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十二国記356

时间: 2020-08-30    进入日语论坛
核心提示: 陽子は夜、臥室《しんしつ》で密《ひそ》かに客を迎えていた。客は驃騎《ひょうき》という。景麒《けいき》の使令《しれい》で
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 陽子は夜、臥室《しんしつ》で密《ひそ》かに客を迎えていた。客は驃騎《ひょうき》という。景麒《けいき》の使令《しれい》である。
「あちらの様子は?」
 陽子が声を向けた方向にはなんの姿もない。そもそも臥室の中には、陽子以外の姿がなかった。
「……とりあえずはつつがなく」
 返答はどことも知れない場所からある。聞く者があれば床《ゆか》の下だと思ったかもしれない。それはあながち誤りではない。驃騎は地中に隠形している。
 使令《しれい》は天地の気脈の中にもぐりこむことができる。それを伝って人知れず移動することができた。これを遁甲《とんこう》という。景麒《けいき》もまた風脈に乗って遁甲できたが、さほどの距離を移動できるわけではない。少なくとも、堯天《ぎょうてん》の内宮《ないぐう》からはるばる北韋《ほくい》まで旅することはできなかった。
 景麒自身が訪ねてはこれないために、使令を寄こした。驃騎《ひょうき》はこまごまと宮中の様子を報告する。戻れば景麒に陽子の様子を報告するのだろう。
「——浩瀚《こうかん》は相変わらず、行方《ゆくえ》をくらましているようですが」
 陽子はうなずく。弑逆《しいぎゃく》を企《くわだ》てた浩瀚は、捕縛の手を逃れて行方が知れないまま。
「諸官の中には、浩瀚を恐れて主上《しゅじょう》は雁《えん》に逃げ出したのだと、噂《うわさ》する者もございますが」
 くすりと陽子は笑った。
「それは言われるだろうと思った。……まあ、そういうことにしておこう」
「ですが、本当にお気をつけください。浩瀚が主上の御在所を知って再び弑逆を企《たく》らむやもしれません」
「心配はいらない。班渠《はんきょ》と冗祐《じょうゆう》がいるから」
「——そのようにお伝えします」
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