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十二国記361

时间: 2020-08-30    进入日语论坛
核心提示: 船はその三日後に、呉渡《ごと》の港にたどり着いた。港ととはいえ接岸できる設備はない。尖《とが》った岩が沖合いに並んでい
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 船はその三日後に、呉渡《ごと》の港にたどり着いた。港ととはいえ接岸できる設備はない。尖《とが》った岩が沖合いに並んでいて、わずかに弧《こ》を描いている。船はその内側に停泊し、崖《がけ》から艀《はしけ》がいくつも寄ってきた。艀が着くのは崖の麓《ふもと》に作られた浮き桟橋《さんばし》。そこから崖を掘って作った石段がつづら折れに崖の上まで続いていた。
 鈴は清秀の身体を右から支える。清秀の目はいまに至るも治っていない。見えない、と言ったあの日以来、清秀の視野の右|端《はし》は欠けたままだった。
 何度も足をもつれさせて転《ころ》びそうになりながら、石段を登る清秀と、それを支えきれず足を滑《すべ》らせそうになる鈴を見かねて、港の男が清秀を負《お》ぶってくれた。
 息を切らせながら登った崖《がけ》、頂上から一望する広がる山野。崖のふちには細長く廬《むら》が広がっている。
 ——慶国《けいこく》和州《わしゅう》呉渡《ごと》。慶の北東部に広がる和州、そのさらに東の端《はし》。
 男の背から降ろされて、清秀はその山野を見渡した。鈴はその手を握る。
 堯天《ぎょうてん》に行こう。きっと景王が助けてくれるから。
 
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