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十二国記173

时间: 2020-08-27    进入日语论坛
核心提示: ──どうしてこんな、情けない子ができたんやろね。 祖母はいつもそういった。 ──いいのよ、と言う母親の、なでてくれる手
(单词翻译:双击或拖选)
 ──どうしてこんな、情けない子ができたんやろね。
 祖母はいつもそういった。
 ──いいのよ、と言う母親の、なでてくれる手は女仙《にょせん》の手と同じ温度をしていた。
(おばあちゃんの言うことを気にしなくてもいいの。いまのまま、優《やさ》しい子でいてくれたら、それでいいんだから。お母さんは、それで嬉《うれ》しい)
 だったら、どうして母親は何度も何度も泣く必要があったのだろう。
 ごめんなさい、と言うと、謝《あやま》る必要はない、と言う。涙をためた目で微笑《わら》って、そっとなでてくれるのだ。
「気にしなくていいんですよ」
 女仙もまた同じように言って、泰麒《たいき》の背中をなでた。暖かな手で泰麒の手を引いて、露茜宮《ろせんきゅう》に連れ戻ってくれた。蓉可《ようか》も禎衛《ていえい》も、同じように慰《なぐ》めてくれた。
「焦《あせ》らなくていいんですよ」
 そうですとも。転変《てんぺん》できようとできまいと、泰麒が麒麟《きりん》なのは確かなんです。少しも気にすることはないんですよ」
(気にしなくていいの)
「本当に、景台輔《けいたいほ》も大人《おとな》げのない」
(おばあちゃんは、怒りっぽい人なの)
「そんなにお泣きにならないで。転変《てんぺん》できなくたって、少しもかまわないですから」
(謝ったりしなくてもいいのよ)
「そうですとも。泰麒がそんなに気に病まれるようなことじゃないんですよ」
 汕子《さんし》もまた、いたわるようになでてくれる。なでたその手で抱き上げてくれて、泰麒の顔をのぞきこんだ。
「……少しお外にまいりましょうか? いい夕風が吹いておりますよ」
 誰もが優《やさ》しいのでいっそう辛《つら》かった。暖かな手も柔らかな声も、かえってせつない。
「いってらっしゃいませ、泰麒」
 言って蓉可は袍《ほう》を一枚かけてくれた。
「夕餉《ゆうげ》にはお帰りなさいましね。今日は玄君《げんくん》も御一緒くださるそうですから、きっとにぎやかになりますよ」
 蓉可に送られ、汕子に抱かれて宮を出ても、やはり涙が止まらなかった。
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