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十二国記313

时间: 2020-08-30    进入日语论坛
核心提示:「なんだか」 陽子は水辺でなにやら話しこんでいる楽俊と六太を見やる。「こちらのことが分からなくて」 低く言った言葉には、
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「なんだか……」
 陽子は水辺でなにやら話しこんでいる楽俊と六太を見やる。
「……こちらのことが分からなくて」
 低く言った言葉には、快活な答えがあった。
「それは、そうだろう。なにしろこちらは変わっているからな」
 尚隆は軽く笑う。
「子供が木に生《な》ると聞いて、呆《あき》れた」
 陽子もまた軽く笑う。すぐにその笑みが力を失った。
「……こちらの人にとっては、分からないことがとてもいらだたしいようですが」
「景麒か?」
 尚隆に問われて、陽子は一瞬尚隆を見返し、次いで首を振った。
「官吏《かんり》もです。なにしろ、本当になにひとつ分からないから、誰もが呆れているみたいで。……無理もないと思うけど」
 陽子が分からない、と言うたび、景麒も官吏も溜め息をつく。
「……それにわたしは女だから。それが不満なのじゃないかな」
 これだから女王は、と暗に含ませた言葉をいくつも聞いた。
「それは少し違うな」
 尚隆が言い切って、陽子は彼を見返した。
「——違う?」
「俺がこちらに来て、一番とまどったのは、女が官吏になること、親子の関係が妙《みょう》なことだったな」
「……へえ?」
「倭《わ》では、女は家の中にいて、表には出ないものだった。それがこちらでは子を夫に預けて働きに出る女がいる。慶《けい》は予王が女を追放したから、女官吏の数が少ないだろうが、雁《えん》だとほぼ半数近くが女だな。武官はさすがに男のほうがかなり多いが、兵士ならば三割近くが女だ」
「そうなんだ……」
「考えてみれば無理もない。王は麒麟《きりん》が選ぶが、その朝臣の筆頭にあたる麒麟のまず半数が女だ。時代によって増減があるが、均《なら》せばほぼ雄雌が半数だな。その麒麟が選ぶ王も、男女が半数、史書を見てざっと勘定してみても、特にどちらが多いとも言えぬ」
 へえ、と陽子は目を見開く。
「王や麟麟《きりん》が女でいいなら、官吏《かんり》も女で悪いはずがない。しかも、こちらの女は子を産む必要がない。育てるのも、特に女でなくてもいいから、女は家に納まっている必要がない。男ほど屈強でないのはもちろんだから武官、兵士としてはどうしても劣るが、細かいことに気がついて煩雑《はんざつ》な実務なども実に丁寧《ていねい》にやるから、官吏としては使いでがある。実際、史書《しょきかん》は女が多い」
 陽子は笑った。
「なるほどな」
「だから、慶の官吏が女王だからと渋い顔をするのは、なにも女が王であってはならぬというわけではない。慶は女王運がないのだ」
 陽子は尚隆の顔をまじまじと見た。
「ここ三代、無能な王が続いている。それがたまたま女王ばかりだった。景麒が選んだ先王は女王で、極めつけに在位が短かった。その景麒がまた女王を選ぶ。官はどうしても、またか、と思う」
「……それでなんだろうか」
「それだけのことだな。北西の国、恭国《きょうこく》の供王《きょうおう》は女だが、在位は九十年近くになる。その前にも途方もなく長い治世を布《し》いた女王がいたから、恭などでは王が男だと民は無念そうな顔をする。——その程度のことだ。気にするな」
 陽子は軽く息を吐《は》いて笑った。
「気にしないようにする。——ありがとう」
 なんの、と尚隆も笑んだ。
「俺に手伝えることがあれば言うがいい。できる限りの手助けはしよう」
 陽子は深く頭を下げる。
「本当に——ありがとうございます」
 
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