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十二国記318

时间: 2020-08-30    进入日语论坛
核心提示: 月は押し迫り、慶国堯天《けいこくぎょうてん》の街からもようやく浮ついた空気が消えた。 即位式、賓客《ひんきゃく》への対
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 月は押し迫り、慶国堯天《けいこくぎょうてん》の街からもようやく浮ついた空気が消えた。
 即位式、賓客《ひんきゃく》への対応と、あわただしかった王宮にいつもの静謐《せいひつ》さがたち戻ってきていた。それでもなおどこか浮き足立った気配があるのは、郊祀《こうし》が近付いているからだった。
 陽子《ようこ》はそっと窓の外を見やって息を吐《は》いた。窓の玻璃《ガラス》越し、寒々とした冬の園林《ていえん》が見える。
 王は午前には外殿《がいでん》に出、午後には内殿《ないでん》に戻る。王宮の中枢《ちゅうすう》をなすこのふたつの建物が王が政務を執《と》る場所だった。外殿は基本的に朝議の間《ま》、内殿は王が執務を行う間と定められている。同時にまた、内殿は外宮《がいぐう》の終わりであり、外殿は内宮《ないぐう》の終わりだった。官吏《かんり》が働くのは外宮、基本的に内殿より奥には立ち入ることができない。反対に王が住むのは基本的に内宮、これまた本来、王は外殿よりも表には出ないことになっている。
 その内殿を訪れた者があった。侍官《じかん》に導かれて入ってきた人物を目に留めて、陽子はわずかに眉《まゆ》をひそめる。
 冢宰《ちょうさい》靖共《せいきょう》。冢宰は六官の主長、六官とは天官地官春官夏官秋官冬官の六官をいい、各々が宮中の諸事、土地|戸籍《こせき》、祭祀《さいし》、軍事、法令、造作を司《つかさど》る。古くは天官長大宰が冢宰に就任し、六官府をとりまとめたが、近来別に冢宰を立てるのが慣例だという。
 陽子はこの威厳ある外見の冢宰が苦手だった。
「おそれながら、主上《しゅじょう》」
 靖共は座所の前に平伏する。
「——どうした」
「夫役《ぶやく》のことでございますが」
 まただ、と陽子は唇《くちびる》を噛《か》む。午後の政務の時間には宰輔《さいほ》として陽子を補佐してくれる景麒《けいき》が側《そば》にいない。彼には瑛州侯《えいしゅうこう》としての政務があるのだ。——だが、陽子には景麒がいなければ、政治のしくみもこちらの常識も分からない。それを分かってか、靖共は午後にばかりやってくるのだ。
 国土は先王の失態と、続いて起こった天災と戦乱、妖魔《ようま》の襲撃で荒れ果てている。これを平常の状態に戻すには、どうしても大がかりな土木工事が必要になる。ここ数日、朝議の議題はもっぱらそれで、どこから工事を始め、なにを基準に役夫《えきふ》を徴徭《ちょうよう》するのか、それで朝議が紛糾《ふんきゅう》していた。
 どうやら官吏《かんり》には派閥《はばつ》があるらしい。それは陽子にも理解できる。最大の派閥が冢宰《ちょうさい》である靖共《せいきょう》の率いる一派だが、彼らの思惑《おもわく》と他派の思惑が真っ向から対立している。靖共らは春までに治水を急げと言い、他派はとりあえずこの冬を過ごせるよう、都市の整備を優先せよと言う。
 靖共は今朝《けさ》の朝議でも繰り返したことを再度繰り返し、膝《ひざ》をついたまま陽子の顔色をうかがうように見上げてきた。
「——いかがでございましょう」
 陽子は一瞬、返答に困る。治水も都市の整備も、どちらも重要事項であることは理解できる。だが、どちらかを優先しなければならない。双方を同時に行うことができるほど、慶はまだ豊かではない。——しかしながら、その判断が陽子にはつかないのだ。
 しかもそのどちらかのうち、どこの治水なり都市の整備なりを優先するべきなのか、そのあたりになると、まったく陽子には判断がつかなかった。夏官《かかん》の編纂《へんさん》した地誌を読んだぐらいでは、どこがどういう土地で、どんな特色があり、どんな救済を必要としているのか、そのあたりまでは分からない。
「申しわけないが、わたしでは分からない」
 陽子の声は、しぜん沈む。これを告白させられるのは、かなりのところ辛《つら》いものがあった。
 靖共は溜め息を落とした。
「主上。——主上に判断いただかなくてはならないのですよ」
「すまない……」
「主上が倭国《わこく》のお方でいらっしゃるのは、重々承知しておりますが、いま少しこちらの事情をご理解いただけないでしょうか」
「勉強はしているんだが、追いつかない。本当にすまない」
「とにかく、どちらを優先させますのか、それだけでも」
「景麒に相談して、決める」
 靖共はさらに深い溜め息を落とした。
「失礼ながら。主上は台輔《たいほ》に政《まつりごと》を行えとおっしゃるおつもりでしょうか。台輔は確かに仁道《じんどう》の御方《おんかた》、おさおさ民に苦渋《くじゅう》をなめさせるようなことはございませんでしょうが、かといってなにもかも台輔に采配《さいはい》していただいたのでは、哀れみばかりが先に立って、国など簡単に傾いてしまいます」
「分かっている……」
 麒麟《きりん》にとっては、なによりもまず、民への哀れみが優先なのだ。
「だが、本当にわたしでは、判断がつかないんだ」
 靖共はわずかのあいだ、顔を伏せた。そこに浮かんでいるのは嘲笑《ちょうしょう》だろうか、落胆《らくたん》だろうか。いずれにしても、靖共がうんざりしていることだけはよく分かる。
「出すぎたことは重々承知しておりますが」
 靖共は溜め息まじりに言った。
「この件、小官にお任せ願えましょうか」
 なにしろ、急ぐことなので、と言われてしまえば、陽子にはうなずくしか術《すべ》がない。
「……分かった。冢宰に任せる」
 靖共は深く平伏する
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