職員室に呼び出されて、どういう生活をしているのか長々と問いただされた。
「夜遊びをしてるんだろう、と言う先生もいるしな」
中年の担任はそう言って顔をしかめる。
「どうなんだ? なにか夜ふかしをするような事情でもあるのか」
「……いえ」
まさかあんな夢の話を他人にできない。
「夜遅くまでテレビでも見てるのか」
「いえ、あの……」
陽子はあわてて理由を探す。
「中間テストで成績が落ちたので……」
担任はあっさり納得したようだった。
「ああ、そういやちょっと悪かったな。それでか。──だがな、中嶋」
「はい」
「いくら家で夜遅くまで勉強しても、かんじんの授業を聞いてなきゃ意味がないぞ」
「すみません」
「あやまってもらうようなことじゃないが。中嶋は誤解されやすいんだよ。けっこうその髪の毛が目立つんだよなぁ。それ、なんとかならんか?」
「今日、切ろうと思ってたんです……」
「そうか」
そう言って担任はうなずく。
「女の子だからなぁ。いやだろうけど、そのほうがおまえのためだとおもうぞ。先生は。染めてるだの、遊んでるだのと言う先生もいるしな」
「はい」
担任は陽子に手をふる。
「じゃ、帰っていいから」
「はい。失礼します」
陽子は頭を下げる。そのときだった。背後から声をかけられたのは。