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十二国記307

时间: 2020-08-30    进入日语论坛
核心提示: 世界の南西に才州国《さいしゅうこく》という国がある。その一地方、保州《ほしゅう》の塵県《じんけん》に琶山《はざん》とい
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 世界の南西に才州国《さいしゅうこく》という国がある。その一地方、保州《ほしゅう》の塵県《じんけん》に琶山《はざん》という凌雲山《りょううんざん》があった。
 凌雲山は王または諸侯の居宮、さもなくばその麓《ふもと》までがなべて禁苑《きんえん》——すなわち、王の所有物だった。そこは王の苑《にわ》であり、あるいは離宮であり、さらには陵墓であったりする。しかしながら、この琶山は先々代の王によってひとりの女に下賜《くだ》されていた。女は山頂に近い中腹に居を構えている。その住処《すみか》を称していわく、翠微洞《すいびどう》という。
 翠微洞に住むのは仙《せん》だった。先々代の王——扶王《ふおう》と諡《おくりな》す——の勅免《ちょくめん》によって昇仙し、ここ琶山は翠微の峰に洞府を構えた。よって通称を翠微君《すいびくん》という。かつての名を梨耀《りよう》、扶王の愛妾《あいしょう》であった。
 その梨耀は払暁《ふつぎょう》、己《おのれ》の洞府の門前に立った。下男下女はいるが、それだけの寂しい住まいだった。人の活気を求めて麓近い街を訪ねてみたりはするが、不老にして不死とも近い身となれば、交わる人もなきに等しい。ほんのわずか、片手で足りないほどの知人はことごとく仙、そのうちのひとりを訪ね、洞府を出発しようというところだった。
 下界をはるかに見下ろす翠微の峰、洞府の門前は人の身には登攀《とうはん》ならぬ千尋《せんじん》の断崖、梨耀は乗騎の手綱《たづな》をとる。彼女が乗騎としているのは扶王より賜《たまわ》った赤虎《せっこ》。宙を駆《か》ける虎《とら》を使って、彼女は必ず正門から出入りする。馬や徒歩で下山できる隧道《すいどう》がありはしたが、陽《ひ》の当たらぬ裏道をこそこそと通行することは、梨耀の矜持《きょうじ》を傷つけるのだ。
「お早くお戻りくださいませ」
 洞主を見送る下男下女が門内に列を整え、いちように深く平伏した。澄んだ晩秋の空気の中に、彼らの息が淡く白く流れる。梨耀はそれを眺め渡して軽く目を眇《すが》めた。その数、十と二人。
「送り出すときには、威勢が良いの」
 梨耀は皮肉な笑みをはく。
「わたしが出かけるのが、そんなに嬉しいかえ。やかましい主《あるじ》がいなくなって、さぞかし羽を伸ばすつもりだろうねえ」
 くつくつと梨耀は笑う。下僕《しもべ》の返答はなかった。じっと寒風を耐える鳥のように、身を縮《ちぢ》めてうずくまっているばかり。
 梨耀は平伏した下僕のうち、ひとりの娘に目を留めた。どうということもない娘だ。洞府の下僕の中ではいちばん若いということ以外に、さしたる取り柄も特徴もない。字《あざな》は木鈴《もくりん》というが、そんな名で呼んだことはなかった。
「戻らねばいい、と正直に言ってもいいのだえ。——どうだい、笨媽《ほんま》?」
 愚《おろ》か者《もの》、との意をこめて、梨耀《りよう》は嘲笑《ちょうしょう》を含んだ朱唇《しゅしん》にその通称《とおりな》をのせた。娘がおどおどと目を上げる。やせた顔に目ばかりが大きい、その瞳《ひとみ》に梨耀は笑みを注ぐ。
「本当は戻ってほしくないのだろう?」
 とんでもない、と娘は首を横に振った。
「一同、洞主さまのお帰りをお待ちしております。あの……お気をつけて」
「お前に気を遣ってもらわなくても、半月もすれば帰るとも。それとも、もっと早く帰ってほしいかえ?」
 娘は困ったように局囲を見やり、梨耀の顔を怯《おび》えたように見上げてから、はい、と答えた。梨耀は声をあげて笑う。
「なるほど。そうまで言うのなら、一日も早く帰ってやろうよ。さぞかし手厚く迎えてもらえるのだろうねえ」
「はい、それはもちろん」
 では、と梨耀は下僕《しもべ》たちを見渡した。
「玉膏《ぎょっこう》を醸《かも》しておいてもらおうかね。洞《どう》を磨きあげて、庭を整えておいで」
 娘の顔色が変わった。玉膏は世界中央、五山《ござん》で産出する石、これを呪《じゅ》をもって醸せば霊酒になるが、そうそう簡単に拾ってこれる石ではない。
「どうしたえ? 手厚く迎えてくれるのだろう? 箴魚《しんぎょ》を焼いて、瑤草《ようそう》を煮てもらおうか。洞には塵《ちり》ひとつ残すのじゃないよ。庭に枯れ葉一枚あったら承知しないからねえ」
 無理難題を承知で挙《あ》げて、くつくつと梨耀は笑う。
「ついでに壁と柱を塗り替えてもらおうかね。——それがいい。塗りたての建物ぐらい、胸のすくものはないから。笨媽《ほんま》、頼んだからねえ」
 娘はおろおろと周囲を見回したが、周囲の下僕は顔を上げない。
 それを眺めて、梨耀は白貂《はくてん》の裘《かわごろも》を掻《か》き合わせ、赤虎《せっこ》の手綱《たづな》をとった。
「まあ、のんびりするがいいさ。わたしは優《やさ》しい主人だから、務めさえ果たせば、多少羽目をはずしたって叱《しか》ったりはしない。皆、留守中頼んだよ」
 は、と下僕たちは額を地にこすりつける。泣きそうな顔で娘もそれにならった。梨耀は赤虎に騎乗する。一声笑って、乗騎を門前から冬枯れた下界へと飛び立たせた。
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