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十二国記396

时间: 2020-08-31    进入日语论坛
核心提示: 深夜、鈴《すず》は三騅《さんすい》を引いて内環途《ないかんと》へ向かう。昇紘《しょうこう》の家の側の小途《こみち》を曲
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 深夜、鈴《すず》は三騅《さんすい》を引いて内環途《ないかんと》へ向かう。昇紘《しょうこう》の家の側の小途《こみち》を曲がって裏手へ出て墻壁《へい》の奥の楼閣を見上げた。
 墻壁を越え、楼閣に駆けこみ、昇紘を襲って街を飛び出す。まっすぐ堯天《ぎょうてん》に向かって景王《けいおう》に面会する。
 ——許さない。昇紘も景王も。
 自分に言い聞かせるようにして、三騅に乗ろうと手綱《たづな》を取り直したときだった。その手を掴《つか》む手があった。
「……だめだ」
 鈴は飛び上がり、とっさに退《さが》って三騅に突き当たる。三騅が不満そうに低く鳴いた。振り返った背後の人影、上背と巌《いわお》のような肩の線。
「——虎嘯《こしょう》」
 さらに鈴の背後に現れ、鈴の手から手綱をもぎ取る者がいる。宿で時折見かける男だった。
「——なぜ」
 虎嘯とその男だけではない。広くはない途《みち》の、夜陰《やいん》のそこここに男たちが潜《ひそ》んでいた。
 虎嘯は軽く鈴の手を叩く。
「中にいるのは昇紘だけじゃねえぜ、当然な。小臣《ごえい》がごろごろしてる。それを全部|斬《き》り捨てられるのか?」
 虎嘯は低く言って鈴の手を引いた。
「帰ろう」
「……いや。放っておいて」
 虎嘘は鈴を見つめる。
「お前さんがうちに泊まっていたことが昇紘に知れると、俺たちもな、昇紘に殺されることになる」
 鈴ははっと虎嘯を見返した。
「みすみす殺されはしねえが、それじゃあ困るんだよ。——いろいろとな」
「あたし……」
 鈴は墻壁《へい》の向こうの楼閣と虎嘯を見比べた。夕暉《せっき》や虎嘯に迷惑をかけることは本意ではないが、それでも目の前に仇《かたき》の家があって。
 虎嘯は鈴の肩を軽く揺らした。
「鈴の気持ちは分かった。——だから一緒に戻ってくれ」
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