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猫を抱いて長電話18

时间: 2020-08-09    进入日语论坛
核心提示:アルバイトとプロ意識 学校を卒業してから、就職せずに、アルバイトで喰いつなぐライフスタイルが若者たちの間で流行している。
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 アルバイトとプロ意識
 
 学校を卒業してから、就職せずに、アルバイトで喰いつなぐライフスタイルが若者たちの間で流行している。
 古い時代の人たちに言わせると「いい加減だ」とか「親の顔が見たい」とかいうことになるのだろうが、まあ、それもひとつの生き方。まして職種はどんどん多様化している。昔のように、就職が一生の大事になることは、少なくなったと言っていいのだろう。転職を繰り返しただけで犯罪者のように言われた時代があったことを思えば、日本人の意識も欧米並になった、と痛感する。
 しかし、しかし、である。サムタイマーなどとカッコよく横文字ふうに言われている人々の職業意識、プロ意識が希薄になってくるとしたら、これは問題なのである。
 私は最近、たびたび、このサムタイマーと呼ばれる人々と接して、その知識のなさ、融通のきかなさにぶったまげた。
 たとえば化粧品店。買う物がはっきりしている時はいい。カネボウの何々のファンデーションの何番をください、と言えばそれですむ。間違った品物を買わされる心配もない。
 だが、買う物が漠然としている時はこうはいかない。何か乳液が欲しい、とか何か新しいマッサージクリームが欲しいという時、応対に出る人をよく選ばないと、とんでもない羽目に陥るのである。
 私は一度、「M」と表示のあるクリーム瓶のラベルをしげしげと眺めた若い女の店員に「これはモーニングクリームです」と言われたことがある。彼女は別の瓶のラベルに「N」とあったのを見比べると、「そしてこちらがナイトクリームですね」と言った。
 こいつ、バッカじゃないか、と思って「あのう、この�M�っていう表示は、�モイスチュア�の�M�のことなんじゃないの。それに�N�っていうのは、ナリシングクリームの意味でしょう?」と問いただしてやった。すると、彼女は顔を赤くして「やだーっ。ウッソー」とひとしきりわめき、笑いをかみ殺しながら言った。
「私、アルバイトなんです」
 その次はレンタルビデオ屋での話。そこは外人客がとても多い店で、いつ行っても外国語があふれているのだが、いつかしら、受付カウンターに若い女の子がふたり、入るようになった。
 ふたりとも片言ならば英語が話せるようで、今ふうの装いでセンスもよく、一見、万博のコンパニオンといった感じ。そのせいか、アメリカ人のカッコいいあんちゃんたちに時折、声をかけられ、うれしがっているタイプなのだが、このふたり、恐ろしく仕事ができない。ちょっと店がたてこんできて、レンタルを注文する客と借りたビデオを返しに来る客とが長蛇の列を作るようになると、もう、本人たちがプッツンしてしまう。
 ついこの間も、やはり店が混み合っていた時、ひとりのフランス人の紳士が流暢《りゆうちよう》な日本語で女の子たちにかみつき始めた。どうやら紳士は手持ちの会員カードが期限切れだと言われて、カードに期限があるなどという話は聞いていない、会員になった時にそういう説明もされていない、と突っぱねたらしい。
 さて、このふたりのチャラチャラした女の子たちが、どう応対するのか、と興味津々で見守っていると、彼女たち、懸命になって説明を始めたのが「コンピューターではそういうことになっているのです」というトンチンカンな間の抜けた答え方。
 紳士は執拗《しつよう》に食い下がる。「どういうことなのか、よくわかりません」
 あの、その、と彼女たちは互いに顔を見合わせてしどろもどろ。そしてついに、言うに事欠いて、「私たちアルバイトなんです」。
 そこで紳士は軽蔑《けいべつ》をこめて冷笑し、最大級のイヤミを一言。「僕は人間なんです。コンピューターではありません」
 じれったいのは聞いているこちら側だった。どうして「会員規則を入会の時にお教えしなかったことは申し訳ありませんでした」と真先にあやまることができないのだろう。
 彼女たちがそう言えないのは、後で責任をかぶるのが怖いからであり、また、会員規則をきちんと教えなかった別の人間の非を担うのがシャクだからなのである。「アタシのせいじゃないわよ」というわけである。都合が悪くなると「アルバイトだから」と言って逃げる。それがいかに子供じみた言い訳か、本人たちは気づいていない。
 アルバイト、おおいに結構。根無し草みたいに生きるのもまたよし。でも、やっぱり仕事のプロになる、というプライドは捨ててほしくないのです。
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