日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

十二国記209

时间: 2020-08-27    进入日语论坛
核心提示:「泰麒《たいき》」 悄然《しょうぜん》とうつむいてた泰麒が突然立ち上がったのを見て、汕子《さんし》はあわてて腕《うで》を
(单词翻译:双击或拖选)
「泰麒《たいき》」
 悄然《しょうぜん》とうつむいてた泰麒が突然立ち上がったのを見て、汕子《さんし》はあわてて腕《うで》を伸ばした。駆《か》け出した身体《からだ》を抱き止めた。
「いけません、夜は──」
 昼や早朝の比ではないのだ。時間は深夜をまわって生気に転じたばかり、これから妖魔《ようま》はもっとも活発になる。
「だめです、泰麒……!」
 泰麒は汕子の手をかいくぐる。
 どうあっても耐えられない。驍宗《ぎょうそう》と決別することだけは、耐えることができない。
「──どうしたの、汕子」
 露茜宮《ろせんきゅう》から蓉可《ようか》が顔を出した。数人の女仙《にょせん》がその背後から不審《ふしん》そうな表情をのぞかせている。
 女仙《にょせん》と汕子と傲濫《ごうらん》と。どんなに駆《か》けても、必ず捕まる。わかっていてなお、泰麒は駆けずにおれなかった。
 汕子は跳《と》んで、逃げた子供の先へ降り立った。どうあっても、夜の黄海《こうかい》へ出すわけにはいかない。
 李斎《りさい》の傷と、傲濫の身に染《し》みついた血気のせいで長く寝込み、ようやく外出できるようになったばかりなのだ。体力が落ちれば気力も削《そ》げる。いま妖魔《ようま》に出会っても、折伏《しゃくぶく》することは不可能に近い。
 そして同時に、主《あるじ》の力が弱まれば使令《しれい》の力もまた弱まる。汕子も傲濫も、すでにそれほど泰麒と縁が近い。汕子自身にもわかっていた。小物の妖魔ならいざしらず、傲濫のごとき妖魔に出会えば、この麒麟《きりん》を逃がしてやることさえできない。
 必死の思いで、駆ける身体《からだ》を抱き止め、捕まえようとした。
「泰麒」
 ──かわされた。
 汕子は空《くう》を抱いた己《おのれ》の両手を見る。確実に捕《と》らえたと思ったのに。
 わずかに狼狽《ろうばい》し、すぐさま振りかえってさらに腕《うで》を伸ばす。泰麒の手を捕らえようとした手はまたも宙をつかんだ。子供はただ、がむしゃらに逃げようとしているとしか思えないのに、やはり捕らえることができなかった。
 ──同じだ、と汕子は瞠目《どうもく》する。
 傲濫を捕らえた、あのときと同じだ。なにかの罠《わな》にはまりこんだように、どうしても泰麒を捕まえることができない。
 ──なぜ。
 ようやく己の力に目覚めはじめたばかりの、小さな無力な麒麟でしかないのに。
「傲濫!」
 汕子の声に、岩陰から躍《おど》り出た獣《けもの》が泰麒のゆくてを遮《さえぎ》ったが、細い小道いっぱいに立ちふさがった獣を、どんな魔術でか泰麒はかわした。
 もう一度跳躍して汕子は子供の正面に立ちふさがった。抱き止めようとした腕をかわされ、かろうじて腕をつかみかけ、そうしてそれすらもかわされて、やっとのことで夜着をつかんだ。
「泰麒、お願いです、夜は──」
 汕子は言葉をとぎらせた。駆けつけてきた女仙もまた口を開けて足をとめる。
 汕子がつかんだ夜着はふわりと抵抗を失って手の中に残された。
「あ……」
 思わず声をあげ、同じように声をあげ顔をあげている女仙《にょせん》の視線を追う。
 月の夜、奇岩は黒く、影の色もまた黒い。稜線だけがわずかに銀の、その奇岩のあいま。
 ──燐光《りんこう》を放って夜を駆《か》け上がっていく獣《けもの》が見えた。
「泰麒……」
 まだ短い鬣《たてがみ》は鋼《はがね》の色。
 黒に銀と雲母《うんも》を散らした背、漆黒《しっこく》の脚、漆黒の首。
 額《ひたい》に短く真珠の一角。
 ──追わなければ。
 汕子は手の中に残された夜着を握りしめる。
 だがしかし、全力で疾走する麒麟《きりん》に追いつけるものが、この世にいようはずもない。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%