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十二国記200

时间: 2020-08-27    进入日语论坛
核心提示: 驍宗《ぎょうそう》は岩場を駆《か》ける。李斎《りさい》が呑《の》まれた穴まで駆け寄った。 その暗い穴は下へ下っている。
(单词翻译:双击或拖选)
 驍宗《ぎょうそう》は岩場を駆《か》ける。李斎《りさい》が呑《の》まれた穴まで駆け寄った。
 その暗い穴は下へ下っている。かなりの段差がありそうだった。
「驍宗殿!」
「汕子とやら、公《こう》を連《つ》れて逃げよ。計都《けいと》に乗って蓬山《ほうざん》に帰れ」
 汕子はうなずいたが、泰麒はすでに驍宗のほうへ駆けだしていた。
「泰麒《たいき》、いけません!」
 走る子供を、汕子は跳躍して抱きとめる。
「だって、李斎殿が!」
 穴を示した泰麒を驍宗は目線で止めた。
「李斎のことは、わたしに任されよ。公は外へ」
「できません!」
 驍宗は泰麒の声には返答せず、穴の底へ飛び下りた。泰麒は汕子の腕《うで》をかいくぐる。
「泰麒!」
 泰麒は転《ころ》がる勢いでその穴に駆けつける。伸ばされた汕子の手を払って、委細かまわず穴の中に飛びこんだ。
 ──断固として、驍宗だけには行かせられない。
 
 かなりの落差があったが、先回りした汕子が麒麟を受け止めた。
「──泰麒」
「だめ! 逃げない!!」
 汕子は思わず泰麒の身体《からだ》にかけようとした手を引く。なぜかその声に逆らえなかった。
 ──どうしたこと。
 汕子は一瞬、状況を忘れて自分の手を見た。
 泰麒は汕子の主人だが、いまはなによりも泰麒自身の安全が優先する。泰麒を連れてこの危険な──危険の正体は不明だが──場所から逃げなければ。多少泰麒のいいつけを無視しても、多少乱暴な手段をとっても。
 そう思うのに、泰麒をおしとどめた腕《うで》は、かるがるとかいくぐられてしまった。いまも、思わず手を引いてしまった。
 ──なぜ。
 泰麒には、そんな汕子にかまう余裕はなかった。
 穴の底はまるで鍾乳洞《しょうにゅうどう》のような広い空洞になっていた。明かりは驍宗の持ちこんだ松明《たいまつ》だけ、床に放り出されたその光では穴の奥行きは計《はか》り知れない。
 すぐ前に抜刀した驍宗の背中が見えた。そしてその足元、いくらもはなれていないところに倒れた李斎。
 さらにそれから、李斎に覆《おおい》い被《かぶ》さるようにした、巨大な闇《やみ》。
 それは闇の塊《かたまり》のように見えた。鎌首《かまくび》を持ち上げるようにして掲《かか》げられた闇の一部が、まっすぐに李斎を狙《ねら》っていた。
「──饕餮《とうてつ》!!」
 それは汕子の悲鳴だった。
 ──なんということ。
 汕子はまじまじと妖魔《ようま》を凝視《ぎょうし》する。それを単なる妖魔と呼んでいいものか。非常識なほどの力と、ほとんどその姿を見られぬゆえに、すでに伝説の一部だとさえ信じられている妖《あやかし》。汕子には守りきれない。──この世の誰だろうと、饕餮に対峙《たいじ》して、なにかを守りおおせるとは思えない。
 李斎が顔だけをあげた。
「──公、逃げて!!」
「できません!」
 叫んだ泰麒を驍宗が突く。
「公は戴国《たいこく》に必要な方。ここで死んではならない!」
「ぼくだけ逃げるなんて、できません!」
 悲鳴があがった。
 振り下ろされた鎌首が李斎を打ちすえて、さらにそのまま驍宗を襲う。
 横に飛んで倒れた驍宗の頭上を掻《か》いて、さらに大きく振りあげられた。
 ──止めなくては。あの恐ろしい凶器を止めなくては。
(どうやって?)
 考えるより先に身体《からだ》が動いた。
 ──剣印抜刀。
「臨兵闘者皆陳烈前行《りんびょうとうしゃかいぢんれつぜんぎょう》──!!」
(止めるだけなら)
 影がぴたりと動きを止めた。
(それから……どうするんだったか)
 叩歯《こうし》。──これは震えでままならない。
 闇《やみ》の一部が振りかえった。低い位置に松明《たいまつ》の火を照り返す二つの目がある。
 視線が合った。──合ってしまった。
「……逃げてください」
 その双眸《そうぼう》をにらみ返したまま。いったいどれだけ持ちこたえられるか。
「汕子、李斎殿を」
「──泰麒」
「李斎を連《つ》れていって!」
 ──まただ、と汕子は歯噛《はが》みをする。
 泰麒の言葉に逆らうことができない。
 汕子は倒れた李斎に駆《か》け寄った。
 血に濡れた身体を抱えあげて駆け戻り、泰麒に一瞥《いちべつ》をくれて穴の外に飛び出していった。
「……驍宗殿も。いまのうちに、逃げてください」
 倒れた驍宗は視野の中にいない。怪我《けが》はないのか、確かめる余裕さえなかった。
 淀んだ血の塊《かたま》りのような、ふたつの目を見返す。
「お願いです……!」
 低い声で返答があった。
「できぬ」
 もう一度懇願するゆとりが、泰麒にはなかった。
 視線が圧力を持つものであることを、初めて知った。
 押し寄せる力と、押し戻す力と。
 ふたつの力が充満して空洞の中の時間が凍結した。
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