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十二国記416

时间: 2020-08-31    进入日语论坛
核心提示: 祥瓊《しょうけい》が世話になっているこの家に頻繁《ひんぱん》に出入りする連中は三十人前後。一度来たきりの人間を数えると
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 祥瓊《しょうけい》が世話になっているこの家に頻繁《ひんぱん》に出入りする連中は三十人前後。一度来たきりの人間を数えると五十人以上の人間がここには出入りしていて、しかもその全てが明らかに|桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]《かんたい》とは知り合いだった。
 傭兵《ようへい》たち、という言い方は嘘《うそ》ではない。多くの人間が、明郭《めいかく》から出入りする隊商に雇《やと》われて荷の護衛をしていた。だが、働きもせずに家でじっとなにかを待っている風情《ふぜい》の者、働いているわけではなさそうだが、頻繁に出かけていく者、そういった連中もまた多かった。桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]は働くわけでもなく、出かけるわけでもない者の筆頭だった。
「ひょっとして、わたしを助けたせいで出かけられないの?」
 祥瓊はある日訊いたが、桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]はこれにやんわり首を振った。
「そういうわけじゃない。俺はもともとぐうたらな性分《しょうぶん》なんだ」
 出入りする者たちは、暇《ひま》にあかせて、剣や槍《やり》を持って打ち合うことが多かった。桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]はそれにも参加しない。おおむねただ見ているだけ。
 だが、やはりこの家の主《あるじ》は桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]なのだった。誰もが桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]には一目《いちもく》置き、話しかけるにも丁寧《ていねい》に言葉を選ぶ。夜遅くまで話しこんでいることも多かったが、おおむね街の噂《うわさ》話で、ただ誰もが和州侯呀峰《わしゅうこうがほう》に否定的なことだけが共通している。
 ——侠客《きょうかく》。
 反骨の意志と、統制のとれた集まり。ここが反呀峰の侠客たちの集まりであることは祥瓊にも分かる。それだけとは思えない、と漠然と思うのは、桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]が、ここにやってくるほとんどの連中の生活の面倒を見ているからだった。
 ——あれだけのお金がどこから。
 よほど良い家の出身なのだろうか。それだけでこれだけ無頓着《むとんちゃく》に金を配ることができるものだろうか。
 ひょっとしたら——と祥瓊は思う。実はここに出入りする者のほとんどが、桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]に雇《やと》われた傭兵《ようへい》ではないのか。あるいは、もしかして、桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]自身も——。
 考えながら院子《なかにわ》の水瓶《みずがめ》に水を足していると、表から馬の蹄《ひづめ》の音が聞こえた。顔を上げてみると、開け放した大門《とぐち》の外に馬車が停まるのが見える。その車から一人の男が降り立った。頭から布を被《かぶ》り、深く面伏せるようにして大門をくぐると、勝手に門扉《もんぴ》を閉め、それでようやく顔を上げる。馬車が駆け去っていく音が聞こえた。
「——あの?」
 祥瓊が声をかけると、男は頭に被った布を肩に落とす。歳の頃は四十前後か。どこか威厳の漂《ただよ》う男だった。
「——お前は?」
 深みのある声で訊《き》かれて、祥瓊は内心首をかしげながら軽く会釈した。
「ここで雑用をしています。——あの、あなたは?」
「桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]を訪ねてきた。いるかね?」
「あ、——はい」
 男は軽くうなずいて、勝手に正房《おもや》へと向かう。祥瓊に取り次ぎを頼む気も、案内をさせる気も端《はな》からないようだった。祥瓊はあわてて男を追いかける。
「あの、すみません、どちらさまでしょう」
 ここが誰かれ構わず中に入れていい家かどうか、言われなくても祥瓊にも分かる。得体《えたい》の知れない男を、気安く通してはならない気がした。
「桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]のお知り合いですか?」
 ほとんど前に立ちふさがるようにした祥瓊に、男は軽く目を細めるようにして微笑《ほほえ》む。
「なるほど、よい下女を見つけたようだ。——わたしは柴望《さいぼう》という。桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]にそう取り次いでもらおうか」
 べつに下女というわけじゃない、と思いながらも、祥瓊はうなずく。正房の階段を駆け上がったところで、ちょうど正堂《ひろま》から桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]が出てきた。
「あ、桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]——」
 うん、と桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]は祥瓊にうなずく。おそらくは祥瓊の声を聞いて出てきたのだろう。桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]が深く頭を下げると、柴望は頓着《とんちゃく》なげにうなずいて、階段を上がってくる。自ら正堂に入っていった。
「桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]……あの人は」
「うん。とにかく、紹介しよう。おいで」
