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十二国記078

时间: 2020-08-19    进入日语论坛
核心提示: そこを出た陽子が真っ先に言った一言はこうだった。「すごいな」 楽俊もうなずく。「ほんとうだ。巧国が海客に厳しいのはわか
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 そこを出た陽子が真っ先に言った一言はこうだった。
「すごいな」
 楽俊もうなずく。
「ほんとうだ。巧国が海客に厳しいのはわかっちゃいたが、雁国とこうも差があるとは思わなかった」
 陽子もうなずいて役所でもらった木の札をかざしてみる。表には朱印と「景《けい》州|白《はく》郡|首陽《しゅよう》郷烏号官許」の墨書、裏には陽子の名前が書かれたそれが身分証明書だった。
 郷庁でひとりの役人に引きあわされた陽子は名前を聞かれ、故国での住所や職業などの通り一遍の質問をされ、驚いたことに郵便番号と市外局番を聞かれてこの札を渡された。
「ときに陽子、えぇと、郵便番号と市外局番ってのはなんだ?」
 楽俊はそれを聞いてきた役人にも同じ質問をしたが、役人にもよくわかっていないようだった。彼は決まりなんです、と答えて一冊の本を開いた。和綴《わとじ》のその本をこっそり横からのぞきこむと、木版画の文字で数字が羅列してあるのが見えた。役人はそれで確認をしてからこの札をくれたのだ。
「郵便番号っていうのは、手紙を出すときにつかう住所につけられた番号。市外局番っていうのは、電話をかけるときにつかう番号」
「デンワ?」
「声を遠くに伝えて直接話す道具、かな」
「そんなものが倭《わ》にはあるのか。でも、なんでそんなことを聞くんだ?」
 楽俊は髭《ひげ》をそよがせた。
「倭の人間じゃないとわからないからじゃないかな。まちがいなく海客《かいきゃく》かどうか確認したんだよ。そうでないと、偽海客が増えることになるかもしれない」
 陽子は笑って札を示してみせた。
「そりゃ、そうだなぁ」
 この札は陽子の身分を証明してくれるが三年間しか使えない。三年のあいだに今後の生き方を決めて、正式に戸籍を取得する場所を決めなければならないらしい。
 そのかわり保護される三年間は公共の学校や病院は無料で使える。そればかりでなく、こちらでは界身《かいしん》と呼ぶ銀行に持っていけば一定額の生活費まで与えられるらしい。
「すごい国だね」
「まったくだ」
 巧国がいかに貧しく、雁国がいかに豊かか。それ以外にもこの札は教える。
 延王は決して難しい相手ではないだろう。延王に助力を願えと楽俊は言ったが、そんなことが可能なものかどうかは疑問だった。今でも疑問なことに変わりはないが、かといって頭ごなしに拒絶され、あるいは処罰されるようなことがないことは信じられる気がした。
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