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猫を抱いて長電話21

时间: 2020-08-09    进入日语论坛
核心提示:信州のおばあちゃん 夏になり、お盆の帰省ラッシュのニュースが流されるようになると、私はいつも、帰る田舎がある人のことを考
(单词翻译:双击或拖选)
 信州のおばあちゃん
 
 夏になり、お盆の帰省ラッシュのニュースが流されるようになると、私はいつも、帰る田舎がある人のことを考える。
 私の父は満州生まれ。父方の祖父も祖母もとっくの昔に亡くなり、長男である父は本籍を横浜に移してしまっているから、田舎を持っていない。
 母は函館《はこだて》生まれだが、こちらも祖父祖母ともに亡くなっており、兄弟姉妹はバラバラ。田舎と呼べるところはすでにない。
 私は東京生まれで、現在は両親が住んでいる横浜が本籍地。電車で三十分そこそこのところへ行くのに、「帰省する」などという感覚があるわけもない。
 そういう人間から見ると、あの乗車率二百パーセントの列車に荷物と共に乗り込み、汗みどろになりながら帰省していく人々や、遅々として進まない炎天下の高速道路をひたむきに田舎に向かって車のハンドルを握る人々の、うんざりしながら、それでも半ば嬉々《きき》とした表情は、何か神々しいものにさえ感じられる。
 田舎っていうのは、きっとそういうものなんだろう、と思う。帰るのがいやなら、誰も帰らない。行っていやな思いをするところだったら、誰もそんなに苦労して帰省するわけがない。
 きっと田舎というのは、何か人々を駆り立ててやまない魔力のようなもの……精神の深い部分をたぐり寄せてしまう、何か目に見えない磁力を備えた不思議な場所なのかもしれない。そう思える。
 そりゃあ、現実を考えれば、帰省して、兄弟姉妹の家族と一緒になり、人間関係がうまくいかずにムッとする人もあるだろう。ましてヨメの立場だったら、忙しく立ち働かされて、おまけに厭味《いやみ》を言われたりし、とんでもなく不愉快なことも多いのかもしれない。しかし、それでも、人はこの時期になると、田舎を目指す。田舎って何なのだろう、と田舎を持たずにきた私などは、本当に不思議に思うのである。
 きっと、お母さんやお父さんや、おばあちゃんなどが待っているんだろう。帰れば、お風呂が沸いていて、庭でとれたトマトが水滴をつけながら、台所のマナ板の上に転がっているんだろう。こんもりと茂った雑木林では、油|蝉《ぜみ》がけたたましく鳴いているんだろう。堆肥の匂いがするのかもしれない。カネヨの洗濯|石鹸《せつけん》でおばあちゃんが洗ったシーツが、庭で風を受けてたなびいているのかもしれない。そして、人々は子供のころを思い出して、しみじみと空を見上げるのかもしれない。
 うん、わかる。なんとなくわかるような気がする。
 実をいうと、私には昔から、想像上の田舎がある。こんな田舎があったらいいな、という想像の産物なのだが、これを想像するといつも楽しくなる。
 場所は信州。絶対、信州がいい。長野あたりの山間の小さな村……という感じがベスト。高くも低くもない山に囲まれたささやかな平地で、近くを小川が流れていればもっといい。
 そこの藁《わら》ぶき屋根の一軒家に、おばあちゃんが一人で住んでいる。ちょっと無口で気の優しいおばあちゃんで、滅法、身体が丈夫であり、八十に近くなっても、まだ野良仕事に充分、耐えられる。
 おばあちゃんは、小さな畑を耕し、鶏と牛と山羊を飼って生活している。着るものは野良着だけで、贅沢《ぜいたく》なことは何もしない。
 夏の昼下がり、私が�帰省�すると、おばあちゃんは無表情のまま、それでも嬉しそうに歓迎してくれる。黒い土が踏み固められた庭に面した縁側で、私はおばあちゃんとふたり、切ったばかりの大きなスイカを食べる。おばあちゃんは、面倒な質問はしない。お天気の話とか、山羊の乳の話とか、村の鎮守様のお祭りの話ばかり。
 足もとに飼い犬の日本犬が二匹、たわむれる。大きな金|蠅《ばえ》が、唸り声を上げて飛び交う。かすかな堆肥の匂い。庭に茂ったトマトや茄子《なす》や胡瓜《きゆうり》の葉が、そよ風に揺れてサワサワと鳴る。安物の風鈴の音と油蝉やツクツクホーシの鳴き声。
 おばあちゃんと同じくらい長生きした三毛猫が、そばに来てニャオンと鳴く。スイカを食べ終えたおばあちゃんは、「風呂、沸いてるよ」と言う。うん、と私はうなずく。「ビールある?」
「あるよ。枝豆、裏庭にいっぱいなってるから、とっといで。茹《ゆ》でてあげよう」
 ……ああ、こんな田舎があったらなあ。時々、私はこの「信州のおばあちゃん」の話をする。話を聞いた人はみんな笑う。子供みたいだ、と馬鹿にされる。でも、私の中の信州のおばあちゃんは、ずっと生き続けるのである。
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