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十二国記368

时间: 2020-08-30    进入日语论坛
核心提示: 府第《やくしょ》で荷と財嚢を受け取り、祥瓊は寒風の吹き渡る街へよろめき出た。 助かった。 少なくとも命を取られることは
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 府第《やくしょ》で荷と財嚢を受け取り、祥瓊は寒風の吹き渡る街へよろめき出た。
 ——助かった。
 少なくとも命を取られることはなく、恭へ送り返されることもなかった。せっかく持ち出した御物《ぎょぶつ》は奪われ、吉量もなくしてしまったけれど。——それだけでなく。
 祥瓊は懐《ふところ》に手を入れ、おそろしく軽くなった財嚢に触れた。
 宿に渡した銀釵《かんざし》は押収された。軽くしぼんだ財嚢を祥瓊に返した官吏《かんり》は、財嚢の中から宿の支払いを済ませておいた、と言った。
 ——だが、有り金のほとんどをなくしても、恭に送り返されるよりは、数倍ましに違いない。革の上着をかきあわせ、肩布を首にしっかり巻いて、祥瓊は自分に言い聞かせる。
 ——けれど、これからどうすればいい。
 荷の中には着替えと、先日買ったわずかな装飾品が入っている。これを全て金に換えて、それでどこまで旅ができるというのだろう。慶《けい》に行くためには戴《たい》に行って旌券《りょけん》を手に入れなくてはならず、戴へ行くためには慶に行って戴国行きの船に乗らねばならない。なのに祥瓊に残されたものは、五日の旅費にも足《た》りない。
 歩いて旅をし、最低の宿に泊まれというのだろうか。それさえできなくなれば、民家に宿を乞《こ》い、日銭仕事を乞うて、人の情けにすがりながら旅をしろというのだろうか。そんなことが自分にできるとは、とうてい思えなかった。
 途方にくれて深くうつむき、府第《やくしょ》の門を出た祥瓊は、脇《わき》から声をかけられた。
「——無事だったみてえだな」
 祥瓊はあわてて振り返り、見事な|※[#「馬+芻」、unicode9a36]虞《すうぐ》の手綱《たづな》を引いた鼠《ねずみ》を見つけた。
「……お前」
「どんな案配になったか、気になって来たんだけど。疑いが晴れたんだな」
 漆黒《しっこく》の目が細まって、笑みに似た表情が浮かんだ。
「……晴れたわけじゃないわ」
 祥瓊はそっぽを向いて歩き出す。すぐ後からほたほたと足音が追いかけてきた。
「晴れたわけじゃない?」
「賄賂《わいろ》を渡せば許してくれると言われただけよ。おかげで持ち物を全部、取られたわ」
 祥瓊は道に吐《は》き捨てる。この鼠に当たっても仕方のないことだが、良かったと言いたげな様子が癇《かん》に触《さわ》った。
「……変だな」
 低い声に、祥瓊は鼠を振り返った。
「柳《りゅう》の官吏《かんり》がそんなことを要求するもんかな」
「でも、したの。珍しいことじゃないわ。いつの世だってどこの国だって、権を振りかざして私腹を肥やそうとする者はいるものだわ」
「けども、柳は法治国家で名高い国だ。芳《ほう》の峯王《ほうおう》も柳に倣《なら》って国を作ろうとした」
 祥瓊は足を止めた。
「民を戒《いまし》める法より、官吏を戒める法のほうが多い。そのあたりが芳とはちっと違うけどな。——柳の官吏は腐敗できねえ。できねえように法ができてる。それが県府で堂々と賄賂を要求するってか? なるほどなあ」
「……どういうこと?」
「官吏を監視する体制自体が、腐敗してるってことだな。——祥瓊は、戴へ行くと言ってたな? それはやっぱり柳の港から渡るのかい」
 祥瓊は自嘲《じちょう》するように笑う。
「慶へ行くほどの旅費はないわね」
「やめたほうがいい」
「——どうして?」
 門へ向かう広途《おおどおり》の雑踏の中で、鼠《ねずみ》は声を低めた。
「虚海《きょかい》には妖魔《ようま》が出る」
「昨日、聞いたわ」
「半分は戴の沿岸に出るが、半分は柳《りゅう》の沿岸に出る」
「——え?」
 祥瓊は足を止めてその半獣を見る。黒々とした瞳《ひとみ》が祥瓊を見返した。
「柳は傾いてるんだ」
 祥瓊はしばらく、その言葉を反芻《はんすう》していた。
 柳の劉王《りゅうおう》は、恭《きょう》の供王より長く国を治める。すでに統治は百二十年を超えたから、賢君と言っていい。祥瓊にとって間近の三国、範《はん》、恭、柳は滅びることのない国のように思えた。祥瓊が生まれた時から、ずっと安定した国でありつづけたから。
「——そんで、どうする?」
 突然|訊《き》かれて、祥瓊は楽俊を振り返った。どうというあてもなく、雑踏に流されて街の門を出ていた。
「なに?」
「戴へ行きたいんじゃなかったのかい。荷を取られたんだろう。路銀《りょひ》はあるのか? おいらは柳をうろうろして雁《えん》まで戻る。それでもよかったら、一緒に来るかい?」
 祥瓊はぽかんと目を見開いた。
「……まさか……わたしを雁に連れていってくれるわけ?」
「関弓《かんきゅう》まででよければな。しばらく歩いてもらわなきゃならねえけど」
「……ばかじゃないの? あなた、自分がもう少しで盗人《ぬすっと》にされるところだったって分かってる?」
 楽俊は笑った。
「そりゃあ、ねえよ。たぶん捕まることはねえだろうと、思ってたし。ちょっとしたお方が旌券《りょけん》の裏書きをしてくれたからな」
「——そういう問題じゃなく——」
 それに、と彼はさらに笑う。
「おいらはどうも、こういう巡《めぐ》り合わせに生まれついてるらしい」
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