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十二国記414

时间: 2020-08-31    进入日语论坛
核心提示: 早朝、陽子は北韋《ほくい》の街に出る。まっすぐにいつぞや行った、労《ろう》とかいう男の住まいへ向かった。奇妙な覆面の男
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 早朝、陽子は北韋《ほくい》の街に出る。まっすぐにいつぞや行った、労《ろう》とかいう男の住まいへ向かった。奇妙な覆面の男を案内してきた男。そこであの拓峰の宿の大男を見かけた。いつぞや里家を取り巻いていた男たちが戻ろうとしていたのも拓峰、全てが絡《から》みあっているように思える。
 寒気の厳しい中を歩いて、労の家にたどり着き、ほんの少し迷ってから、陽子は大門《とぐち》を叩《たた》いた。家の中はしんと物音がない。むきになって叩いているところで、道を通りがかる老婆があった。
「——朝っぱらから、なんの騒ぎだね。労ならいないよ」
 陽子は振り返って、その陰鬱《いんうつ》な顔をした老婆を見る。
「いない?」
「消えちまったのさ。夜逃げじゃないのかい。なにをやってたのか知らないけど、ずいぶん胡乱《うろん》な風体《ふうてい》の連中が出入りしてたから、なにかあったのかもねえ」
「それは、いつ」
「さあ。もうずいぶんになるんじゃないかい。半月かそこらかね」
 半月ならば、陽子が最初にここに来た頃のことだ。
 ——逃げられたか——。
「労さんのところに出入りしていた人を知りませんか。なんとか行方《ゆくえ》を知りたいんだけれど」
「さあねえ。なにしろ人相のよくない連中ばかりだったからね」
 ああ、と老婆はつぶやく。
「なんだか気味の悪い男がときどき来てたね。偉そうに馬車を乗りつけてさ。人目をはばかるふうでねえ」
「ひょっとして面布《めんぷ》の」
「ああ、そういう格好のこともあったかね。四十近くの男さ」
「四十近く……」
 思い当たる人物が、陽子にはない。
「ねえ、労はなにかやらかしたのかい」
「べつに、そういうわけじゃ……」
 ふん、と老婆は鼻を鳴らした。
「いつかなにかやらかすだろうと思っていたさ。まあ、しょせんは流れ者だからね」
「もともと北韋の人じゃないんですか?」
「とんでもない。去年の秋だったかに、ふらっとやってきて住み着いたのさ。それきり近所の人間には挨拶《あいさつ》もなけりゃ口もききゃしない。なんでもないんなら、係《かか》わらないほうがいいよ。どうせろくな人間じゃないからね」
「そうですか……」
 どうも、と陽子は軽く頭を下げた。
 
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