 うなずいて桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]の後に続きながら、ひょっとしたら、と祥瓊は思う。やはり桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]は誰かに雇《やと》われていて、雇っているのがあの柴望——。
 正房《おもや》の入ったところが堂《ひろま》だった。正面奥の壁には堂福《かけじく》と対聯《ふだ》、その下の供案《かざりだな》の前には方卓《つくえ》と二脚の椅子《いす》が置いてある。これが一家の主人の席、通常ならばもちろん、桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]しか使わない。その席に柴望はすでに座って、祥瓊と桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]を迎えた。
「面白い子を雇ったものだな」
 柴望の言葉に、立ったまま桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]は苦笑する。
「雇ったわけじゃありません」
 言って、祥瓊を拾ったいきさつをかいつまんで話す。なるほど、と柴望は軽く笑った。
「それは度胸のある娘さんだ。それとも、ただ和州で官吏《かんり》に石を投げることの危険を知らなかっただけか」
「知らないわけではないでしょう。祥瓊は芳《ほう》の出身ですから」
 柴望は軽く首を傾けて祥瓊を見た。
「芳の——。出身はどこだね?」
 正直に蒲蘇《ほそ》と言うべきか、恵州新道《けいしゅうしんどう》と言うべきか、祥瓊は少しの間迷った。
「……蒲蘇です」
「蒲蘇の祥瓊、か」
 それだけを言って、柴望はその先を言わない。
「——それで、祥瓊はここがどういう者が集まっている場所だか、分かっているのかね?」
「分かっているつもりです」
 柴望はひとつうなずく。
「和州はご覧のとおりのありさまだ。それというのも、和州侯呀峰の為人《ひととなり》のせい。和州を私物とし、王の体面と国の意向を無視して民を虐《しいた》げ、慶《けい》の根幹を揺るがせる奸臣《かんしん》をこのまま放置しておくわけにはいかない」
「……はい」
「本来なら王が指導し、国が行うべきことだが、新王は登極《とうきょく》して日も浅く、朝廷を牛耳《ぎゅうじ》る朝臣は予王《よおう》の前から権をほしいままにしてきた。登極してわずかに半年の王が桔抗《きっこう》できるとはとうてい思えぬ。これを掌握《しょうあく》して、さらに九州へ政《まつりごと》を施すのは至難の業《わざ》、しかも王は胎果《たいか》の生まれ、慶のことがお分かりでない」
 祥瓊はうなずいた。
「ここで呀峰を正し、和州に乱あり、呀峰の治に憂いありとの声をあげれば、王も九州に数々の悩みあることに気づかれるやもしれない。気づいていただきたいと、我々は切に願っている」
「はい。……分かります」
「和州のために呀峰を倒すことよりもむしろ、なによりもまず、王に和州の現状を知っていただきたい。我らの手で呀峰が倒せずとも、王が裁《さば》いてくださればよし、さもなければ我らは王と呀峰の敵と呼ばれ、かならずや討《う》たれることだろう。それでも祥瓊は手を貸してくれるだろうか」
 祥瓊は軽く拳《こぶし》を握る。
「……はい。わたしは景王《けいおう》が必ず気づいてくださると信じます」
 信じていいはずだ、楽俊《らくしゅん》があれほど気にかけるのだから。いたらない自分が玉座《ぎょくざ》に就《つ》いてもいいものかどうか、悩む王が愚《おろ》かであるはずがないと信じる。
 柴望《さいぼう》は軽く笑った。
「そうか。……芳からの客人のほうが王を信じておられる。なんとも皮肉なことだな」
「あなたは——信じてはいないのですか?」
「信ぜよ、とおっしゃる方もおられるので、信じたいとは思っている」
「——え?」
 祥瓊の問いかけには答えず、柴望は軽く卓を叩く。
「いずれにしても、我らは祥瓊を歓迎する。よろしく頼む」
「……はい」
 うなずいた祥瓊の脇で、|桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]《かんたい》が首をかしげた。
「まさか、祥瓊に会うためにいらっしゃったんですか」
 まさか、と柴望は笑う。
「無論、用があってきた。桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]に伝えるようにと」
「なにかあったんですか」
「瑛州北韋《えいしゅうほくい》の——いや、正確には固継《こけい》と言うべきか。固継の閭胥《ちょうろう》、遠甫《えんほ》というお方が消え失せた」
「——それは?」
「昨日、固継の里家が何者かによって襲撃され、里家の娘ひとりを殺し、その弟の小童《こども》、閭胥の遠甫を攫《さら》って逃げたらしい。里家からは盗まれたものがなく、なにゆえの犯行なのか分からない。ただ、このところ、頻繁《ひんぱん》に里家の周囲をうろつく男たちがあって、これが拓峰《たくほう》の者だという」
「——拓峰」
「昨日拓峰では、日没後に門が開いた。馬車が一台、閉じた門を開けさせて通ったという」
「……なるほど」
 祥瓊は桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]を見上げた。
「……どういう……?」
「拓峰にはもう一匹の豺虎《けだもの》がいる。昇紘《しょうこう》という名のな。——いったん閉じた門を開けられるとなれば、よほどの人物が命じたとしか思えんだろ。拓峰でいちばんに考えられるのは、まず昇紘じゃないか。そして昇紘の背後には必ず呀峰がいるもんなんだ」
「呀峰が昇紘に命じて、その閭胥《ちょうろう》を攫《さら》わせた……?」
 祥瓊の問いに、柴望がくすりと笑う。
「結論を急がぬほうがいい。それを調べてほしいと、伝えにきたのだ」
「あ、はい」
「さらにもうひとつ。——明日、ここに荷が届く。それを北韋の労《ろう》のところへ届けてほしい」
 桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]はうなずき、軽く苦笑した。
「労は豊鶴《ほうかく》に移りました。——なんでも周囲を嗅《か》ぎまわっている者がいるらしいということで」
 柴望《さいぼう》は眉《まゆ》をひそめる。
「労が……?」
「詳《くわ》しいことは、荷を運べば聞けますでしょう」
 柴望はうなずく。
「冬器《ぶき》が二十だ。確かに頼んだ」
 桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]は深く頭を下げた。
「——かしこまりました」
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