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十二国記328

时间: 2020-08-30    进入日语论坛
核心提示: 里家《りけ》の子供たちが走り出てきた。言葉もない祥瓊《しょうけい》を愕然《がくぜん》としたように見つめ、中のひとりふた
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 里家《りけ》の子供たちが走り出てきた。言葉もない祥瓊《しょうけい》を愕然《がくぜん》としたように見つめ、中のひとりふたりが、表に向かって駆《か》け出す。
 祥瓊は顔色を失った。里家の表で子供の叫ぶ声がする。すぐに表からざわめきが聞こえ、駆けつける人々の足音が近づいてきた。
「——公主だって?」
「本当なのか」
 なによりも驚愕《きょうがく》をいっぱいに浮かべた人々に囲まれ、祥瓊は畜舎の隅に追いつめられた。
「本当よ! だって沍姆《ごぼ》がそう言ってたもの!」
「本当なのか、沍姆」
 人々の視線は沍姆に集中する。祥瓊はすがるようにその顔を見た。沍姆は一瞬、そんな祥瓊を見返し、すぐに集まった人々を見回した。
「——そうだ」
 一瞬の沈黙のあと、罵声《ばせい》が小屋を震わせた。
 
 祥瓊は小屋から引きずり出され、雪の上に投げ出された。
「……待って、お願い……」
 口にするまでもなく、殴打《おうだ》が飛んでくる。祥瓊は悲鳴をあげて倒れ伏した。
「——およし!」
 甲高《かんだか》い声が割って入る。沍姆だ、と祥瓊は眩暈《めまい》のする頭で思った。
「なんで止めるんだ!」
「この子がどうしてここにいるのか、考えてごらん」
「どうして、って」
「戸籍《こせき》もあった。少しも問題なんかありゃしなかった。誰かがこいつを庇《かば》って助けたんだ。そうとしか考えられないだろう」
「誰がそんなことを!」
 数人が叫び、数人があっと声をあげた。
「……まさか恵侯《けいこう》……」
 諸侯をまとめ、王を討《う》った恵州侯。
「恵侯が庇ったものを、あたしたちが打ち殺していいのかい? 恵侯はわたしたちをあの昏君《こんくん》から救ってくれた。もう刑吏《やくにん》の姿に怯《おび》えることもない。家族が刑場に引き出されるのを見ることもない。惨《むご》い法も廃止された。恵侯がわたしたちに平穏な暮らしを恵んでくれたんだ」
「しかし——」
「あたしだって公主は憎いとも。だが、恵侯が助けたものを殺したのでは申しわけが立たない。それこそ恩義に不義をもって報いることになる。みんなの怒りは分かるが、ここは怒りをおさめてもらえないかい」
 いまさら、と祥瓊は雪を掴《つか》んだ。
「いまさらあんたがそれを言うの!? いままでさんざ、わたしを虐《いじ》めて溜飲《りゅういん》を下げてきたくせに!!」
 ばし、と雪つぶてが飛んできた。鼻面《はなづら》を叩《たた》かれて、祥瓊は顔を覆《おお》う。
 なんで、と子供の叫びがした。
「なんでこいつを庇《かば》うんだよ! 沍姆、こいつをやっつけてよ!」
「そうよ! あたしたちの恨《うら》みをはらしてよ!」
「……お前たち」
「こいつが王宮でふんぞりかえって、父ちゃんも母ちゃんも殺したんじゃないか!!」
「罰されたのは法を破ったからじゃないの!」
 祥瓊は叫ぶ。——いつだってこうだ。人々は祥瓊の父親を責める。だが、父|仲韃《ちゅうたつ》はなにも楽しみのために人を殺したわけではない。
「少しでも国を良くしようと法を作っているのに、それを守らないで勝手をするからよ! 罰が下されるのなんか当然だわ! 法を作った者を恨むのは逆恨《さかうら》みよ! 罰が怖《こわ》ければ、ちゃんと法を守っていればよかったんじゃない!!」
 また雪つぶてが飛んできた。うずくまった祥瓊に、次から次へと硬い雪の塊が当たる。
「殺されて当然だと!?」
「具合が悪くて夫役《ぶやく》に行けない、それが殺されるほどのことか!」
「倒れた親の看病のために収穫前の畠《はたけ》を離れた! それが首を落とされるほどのことか!」
「そんなの、知らないわ!」
 祥瓊は叫ぶ。
「わたしのせいじゃない! お父さまがなにをしてるか、知らなかった! だって表をのぞかせてはくださらなかったんだもの!!」
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