日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

十二国記228

时间: 2020-08-29    进入日语论坛
核心提示: 世界の果てには虚海《きょかい》と呼ばれる海がある。この海の東と西に、ふたつの国があった。常には交わることなく、隔絶され
(单词翻译:双击或拖选)
 世界の果てには虚海《きょかい》と呼ばれる海がある。この海の東と西に、ふたつの国があった。常には交わることなく、隔絶されたこの二国には、ともにひとつの伝説がある。
 ──海上遥か彼方《かなた》には、幻の国がある、と。
 そこは選ばれた者だけが訪ねることのできる至福の国、豊穣《ほうじょう》の約束された土地、富は泉のように湧《わ》き、老いも死もなく、どんな苦しみも存在しない。一方の国ではこれを蓬莱《ほうらい》と呼び、もう一方の国ではこれを常世《とこよ》と呼んだ。
 互いに異界に隔絶されたその二国、蓬莱国と常世国の双方で、ひとりの子供が目を覚ました。──ともに深夜のことである。
 
      ※
 
 彼はふと、話し声で目を覚ました。暗闇《くらやみ》の中、ぼそぼそと声が這《は》う。父親と母親の声が家の外から聞こえたのだ。
 家といっても、四本の棒の間、壁と屋根の代わりに筵《むしろ》を張っただけの粗末なものだ。寝床は土の上、虫の音《ね》が盛んな頃だけれども、くるまる布さえない。間近の兄姉の体温だけがよすがの寝床だった。以前住んでいたのはもっとましな家だったが、その家はもうない。焦土《しょうど》と化した都の隅で灰になってしまった。
「……しかたない」
 父親の声は低い。母親は、でも、と口ごもった。
「そりゃあ、一番下だけれども、あの子は聡《さと》いから怖《こわ》い」
 彼は闇の中でぴくりと体を震わせる。自分のことを話しているのだと分かって眠気《ねむけ》が飛んでいった。
「だが……」
「分別もあるし、知恵もまわる。同い年の他の子は、まだろくにしゃべれもしないっていうのに。まるでどこかから下されたみたいで」
「そりゃあ、そうだが。しかし、それにしたってまだまだ子供だ。きっとなにが起こったか分からんさ」
「そうじゃなく。あの子を死なせたら祟《たた》りそうで」
 子供は襟《えり》をかきあわせる。暗闇の中で小さく丸くなって眠ろうとした。ふたりの声を聞いていたくなかった。彼は生まれてまだ四年と少ししか経《た》っていなかったけれど、何の話なのか分かってしまったので。
 声は続いていたが、彼は強《し》いて聞かないようにした。意識から追い出して、無理にも眠りに落ちていく。
 
 父親が、坊、と顔をのぞきこんできたのは、その二日後だった。
「お父《とう》は用事に行く。坊もいっしょに行くか?」
 どこに、とも、なんで、とも彼は訊《き》かなかった。
「うん。いく」
 そうか、と父親はどこか複雑そうな表情で手を差し出した。彼はその手をしっかり握った。大きな手のごつごつした感触に包まれて、家を離れ、一面の焼け跡を歩いた。衣笠山《きぬがさやま》からさらに奥に分け入り、斜面を何度も登り降りして、さすがの彼もどこから来たのか分からなくなった頃に、父親はやっと手を放した。
「坊、ここにいろな。すぐに戻る。待ってろ」
 うん、と彼はうなずく。
「いいか、動くんじゃねえぞ」
 うん、ともう一度うなずいて、何度も振り返りながら林を去っていく父親の背を見送った。
 ──動かない。かならず、ずっとここにいる。
 彼は拳《こぶし》を握って、父親が姿を消した方向を見つめていた。
 ──ぜったい、家にかえったりしないから。
 その誓いのとおり、彼はその場を一歩も動かなかった。夜になればその場に眠り、ひもじくなれば手の届く範囲の草をむしって根を掘った。飲むものは夜露でこらえた。三日目には、動きたくても動くことができなかった。
 ──大丈夫、ぜったい、もどったりしない。
 戻れば両親が困ることを、彼は理解していた。
 都は燃えつき、あたりは死者の骸《むくろ》で敷き詰められた。父親を雇《やと》っていた男は西軍の足軽《あしがる》に殺された。職もなく、家もない一家がこの先生きていくためには、働くこともできず、ただ食べるだけの子供を、ひとりでも減らさなくてはならないのだ。
 彼は目を閉じ、意識が混濁するにまかせた。眠りに落ちる前に獣が草をかき分けるような音を聞いた。
 ──ここで、待ってる。
 一家がなんとか生き延びて、落ちついて、幸せになって、それでふと彼のことを思い出して、弔《とむら》いのためにやってきてくれるのを待っているから。
 いつまでだって、待っているから。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%