の価値が決まると信じている。自慢話ばかりする。嘘《うそ》をつくのが下手。やさしくするとつけ上がり、厳しくすると逃げ出す……。
 まあ、どれもこれも個人差というべきものであり、厳密に言うと男女の違いでもなんでもない、ただの性格の違いでしかないのだが、どこにでも転がっている悪口を集めてみると、その差が割合はっきり出て興味深い。
 男たちが「だから女ってやつは」と眉をひそめるのは、たいてい女の理不尽な発言を耳にした時である。つまり理屈が通らない時だ。
「Aだろ? だからBでさ、ゆえにCになる。別に不思議はないだろうが」と言っても、女は柳眉《りゆうび》を逆立てて不機嫌な顔をいっこうに崩してくれない。「それは認めるけど、いやなものはいやなのよッ」ですべてが決まったりする。
「おまえ、アホか。この理屈がわからないのかよ」と男が怒鳴ったとしても、頑として譲らない。いやなものはいや。理屈は空しく消えていき、男はムッとしながらも「わかったよ」と一言。惚《ほ》れた弱みというやつだ。
 かくして男は外で酒など飲み、「まったく女ってやつは」と男どうし、同調し合う。そこらへんから、先に挙げたような女一般への悪口が始まるのである。
 一方、女たちが「男ってどうしようもない」と溜め息をつくのは、たいていがその子供っぽさを話題にした時。
 毎日、言うことがころころ変わり、今日は「俺《おれ》はだめな人間だ」と絶望していたと思うと、翌日は天下をとったみたいな気分に浸って「一発、勝負しなくちゃ男じゃないもんな」と劇画チックなセリフを並べる。そのわりには臆病《おくびよう》で、結局は何もしない。
「俺を理解してくれるのは君だけだよ」なんて言ってるうちは可愛いが、そのうち暴走して、何をやっても許される、と誤解する。ひどいものになると、浮気をしてもバレても、「君なら許してくれるだろ」などと上目使いにチラリ。
 外に出ていくと鉄砲玉で、いつ帰るかわからないくせに、女が外で楽しく遊んで帰って来ると仏頂面。「尻軽女」だの「どうせチャラチャラと男にいい顔見せて来たんだろ」だのと意味不明のイチャモンをつけ、ふてくされ、翌日になると、ここぞとばかりにメシがまずいとか、洗濯物が乾いてないとか、ビールを買い忘れている、とか文句たらたら。
「これすべて男の幼児性に基づくものなのよ」と或る女友達は分析する。幼児は母親を必要とするが、それは自分が必要としている時のみ、そばにいてくれればいいのであって、自分が何か他のことに熱中している時は母親のことなんか頭にない。叱られると腹をたてて暴れ、無視されるとまた腹をたててカラむ。かといって、年中、べたべたされるとうっとうしくなり、幼稚園のオトモダチと一緒に砂場で遊びほうける……という具合。その幼児性とも言うべきものが、男のキャラクターと一致することがしばしばある、と彼女は言う。
 なるほど、と私も思う。「あんな問題児、うまく扱えるのは私ぐらいなものよ」と言って苦笑する女はとても多いが、「あんなじゃじゃ馬、うまく扱えるのは俺ぐらいなもんだ」と言える男にはあまりお目にかかったことがない。じゃじゃ馬でも、理屈の通らないわがまま娘でも、そこに喜んで寄り添う男たちの素顔は、砂場で遊び疲れた時の幼児の顔に似ていなくもないのだ。
 男と女。その間に深くて暗い川があったとしても、やっぱり互いに興味は尽きそうにない。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%