日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

十二国記362

时间: 2020-08-30    进入日语论坛
核心提示: 吉量《きつりょう》は軽々と宙を駆《か》ける。 祥瓊《しょうけい》は山野を見下ろし、ようやく胸のつかえが取れる気がしてい
(单词翻译:双击或拖选)
 吉量《きつりょう》は軽々と宙を駆《か》ける。
 祥瓊《しょうけい》は山野を見下ろし、ようやく胸のつかえが取れる気がしていた。
 ——こうすればよかったんだわ。
 おとなしく里家《りけ》に行ったり、奚《げじょ》に成り下がったりせず、最初から出奔《しゅっぽん》して自由になればよかった。
 もう誰も、祥瓊をひざまずかせることはできないのだ。
 祥瓊はまっすぐ黒海《こっかい》へ向かい、沿岸の街に閉門前にたどり着いた。そこで耳墜《みみかざり》をひとつ売り、着るものを整えて宿に泊まった。久々に感じる絹の感触、贅沢《ぜいたく》な食事と錦《にしき》の衾褥《ふとん》が延べられた牀榻《しょうとう》。快哉を叫びたい気分で眠りにつき、翌日もうひとつ耳墜を売って黒海へと飛び出した。
 吉量ならば、二日もあれば一国を横断する。造作なく国境を越えて柳国《りゅうこく》に入り宿を取り、翌日には黒海の沿岸に沿って北上して、夕暮れ前にはどちらかといえば恭《きょう》よりも雁《えん》に近い中央部の港街、背享《はいきょう》にたどり着いた。
「——泊まれる?」
 吉量の手綱《たづな》を引いて、祥瓊は大きな門をくぐった。明かり取りの格子《こうし》窓が切られた墻壁《へい》、花飾りのつけられた花垂門《もん》、軒下にいくつも灯火がつるされて、門の中にこぢんまりと広がる前院《まえにわ》を照らしている。大きな宿館《やど》だった。
 駆け出してきた店の者が、祥瓊の問いに笑んで深く頭を下げる。
「良い房室《へや》が空《あ》いてございますよ、お嬢《じょう》さま」
 そう、と祥瓊はにっこり笑いかえした。
「じゃあ、ここにするわ。——吉量をお願いね」
 駆け寄ってきた厩《うまや》係が吉量の手綱を取る。下男が吉量の鞍《くら》に結びつけた荷を解《と》いて抱えると、厩係は吉量を門の脇《わき》にある厩舎《うまや》に引いていく。祥瓊は前院から建物の大門《いりぐち》の中へと入っていった。
 扉を開けると中は下堂《ひろま》、壁際にゆったりと並べられた卓子《つくえ》に客が座って歓談をしている。歩み寄ってきて拱手《えしゃく》した宿の者に、祥瓊は軽くまとめて結い上げた髪から銀の花釵《かんざし》をひとつ外して差し出した。
「これで足《た》りるかしら?」
 旅人は大金を持つことを嫌うから、支払いは多く、為替《いてい》か物品になる。大きな宿には必ず装身具を換金する小店が入っていて、ここで清算がなされる。支払いに余れば、出発のさいに釣りは銭で支払われた。店の者は花釵《かんざし》を手に取って細工《さいく》を確認し、大きくうなずいた。
「充分でございますとも。お預かりいたします」
「足りなかったら言ってちょうだいね」
「ありがとうぞんじます。お食事はいかがいたしましょう」
 小さな宿ならば、通りに面して食事を出す店があり、二階か奥かが客室になる。ここのような大きな宿館《やど》ならば食事を出すのは園林《ていえん》に面した飯庁《しょくどう》か客房《きゃくしつ》だった。客房も、小さな宿では板間に夜具を延べて寝るだけ、顔を洗う鏡台があればましなほう、それさえないことが多く、さらに悪い宿では広い土間に低い臥牀《しんだい》が並べてあって、衝立《ついたて》もなく見ず知らずの旅人と雑居しなくてはならない。並の宿なら臥牀に天蓋《てんがい》と幄《とばり》をつけた牀《しんだい》があって、鏡台と小卓《つくえ》がそろっている。祥瓊が入った宿館のような大きな宿なら、きちんと牀榻《しょうとう》を備えた臥室《しんしつ》ふたつの間にくつろいだり食事をしたりできる起居《いま》が付属している。
「房室《へや》でいただくわ」
 実は、と宿の者は困ったようにした。
「ちょうど船が着いたばかりでして。お客さまが多くて、一房がご用意できないのですが。半房でもよろしいでしょうか」
 臥室は建物の形式上、必ずふたつだから、宿には半房という制度があった。ひとりで宿泊する客のうち、一房を借り切る余裕のない客が相部屋になるのである。
「どうにもならないの? 妙《みょう》な人と一緒なのは嫌《いや》だわ」
「申しわけありません。他の宿をご紹介できればいいのですが、本当に今日はどこの宿もいっぱいで」
「……仕方ないわね」
「あいすいません。——では、ご案内いたします」
 
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%