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十二国記162

时间: 2020-08-27    进入日语论坛
核心提示: 朝食のあと、蓉可は外を案内してくれた。 汕子《さんし》の手を握って建物の外に出る。泰麒《たいき》はそこで少しの間、きょ
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 朝食のあと、蓉可は外を案内してくれた。
 汕子《さんし》の手を握って建物の外に出る。泰麒《たいき》はそこで少しの間、きょとんとしていた。建物にはまったく外壁がない。出入り口にも衝立《ついたて》が立ててあるだけ、扉も戸もなかった。三段ばかりの石段が小道に向かって下りていて、庭もなければ門もない。かろうじて石段の前は少しだけ広くなっていたが、戸口を出たすぐ前がもう奇岩の壁面というありさまだった。
 奇岩は高く、仰向《あおむ》かなければ空が見えない。三方に伸びた小道は岩壁に挟《はさ》まれて、道というより路地に見えた。ビルの谷間の細い路地に立てば、こんな気分がしたかもしれない。背後を振りかえるといま出てきたばかりの建物だけが低くて、本当にビルの谷間にひっそりと隠された家のように見えた。
「……不思議《ふしぎ》なところですね」
 泰麒がしみじみとつぶやくと、蓉可は笑う。
「さようでございますか?」
「こんなことを聞くのはとっても変なんですけど、ここはどこなんですか?」
 蓉可は首をかしげた。
「ここは蓬山《ほうざん》でございます」
「ええと、そうじゃなくて……」
 泰麒はなんとか自分の困惑を伝えようと、言葉を探す。
「うちの近所ではないと思うんです。うちからどれくらい離れたところなのかな、って。──ここは日本のどこかですか? それとも外国なんでしょうか」
 言葉は外国語ではないけれど、なにもかもがとても変わっていて、日本のどこかとも思えない。
「それとも、ぼくはぜんぜん別の世界に来てしまったんでしょうか」
 タンスを通り抜けたみたいにして。[#入力者注:「ナルニア国物語」というファンタジーではクローゼットを通り抜けて異世界を訪れる。]
 蓉可は少し困ったように首を傾ける。
「……そうなのだと存じます」
「そうかぁ……」
 ひどく奇妙な気分がした。目の前にあるもの全部は現実でしかないように見えるのに、今まで思っていた現実とはちがうものだなんて。
 しみじみ考えていくと、「現実」とはなんなのか、なにが「現実」なのかさっぱりわからなくなってしまいそうなので、泰麒は息をひとつ吐《は》いて、それで考えるのをやめることにした。
「──ここには広い平らな場所はないの?」
「ございますよ。ご案内いたしましょうね」
 言って歩き出してから、蓉可は背後の建物に目を向けた。
「ここは露茜宮《ろせんきゅう》と申します。泰麒のお住まいに用意いたしました」
「はい。もう少しここにお慣《な》れになって、ほかによい宮がございましたら、そのようにおっしゃってくださいまし」
「引っ越してもかまわないの?」
 蓉可はかろやかな声で笑う。
「かまいませんとも。泰麒は蓬廬宮《ほうろぐう》の主、お好きなようにお使いになってよろしいのでございます」
 泰麒は首を傾けた。細い小道をたどって、ゆるやかな上り道と隧道《すいどう》が交差する分岐点まで来ていた。
「それが……よくわからないのですけど」
「はい?」
「蓬廬宮って、ここのことですよね?」
「さようでございますよ」
「どうしてぼくが主になるんですか?」
 泰麒は心底困惑していたのだ。蓉可にしても汕子にしても、ほかの女仙《にょせん》にしても、泰麒よりはずっと年上なのだし、なかでも玉葉《ぎょくよう》はなにかしら威厳のようなものがある。その女たちをさしおいて、自分が主だと言われるわけがわからなかったし、どう考えてみてもそれは不似合いなことだとしか思えなかった。
 蓉可は少し困ったように微笑《ほほえ》んだ。
「泰麒が麒麟《きりん》でいらっしゃるからです」
「キリン、ってなんですか?」
「昨日の、あの木からお生まれになるのが麒麟でございます」
 ぱっと胸の中に明るいものがさした。
「じゃあ、ぼくのほかにも同じような生まれの子供がいるんですね」
「はい。いまは泰麒のほかに十一」
「ぼくを入れて十二人?」
「さようでございます。昨日お会いになった、廉台輔《れんたいほ》も麒麟でいらっしゃいますよ」
「腕輪《うでわ》の人?」
「さようでございます」
「昨日の人に、また会えるでしょうか」
 蓉可は首を横に振った。
「廉台輔はもうお帰りになられておしまいです」
 それはひどく惜《お》しいことのように思われた。昨日、あんなに泣いて泣き寝入りしたりせずにいられたら、色々な話ができたかもしれないのに。
「ほかの人たちはどこにいるんですか? 会えるでしょうか?」
 蓉可は笑った。
「もうみんなお国にお下《くだ》りあそばしましたけれど、泰麒もお下りになれば、お会いになれますとも」
「下る?」
「王をお選びになって、蓬山をお下りになれば」
「王──。王様がいるんですか?」
「はい。泰麒のご主人が王でございますよ」
「ご主人?」
「麒麟《きりん》は王を選び、王にお仕《つか》えするもの。それまで泰麒をおあずかりするのが、蓬山の役目でございます」
 きっと自分は王様のところで働くことになるのだ。どの王様のところで働くのか、それを決めるまでここにいて、ひょっとした修行か何かをするのかもしれない。
 展望が開けて、泰麒は昨日からずっと感じていた途方にくれる気分が少し軽くなった気がした。
「でも、ぼくにそんなたいそうな仕事ができるかな」
 まあ、とつぶやいて蓉可は声をあげて笑う。
「おできになりますとも。だって泰麒は麒麟ですから」
「キリンは王様のところで仕事をするものなの?」
「そうでございますよ」
「じゃあ、ほかのキリンも?」
 うなずいて、蓉可は指を折る。
「ここには国が十二、あります。それぞれ、王がひとりで、十二人。麒麟も十二、ひとりの王にひとりの麒麟、そういう決まりになっているのでございます」
「へぇ……」
「ただし、いまは王が十一人しかおられません。北東の国、戴国《たいこく》の王様は十年も前に亡くなられて、次の王様が決まっていないのです」
「戴国のキリンは?」
 蓉可は笑って、泰麒の顔をのぞきこんだ。
「ここにいらっしゃいますでしょう?」
「──ぼく?」
「さようでございますよ。泰麒は戴国の麒麟《きりん》、だから『泰麒』とお呼びするんです。王はこれから泰麒がお選びになる。誰を王にするか決めるために、麒麟はいるのですから」
 泰麒がまばたきをした。
「そんな、大切なことをぼくが決めていいの?」
 蓉可は深くうなずいた。
「それは泰麒にしか、決められないことなのです。──さ、ここが桑園《そうえん》でございますよ」
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