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十二国記288

时间: 2020-08-30    进入日语论坛
核心提示: 成笙の許《もと》に知らせが届いたのは、勇前らが騎馬を見かけていくらも経《た》たない頃である。空にはまだ黄昏《たそがれ》
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 成笙の許《もと》に知らせが届いたのは、勇前らが騎馬を見かけていくらも経《た》たない頃である。空にはまだ黄昏《たそがれ》が残っていた。
「元州師が北囲に! 民と乱戦になっています!」
 なに、と成笙はつぶやいて、駆けだした。
「一旅《いちりょ》でいい、俺に続け!」
 成笙は乗騎に飛び乗る。梟王《きょうおう》より拝領した吉量《きつりょう》という妖獣、下した王は憎《にく》いが、乗騎までを憎むことはあるまい。同じく妖獣、天馬に乗騎した部下に命じる。
「先に行け! とにかく民に退《さが》らせろ!」
 部下を先に飛行して向かわせ、成笙は一|旅《りょ》五百兵を率いて東へ駆ける。その現場へはいくらも経《た》たずに到着した。というのも、そもそも成笙は一師二千五百だけを率いて、ひそかに北囲に布陣していたからである。
「斡由《あつゆ》め、やはり」
 成笙はつぶやいて、後に続く兵卒に先を示す。
「堤《つつみ》を守れ!」
 
 勇前はあやうく太刀《たち》でなぎ払われそうになって、転《ころ》がってそれを避けた。転がりざま、石を掴《つか》む。──たとえ何を失っても、漉水を溢《あふ》れさせるわけにはいかない。
 河からあがってきた州師二百騎、近くの里《まち》から駆けつけた数十の民が、たちまちのうちに乱闘になった。無論市民は兵卒の敵ではありえないが、三人が倒れれば新たに三人が駆けつけてくる。
 どこかから退《ひ》け、と怒号が聞こえた。退いてたまるか、と勇前は思う。掴んだ石を投げ、さらに掴んだ石を振り上げ、目前の兵士に殴りかかる。太刀の一撃が襲ってきたが、これには腕の先を掻《か》き切られただけですんだ。転がり逃げて、再び石を掴む。それを投げつけようとしたときに、近くから鬨《とき》の声が聞こえた。
 王師、と誰かが叫んだ。
「王師が来てくれた──!」
 
 成笙は薄く皮肉げな笑みをひらめかせ、帯びた槍《やり》の鞘《さや》を払った。
 ──漉水に堤を築き、これをもって斡由を試せ。
 尚隆《しょうりゅう》が毛旋《もうせん》に託した書状にはそうあった。もしも斡由が堤を切れば、自分たちに勝機がある、と。
「ふざけた奴だが、暗愚《あんぐ》ではない」
 つぶやいて、成笙は吉量を走らせる前に一瞬対岸の頑朴山を見やった。
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