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十二国記314

时间: 2020-08-30    进入日语论坛
核心提示: 才国翠微洞《さいこくすいびどう》の主《あるじ》である梨耀《りよう》が己《おのれ》の洞府《どうふ》に帰還したのは、予告ど
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 才国翠微洞《さいこくすいびどう》の主《あるじ》である梨耀《りよう》が己《おのれ》の洞府《どうふ》に帰還したのは、予告どおり出発から半月後のことである。梨耀は琶山《はざん》は翠微の峰、そこにそびえる楼閣《ろうかく》へと乗騎を寄せる。下界、翠微の峰の麓《ふもと》に小さく碧《あお》い屋根が見えた。翠微洞から峰の内部を抜ける隧道《すいどう》を通って下界に出るのがそこだった。その屋根を囲む墻壁《へい》、門前にはさらに碧い甍《いらか》が並んでいる。翠微の峰に住まう仙人を祀《まつ》る廟《びょう》だった。
 梨耀は赤虎《せっこ》の背からそれを見下ろして軽く歪《ゆが》んだ笑みを浮かべた。単にここで齢《よわい》を重ねていくだけ、とりたててなにをするわけでもないのに、下界の者は洞主というだけでありがたがる。いつか一大事あったときには、梨耀《りせん》が助けてくれるものだと、そう思っているのだ。過去に著名な飛仙《ひせん》があり、それらは確かに民を助けた。だからといって飛仙の全てが善意に満ちあふれているなどと、期待するのは愚《おろ》かというもの。
「お帰りなさいませ」
 赤虎が門前に降り立つと、すぐさま門前へと駆《か》け出してきた下男下女は五人ほど。梨耀は赤虎から降りて、その顔ぶれを見渡す。
「留守中、変わりは」
 あれば良いのに、とは梨耀も黙殺した胸の中、なにしろ長い生だから、生きることには飽《あ》いている。そのうえ齢《よわい》三百ともなれば、すでに世間から忘れ去られて久しい。——少なくとも梨耀という名のひとりの女がいることを、覚えている者が幾人いよう。
 下男のひとりが深々と頭を下げた。
「ございません」
「そうだろうとも」
 言って梨耀は洞府を眺めわたす。出かける前に言いおいた言葉を、もちろん梨耀は覚えている。少なくとも洞府は綺麗《きれい》に拭《ふ》き清められ、そこかしこの柱も梁《はり》も真新しい丹《に》で塗り替えられ、壁も漆喰《しっくい》で白く塗り替えてあった。
「さぼらなかったとみえるねえ」
 梨耀は笑って赤虎を下男に任せ、正房《おもや》へと足を運んだ。自室に戻ると、すでに下僕《しもべ》の誰かが知らせに走ったのか、下女が三人、頭を下げて待っていた。
「お帰りなさいませ」
 そっけなくうなずいて、梨耀はただ立つ。三人が小走りに寄ってきて、梨耀の衣服を脱がせにかかった。房室《へや》もきちんと整えられ、柱も壁も塗り替えられている。たかが半月でできることではない。梨耀の目に触れる場所だけ、なんとか塗り終わったのだろう。
「——笨媽《ほんま》」
 呼べば、びくりと鈴《すず》が顔を上げる。この娘は始終梨耀に怯《おび》えている。それを承知で悪意を露《あらわ》に、梨耀はひざまずいて衣服の始末をしている娘を見下ろした。
「慶《けい》の新王を見たよ。——歳の頃はお前と同じくらいだろうかね。女王でいらっしゃる」
 女王、と鈴は、おどおどと梨耀を見つめたまま小さくつぶやいた。
「同じ歳頃の娘だというのに、お前とはたいへんな違いだ。なかなか見栄《みば》えのする娘でね。それはそれは凛《りん》とした」
 鈴はうつむく。梨耀は部屋着を着せかけられながら含み笑った。
「臥山《がざん》の芥沾洞《かいせんどう》で会ったのだけどねえ。ちょうど即位式を済ませたばかり、それでご挨拶《あいさつ》にみえたんだ。芥沾洞の主《ぬし》は先々代の景王《けいおう》の母親だから。なかなか礼儀というものをご存じだ。お前とは大違い」
 ゆったりと部屋着を着込むと、梨耀《りよう》は椅子《いす》に腰をおろす。梨耀の興味が目下のところ、鈴にしかないのを察して二人の下女が無言で一礼して房室《へや》を出ていった。
「蓬莱《ほうらい》の生まれだそうだよ」
 鈴ははっと顔を上げた。目ばかりが印象に残る顔が微《かす》かに歪《ゆが》む。
「——そう、お前の生まれた、あの虚海《きょかい》の東の倭国《わこく》さ。皮肉だねえ? 同じ蓬莱で生まれて、かたや役立たずの婢《はしため》、かたや慶東国景王。質素にしていたけれども、さすがは王だ。着るものも歩揺《かんざし》も贅沢《ぜいたく》なこと」
 言って梨耀はくつくつと含み笑う。
「お前なんかじゃ逆立ちしたって、珠《たま》ひとつだって手に入りそうもないやつだ。王宮に戻ればそれどころじゃない、さぞかし山のように宝物がおありなんだろう。——ねえ?」
 鈴は再びうつむく。嘲笑《ちょうしょう》されて睨《にら》むでなく、反駁《はんばく》するわけでもない卑屈さが、梨輝をこのうえもなくいらだたせる。この娘をなぶるのは、狩りをするのに似ている。
「いろいろな話をお聞きしたよ。景王もこちらに流されてしまったんだそうだ。最初は右も左も分からなかったと言ってらした。それでもまあ、ご立派じゃないか。とにかく分からないなりに旅をして延王《えんおう》に保護をお求めになったとか」
 梨耀は組んだ足の先で娘の胸ぐらを軽くつつく。
「誰かとはえらく違うねえ。旅の芸人たちにまじって、しかもそこで芸をするならともかく、その能もなくて下働きをしていたやつとはさあ。涙ながらに這《は》いつくばって、下女にしてくれなんて頼みこんだ、どこかの誰かさんとはねえ」
 さらに爪先《つまさき》で娘をつつくと、鈴のうなだれた首が揺れてぽたりと涙が落ちた。
「おやおや。景王に同情でもしたのかい? そりゃあ、失礼ってもんだろう。お前ごときに哀れまれたんじゃ、景王は傾辱《ぶじょく》されたとお怒りだろうねえ」
 忍びやかな嗚咽《おえつ》が聞こえてきた。梨耀は軽く眉《まゆ》を上げる。獲物は屈した。興が削《そ》げた。
「お退《さが》り」
 梨耀は言い放つ。
「その欝陶《うっとう》しい顔を、さっさと見えないところにおやり」
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