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十二国記322

时间: 2020-08-30    进入日语论坛
核心提示: 梨耀《りよう》がやれ、と言えば、鈴《すず》には拒《こば》む術《すべ》がない。暗く寒い夜、鈴はたったひとつの灯火をたより
(单词翻译:双击或拖选)
 梨耀《りよう》がやれ、と言えば、鈴《すず》には拒《こば》む術《すべ》がない。暗く寒い夜、鈴はたったひとつの灯火をたよりに、翠微《すいび》の峰に登る。縄《なわ》をかけるのに良い岩や樹木を探して歩いた。風は強く吹きすさぶ。翠微の峰をたどる崖《がけ》上の細い道に立てば、風に押されて身体が傾くほどだった。
 甘蕈《かんきん》の生《は》える崖は翠微の峰の中でも最も険しい場所にある。岩盤に根をはった松の枝に縄の端《はし》をかけ、もう一方の端を自分の腰に結びつける。縄にすがりながらそろそろと崖を降りようとしたものの、吹き上げてくる風に及び腰になった。
 凌雲山の崖はその高さが尋常ではない。鈴がいま降りようとしている崖も、灯火をかざしてみても、底が見えなかった。真っ暗な穴から吹き上げてくる刺すような風、ここに縄一本をたよりにして降りていくことを思うと、恐ろしさに泣けてくる。
 なぜ梨耀はこうまで鈴を憎《にく》むのだろう。いっそ梨耀に会わなければ良かった。言葉の通じない異国は、それはそれは辛《つら》かっただろうが、いったん言葉の通じる幸福を知らないままなら耐えられたのではないかと思える。
 ——どうして、こんな、ひどい。
 降りなければ、さらにひどい叱責《しっせき》がある。分かっていても、足がすくんで崖から身を乗り出すことができない。
 ——景王《けいおう》に会いたい。そうすれば……。
 だが、どんな夢想も、現実目の前に横たわる暗い断崖を見れば、それ以上|湧《わ》いてはこなかった。
 ——逃げようか。ここから逃げてしまおうか。
 せめて蓬莱に戻ることができれば、鈴は迷わずそうしたろう。仙にはそれができるのだが、仙にも格があり、鈴ごときでは虚海を越えることができない。
 崖の縁《ふち》にすがって泣き崩《くず》れたとき、ふいにその縁のむこうから声がした。
 猫《ねこ》が喉《のど》を鳴らすような声に、鈴は顔を上げ、灯火をかざす。絶壁のむこう、宙に赤虎《せっこ》が浮いていた。
 ひっ、と小さく声をあげて、鈴は後退《あとずさ》る。身構えるように浮いた赤虎の、宝玉の目が灯火に光った。
「……お前」
 虎《とら》はしきりに喉を鳴らしている。仙はその意を量《はか》ることができるが、これまた鈴程度では、獣《けもの》の声を聞くことはできない。
「洞主、さま」
 ——まさか梨耀は鈴をこの妖獣《ようじゅう》に喰《く》わせるつもりだろうか。襲《おそ》わせるために鈴をこんな寂しい峰に出したのだろうか。それほど憎まれていたのだろうか。——でも、なぜ?
 虎は鈴を促《うなが》すように首を振った。——さっさと降りろ、と急《せ》かしている。
 では、見張りだろうか。鈴がちゃんと言いつけを守るよう、梨耀が赤虎を遣《つか》わしたのだろうか。
「分かったわ」
 鈴は震える声で答える。
「分かった、……降ります」
 震える手で綱《つな》を握って、そろそろと鈴は崖っぶちへ向かう。綱を手繰《たぐ》りだしながら縁に足をかけ、中空で身体を支える。そうしてぴたりと動きを止めた。
 ——できない。
 これ以上は恐ろしくて降りられない。
「でき……ないわ。……許して」
 命綱《いのちづな》を掴《つか》んだ手は瘧《おこり》のように震えている。このままでは、落ちる。きっと手が滑《すべ》って綱を放してしまう。
「お願い、だから」
 言った刹那《せつな》、本当に手が滑った。鈴は後ろ向けに中空へ向かって投げ出される。落ちる、と思った。腰に縄《なわ》が巻いてあることは、鈴の念頭に浮かばなかった。
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