日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

十二国記323

时间: 2020-08-30    进入日语论坛
核心提示: 気がつくと、鈴は中空に浮かんでいた。目の前に崖《がけ》の岩肌《いわはだ》があったが、身体の下には柔らかな地面の感触がす
(单词翻译:双击或拖选)
 気がつくと、鈴は中空に浮かんでいた。目の前に崖《がけ》の岩肌《いわはだ》があったが、身体の下には柔らかな地面の感触がする。
 すぐ下に地面があったんだ、と息を吐《は》いて、鈴はすぐにそれに気づいた。やわらかな毛並みの感触。——赤虎《せっこ》。
 自分が赤虎の背にいることを知って、鈴は悲鳴をあげた。
「——いや! 降ろして!!」
 ふっと足元の感触が消え失せた。投げ出される身体と、落下の感覚。夢中で宙に爪《つめ》を立て、がっきと襟首《えりくび》を掴まれた。赤虎だ、と悟《さと》って悲鳴をあげる間《ま》もなく、赤虎は首を振って鈴を宙に投げ上げた。その背に受けとめられて、鈴は必死で毛並みを掴む。
 ——ひどい、ひどい、ひどい。
 やっと腰に巻いた縄のことを思いだし、これにすがって登ろうと思った。震える手で縄をたぐれば、やがてその感触が唐突に断ち切れる。
「——切れてる」
 では、と鈴は赤虎の巌《いわお》のような首を見た。
 この赤虎にすがって戻るしかないのだ。——だが、どうして梨耀以外には決して馴《な》れない赤虎が、鈴を洞府に連れて帰ってくれるだろう。
「……か、帰って」
 鈴は赤虎に懇願《こんがん》する。
「お願いだから、せめて崖《がけ》の上に戻して」
 じわりと背筋に生温《なまあたた》かいものが伝うのを感じた。血だ、と鈴は眩暈《めまい》を感じる。赤虎の牙《きば》にえぐられたのだ。実際、ひどい痛みがした。
「ねえ、お願い。助けて……!」
 赤虎は動いた。崖に近寄り、そこに生《は》えた灌木《かんぼく》に寄る。ぐるる、と獰猛《どうもう》な声が鈴を促《うなが》した。役目を果たせ、と言っている。
 鈴は片手で赤虎にしがみつき、おそるおそるもう一方の手を伸ばしたが、手が届かない。吹きすさぶ風がその身体を傾《かし》がせる。強い風、強い不安、歯の根も合わず膝《ひざ》も萎《な》えた鈴にはこの作業はあまりにも困難なことだった。
 おずおずと赤虎の毛並みを掴《つか》んでいた手を放した。身を乗り出したとたんに赤虎の背から転《ころ》がり落ちる。岩肌にぶつかり、肌を掻《か》かれ、赤虎の爪《つめ》が鈴の帯を引っかけて止まる。再び背に投げ上げられ、それを三度繰り返して、鈴は赤虎の背に泣き伏した。
「どうして、……どうして」
 これはあまりにも、ひどい。
「どうしてあんたの主人はこんなことをさせるの! どうしてそこまであたしを憎《にく》むのよ!」
 鈴は赤虎を打つ。
「放りだしなさいよ! 殺せばいいでしょう! もうたくさんだわ!!」
 赤虎は低く喉《のど》を鳴らすばかり。
 ——逃げてやる。
 とっさに浮かんだ思考。でも、どこへ、と気弱な鈴が問う。逃げれば仙籍を削除される。そうしたらお前はおしまい。
「……慶《けい》」
 景王の許《もと》へ行けば。——でも、どうやって。
 景王に会って訴える。惨《みじ》めな境遇、梨耀の暴虐《ぼうぎゃく》。——でも。
 鈴はキッと顔を上げた。
「そうよ……訴えるのなら、なにも景王でなくてもいいわ……」
 鈴は赤虎《せっこ》の毛並みを引きむしるほど強く掴《つか》んだ。
「才王《さいおう》にお願いするわ。才国《さいこく》の王に。……梨耀《りよう》さまを懲《こ》らしめてください、あたしの仙籍を削除しないでくださいって!」
 鈴は渾身《こんしん》の力で赤虎を叩《たた》いた。
「おゆき! 揖寧《ゆうねい》の長閑宮《ちょうかんきゅう》へ行くの!」
 いきなり打たれて赤虎は身を反《そ》らす。宙で身をよじる赤虎の毛並みに鈴は渾身の力ですがりついた。
 ただ流され、忍従だけで生き延びてきた鈴の、最初に行った闘争は、赤虎を御することだった。赤虎は鈴を振り落とそうと身もがき、やがて諦《あきら》めたように一路北東を指して風の中を駆《か》け始めた。琶山《はざん》の北東、才国の首都、揖寧をめざして。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(1)
100%
踩一下
(0)
0%