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十二国記210

时间: 2020-08-27    进入日语论坛
核心提示: 泰麒《たいき》はただ、走ることしか考えていなかった。 傲濫《ごうらん》をよけて汕子《さんし》の手をかいくぐり、ただ走ろ
(单词翻译:双击或拖选)
 泰麒《たいき》はただ、走ることしか考えていなかった。
 傲濫《ごうらん》をよけて汕子《さんし》の手をかいくぐり、ただ走ろうとしたときにふいに身体《からだ》が軽くなった。それに励《はげ》まされて数歩を駆け、やっと自分が浮遊《ふゆう》しているのに気がついた。
 転変《てんぺん》した己《おのれ》に気づくまでに三歩、振りかえって見た露茜宮《ろせんきゅう》は後方はるかに遠い。
 違和感も苦痛もなかった。先へ、と願うと四肢《しし》は応《こた》えて疾走した。
 甫渡宮《ほときゅう》まではさらに三歩、昇山《しょうざん》の者たちが灯《とも》した松明《たいまつ》の火は、潤《うる》むように尾を引いて遠ざかった。
 
 最初にそれに気づいたのは|※[#「馬+芻」、unicode9a36]虞《すうぐ》だった。
 驍宗《ぎょうそう》は乗騎を見やった。月のあるうちに狩りをしようと、鞍《くら》の準備をしていた手を止める。
「どうした?」
 ※[#「馬+芻」、unicode9a36]虞は天の一郭《いっかく》を見上げて、低く喉《のど》を鳴らしている。
 最初は妖魔《ようま》の夜襲かと思った。
 眉《まゆ》をひそめて※[#「馬+芻」、unicode9a36]虞の視線を追い、そうして驍宗はそれを見つけた。月を背に駆けてくる優美|窮《きわ》まりない獣。
 ──黒麒《こっき》。
 感嘆と同時に未練が首をもたげた。未練を残す己を許せないから、こんなに早くに下山した。
 起きだしてきた者が一様に空を見上げて声をあげる。麒麟《きりん》は蛍火《ほたるび》のように光の尾を引いて野営地を見下ろす岩の上に降り立った。
 そこは潅木《かんぽく》と岩とに囲まれた窪地だった。五つ灯《とも》された松明《たいまつ》の内側に、天幕《てんまく》と乗騎と、呆《ほう》けたように空を見上げる人々の姿があった。
「これは……みごとな麒麟だ」
 最初に声をあげたのは驍宗だった。微笑《わら》って言って、鞍《くら》を地に置く。
「どうなされた、公《こう》。わざわざお見送りくだされるのか?」
 泰麒はためらい、それから岩を下りて窪地に立った。自分が罪に踏《ふ》みこもうとしている自覚があった。
「無事|転変《てんぺん》なされたな。お喜び申しあげる。しかし、ふたつとない希《まれ》な姿を見せていただけたのは嬉《うれ》しく存ずるが、とても公とは思えぬな」
 返答など、できない。
「いくら使令《しれい》がおられるとはいえ、いささか無用心にすぎよう。早く宮に戻られよ」
 泰麒が動かないのを見てとって、驍宗は荷物の中から袍《ほう》を引きだす。
「──それとも、なにかご用がおありか?」
 袍を広げてくれたので、泰麒は獣形を解《と》いた。どうすれば人に戻れるのかもう漠然とわかっていたし、実際、人に戻ることにはなんの造作もなかった。すとん、とやや身体《からだ》が重くなった気がしただけだ。
 袍にくるまれながら驍宗を見上げた。見返してくる目はどこか烈《はげ》しかったが、怖《こわ》くはなかった。
 ──怖いのは自分だ。いったい、なにをしようとしている。
「……驍宗殿」
(……天啓《てんけい》がないのに)
 だが、ほかに方法がない。
 泰麒は膝《ひざ》をついた。驍宗が目を見開いた。
「──公」
 頭を下げる。深く。──深く。さながら許しを乞《こ》うように。
「……御前《ごぜん》を離れず……詔命《しょうめい》に背《そむ》かず……忠誠を誓うと」
 これは裏切りだ。摂理《せつり》に対する、女仙《にょせん》に対する、王に対する、ありとあらゆるすべてのものに対する。
「誓約します……」
(こんなことは、してはいけないのに……!)
 驍宗は少しの間、無言だった。
 あの視線が痛いほどに注がれているのを泰麒は感じた。
 いまならば、まだ引き返すことができる──そう思ったときに、深く静かな声が頭上から降ってきた。
「──許す」
 もはや引き返すすべもなく、泰麒はさらに深く頭を下げた。そのまま倒れ伏してしまいたいほど、苦しかった。
 なんという裏切り。これまで慈愛を注いでくれたすべての人に対する、国と王と、民と、驍宗自身を欺《あざむ》く途方もない偽《いつわ》り。
 その足の甲に額《ぬか》づいた。罪に刺し貫かれて、目の前が真っ暗になる。
 ──引き返したい。
 こんなものは嘘だと、そう叫んでしまいそうだ。
 ほとんど喉元までせりあがった叫びを遮《さえぎ》ったのは、浮遊感《ふゆうかん》だった。
 驍宗の手が泰麒を抱き上げる。驚いて見返した先に、誇《ほこ》らしげな驍宗の笑みがあった。
「礼を言う、──泰麒!」
 返す言葉もないうちに、周囲からどよめきが起こった。驍宗は泰麒を抱きあげたまま周囲を見渡す。これ以上ないほど誇《ほこ》らしげに見渡してから、泰麒に向かって破顔した。
「おまえは小さいのに見る目がある」
 まっすぐな視線を受け止めかねて見やったほうに、駆《か》けつけた汕子の姿が見えた。
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