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十二国記399

时间: 2020-08-31    进入日语论坛
核心提示: 祥瓊は翌日、止水へ向けて旅立った。柳で馴染《なじ》んだ乗り合いの馬車がその手段だった。柳や雁と違って街道を歩いて旅する
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 祥瓊は翌日、止水へ向けて旅立った。柳で馴染《なじ》んだ乗り合いの馬車がその手段だった。柳や雁と違って街道を歩いて旅する者も多い。実際、歩いていても寒さのあまりどうにかなるということはなさそうだった。歩けば身体が温まるので、手先、足先が凍《こご》えることを除けばさほどの苦はない。
 街道を南下して和州首都|明郭《めいかく》に向かう。首都|堯天《ぎょうてん》へ向かう大街道が明郭を東西に抜けて止水郷を貫いていた。
 山野は確かに荒廃がひどい。街道の途中には建物をなくした廬《むら》も多かった。耕作されないまま荒れ果てた農地、炎に炙《あぶ》られて炭の色になったまま立ち枯れる山林。ほとんど雪がないために、それらの様子が目の当たりだった。
 たまに人がいる小さな里《まち》の閑地《かんち》には、小さな塚がびっしりと並んでいることがあった。
 ——あんなに多くの死者。
 祥瓊は慄然《りつぜん》とする。荒廃した山河、失われた生命。これがすべて王のせい、王が玉座《ぎょくざ》にいなかったせい。
「娘さん——どこから来たね」
 馬車の隣に座っていた老婆《ろうば》に訊《き》かれ、祥瓊は馬車の後尾から見る風景から目を離した。慶の馬車は蔽《ほろ》の後尾に覆《おお》いのないことが多かった。
「芳です」
「芳の王さまは死んだって、小説で言ってたが本当かねえ」
「——ええ」
 そう、と老婆は釿婆子《おんじゃく》を抱く。
「芳もこうなるんだろうねえ……」
 ぽつりと言った声に祥瓊は目を見開いた。
 きっとこうなる。たくさんの人が死んで、その肉親が加害者を憎《にく》む。祥瓊が恵侯月渓《けいこうげっけい》を憎んだように。沍姆《ごぼ》が祥瓊を憎んだように。
 ——ああ、本当に憎まれるはずだ。
 これほど国土が荒《すさ》むのでは。
「……慶はいいですね、新王が起《た》って」
 祥瓊が言うと、老婆は低く笑った。
「良くなるといいけどねえ。前の王が起ったときにも、そう思ったけど……」
 それきり老婆は口を閉ざした。
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