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十二国記260

时间: 2020-08-30    进入日语论坛
核心提示: 件《くだん》の元州《げんしゅう》より使者が来朝したのは、宰輔《さいほ》六太《ろくた》が消えてから、ほぼ十日のことである
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 件《くだん》の元州《げんしゅう》より使者が来朝したのは、宰輔《さいほ》六太《ろくた》が消えてから、ほぼ十日のことである。
「ほう。──元州か」
 尚隆《しょうりゅう》は朝議のさなかで、官の小言に耳を傾けるふりでやりすごしていた。六官を罷免《ひめん》した。六官それぞれの次官ははほとんどが子飼いの部下だから、なぜ罷免したとうるさく吠《ほ》える。
 これ幸いと、使者を通すように命じる。ややあって案内されてきたのは、五十かそこら、礼装を整えた男だった。彼は玉座《ぎょくざ》の前にひざまずいて進み、そこで深く叩頭《こうとう》する。
「元州から来たとか」
 尚隆が声をかけると、額を床につけたまま答えた。
「小官は元州|州宰《しゅうさい》、院白沢《いんはくたく》と申します」
「その州宰が何用か」
 白沢は懐《ふところ》に差した書状を出して、ぬかずいた頭の上に掲げる。
「我が州、令尹《れいいん》よりの上奏がこれに」
「面を上げるがよかろう。──面倒だ。お前の口から聞く」
 は、と白沢は白いものが目立つ髭《ひげ》をたくわえた顔を上げた。
「では、僭越《せんえつ》ながら。──台輔《たいほ》延麒《えんき》は元州にご滞在でございます」
 諸官が息を呑《の》んだ。
「──それで」
「王の上に上帝位を設け、これに我らが主君、元伯《げんぱく》をお就《つ》けいただきたい」
 斡由《あつゆ》は本姓を接《せつ》、その氏、元。名を祐《ゆう》という。
「なるほど、斡由の望みは王位ではなく上帝位か。──考えたな」
「元伯をおさおさ王を蔑《ないがし》ろにするものではございません。王位の威信はそのまま、ただその実権を元伯にお譲《ゆず》りいただきたいだけ」
「では、冢宰《ちょうさい》をやろうか」
「おそれながら、王の臣下にすぎず──」
「あくまで王の上でなければ嫌《いや》だというわけだな」
「名誉の王と実務の王と、二王は国を荒らすもとでございましょう。名実ともに実権をどなたかにお譲りになり、王におかれましては離宮へとお運びいただければ、百花の競うをお目にかけまする。園甫《えんぽ》でごゆるりと風懐《ふうかい》に励まれませ」
 尚隆は爆笑した。
「なるほど、斡由に上帝位をくれてやれば、俺は美姫《びき》の咲きそろう田舎《いなか》でのんびり遊び暮らせるというわけだ」
 白沢は深く叩頭《こうとう》する。
「──斡由に伝えろ」
「──は」
「俺は自分のものをくれてやるほど心広くはないのだ」
 主上、と官の誰かが声をあげたが、尚隆は手を振って口を閉じさせた。
「延麒を返せ。ならば温情を下して自刎《じさつ》させてやると斡由に伝えよ。あくまでも延麒を盾《たて》に事を構えるというのならば、必ず捕らえて天下の逆賊として馘首《しょけい》する」
 白沢はわずかののち、深くその場に叩頭した。
「──確かに承りました」
 尚隆は立ちあがる。腰に帯びた太刀《たち》に手をかけた。朝議の間に武器を携帯して入室できるのは、王とその護衛官だけである。
「……白沢とやら。生きて元州へ帰れると思うか」
 白沢は叩頭《こうとう》したまま顔を上げない。いえ、と返答は明瞭《めいりょう》だった。
「州宰のお前を使者に命じたのは斡由か」
「わたくしが自らお願い申しあげたのでございます。もとより帰城あたわぬことは存じておりますゆえ、前途ある若者には任せられませぬ」
「こういう場合、使者の首を斬《き》って元州城へ投げこんでやるのが筋だな」
「家内を整理して参りました」
 尚隆は白沢の前に片膝《かたひざ》をつく。抜刀《ばっとう》した太刀《たち》の峰で顎《あご》をすくい、その顔を上げさせた。
「逆賊の末路は知っているな?」
「もちろん、存じあげております」
 白沢の目はゆらぎない。尚隆は半ば感嘆して苦笑を浮かべる。
「──肝《きも》が据《す》わっている。殺すのは惜《お》しいな。お前、国府に仕《つか》える気はないか」
「小官の君は元伯でございますれば」
「百官の主《あるじ》は王であると思ったが」
「拙《せつ》が官を賜《たまわ》りましたのは、元州候よりのことでございます。候を任じられたのは梟王《きょうおう》。では、主上よりお任せいただいた官位とは申せますまい。それとも主上におかれましては、候に信任をいただいて、以後末永く候位を安堵《ほしょう》くださいましょうか」
 なるほど、と尚隆は苦笑混じりに太刀を納める。
「どうやらお前に理があるようだ」
 白沢はただ一礼する。
「主君の命なら、謀反《むほん》にも手を貸すか。仮にも州宰ならば、令尹の短慮をたしなめるのが道であろう」
「元伯にも申し分がございます。あえて逆賊の汚名を着る元伯の苦吟《くぎん》をお察しください」
「第一、斡由は州侯ではない。お前たちの主にはなりえぬはずだ。州侯の息子だからか? こちらには血筋を尊ぶ風習はなかったと思うが」
「候はすでに政《まつりごと》をお引きになり、全権を元伯に委譲されておられます。これは小州の諸官も納得のことがら、主君に足るお方とお見受けしましたゆえ、我らは主にお迎えしたのでございます」
「事実上の州侯というわけか? では二重の簒奪《さんだつ》だな。州侯位は王が任じるもの、たとえ州諸官の合意があろうとも、お前たちが勝手に決めてよいことではない。そのうえさらに玉座《ぎょくざ》まで寄こせと言うか」
「──いかに仰《おお》せられましても、すでに元州の意は定まっております」
「……なるほどな」
 尚隆は立ち上がる。軽く手を振った。
「戻るがいい。斡由に返答を伝えよ」
「お帰しくださるのでございますか」
「返答を伝える者が必要だろう。帰って伝えろ。お前は逆賊になったのだ、とな」
「……畏《かしこ》まりまして」
「できれば戦いたくはない。気が向いたら斡由に思いとどまるよう進言してくれ」
「気が向いたら、でございますか」
 初めて真っ向から見てきた白沢の目を、尚隆は笑みで受け流した。
「この世には天意があるという。真実俺が天命のある王なら、謀反《むほん》など成功すまいよ。あえて天意を試そうというなら好きにするがいい」
「主上は天命のご威光を信じていらっしゃるのでございますね」
 信じるもなにも、と尚隆は苦笑した。
「玉座《ぎょくざ》にふんぞり返っている以上、俺が天意を疑うわけにはいくまい。天意などないと言ってしまえば、そうやって頭を下げているお前たちの立場がなかろうが」
「さようで……ございましょうか」
「内乱など起これば誰にとっても迷惑なだけだが、俺は立場上、天命を踏みにじって喧嘩《けんか》を売られれば買わざるをえん」
 言って尚隆は、悲喜さまざまの表情を浮かべた諸官を見やる。
「州宰を靖州《せいしゅう》の外まで送ってやれ。わざわざ返答の使者をたてて、斡由に殺させたくはないからな。州宰に危害を加える者があれば、そいつを州侯城への使者にするぞ」
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