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十二国記443

时间: 2020-08-31    进入日语论坛
核心提示: その翌日、厨房《だいどころ》で朝の用意をしていた祥瓊を、桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]がいきなり呼びにきた。集まれ
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 その翌日、厨房《だいどころ》で朝の用意をしていた祥瓊を、桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]がいきなり呼びにきた。集まれ、と言われて堂《ひろま》へ向かい、そこで堂いっぱいの傭兵《ようへい》たちと柴望《さいぼう》を見る。
 いったいなにが、と問えば、そろうまで待てと言われ、おとなしく待つことしばし、見慣れない商人ふうの三人連れが来たのを合図に、堂の扉が閉ざされる。
 桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]は立ち上がった。
「早朝、拓峰から青島《しらせ》が届いた。——未明、拓峰で郷城の義倉《ぎそう》が襲われた。義倉に火を放って瑛州へ逃げた連中がいる。例の『殊恩《しゅおん》』の連中だ」
 ざわ、と低い声が起こってやんだ。
「拓峰の連中は切れる。本気で乱を起こすつもりだ」
「どういう——」
 祥瓊が低く問えば、桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]はうなずく。
「昨日、昇紘の屋敷を襲った連中は、昇紘をし損じたわけじゃないということだな。二十人ばかりで屋敷を襲い、これみよがしに殊恩の文字を残して瑛州に逃げる。今度は義倉だ。やはり三十ばかりの連中が郷城に忍びこんで殊恩の文字を残して逃げ出す。逃げた先はいずれも瑛州、いまごろ昇紘は激怒しているだろう。あの男はそういった挑発を冷静に受け流せる男じゃない」
「それは——そうだけど」
「昇紘はきっと、駐留軍《ちゅうりゅうぐん》と師士《しし》に命じて州境を固めさせる。市民を監視して仲間を捜索しようとする。——目的は明らかだ。警備の分散」
 祥瓊にはのみこめない。堂内の者を見渡しても、同じく首をかしげたふうの者がかなりの数いる。
「郷城には州師三|旅《りょ》千五百、師士千、射士五百で総計三千の兵がいる。これに正面からぶち当てて、勝てるだけの兵力がなければ、俺でもそうする。昇紘を挑発して兵力を分散させ、できるかぎり郷城から警備を減らすな。どれだけの兵が実際に犯人捜索と州境警備に出されたのかは知らないが、それでもまだ相当数の兵が郷城にはいるだろう。昇紘は近辺から各県に配備した師士を呼び戻しているようでもある」
「それじゃあ、かえって増えてるんじゃないの?」
「呼び戻した師士が全て戻るまでには、二日や三日がかかる。戻る前に決起すればいい。それも拓峰の外に囮《おとり》を立て、挑発に怒っている昇紘が残存の兵を出したところで郷城に突入する」
 しん、と堂内が静まりかえる。
「連中が大量の冬器《ぶき》を集めているようだ、という情報がなければ、俺でも踊らされたかもな。——連中は師士が戻る前に兵を挙《あ》げる。おそらくは三日以内。州師を引きつけるために、囮にはかなりの人数を割《さ》いて、相当時間|粘《ねば》るはずだ。そのあと温存した兵力で一気に郷城を落とす」
 祥瓊は軽く息を呑《の》んだ。鈴《すず》はどうしているだろう。どこでどんな役割をする。無事だろうか。大丈夫だろうか。
「——だが、連中は分かってない」
 |桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]《かんたい》が言って、祥瓊は首をかたむけた。
「昇紘と呀峰《がほう》の癒着《ゆちゃく》は深い。単なる地方|官吏《かんり》なら、呀峰もあえて支援はしないだろう。州師の到着は遅れるし、さほどの大軍が派遣されることもない。乱が起きるほど民に疎《うと》まれる官吏なら、あえて庇《かば》う必要はないが、呀峰はそれを承知で昇紘を飼ってる。いわば昇紘は呀峰にとって、汚い仕事をさせるための手飼いの部下だ」
 つまり、と桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]は言葉を切る。
「昇紘は呀峰の汚い面を相当深く知ってる。乱が長引いて国が出てきては困るはずだ。万一昇紘が捕らえられ、喚問《かんもん》されることがあれば一蓮托生《いちれんたくしょう》だからな。呀峰は既に大軍を準備している。乱を平定するためには手段は選ばん肚《はら》だ。だとしたら、たかだか三千の護衛を分散させて叩《たた》かねばならない連中には、まず勝ち目がない」
 ざわ、と堂内の空気が揺れた。
「——『殊恩《しゅおん》』の連中を支援する」
 言って桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]はやんわりと笑った。
「ついでに悪いが利用させてもらおう」
 どういうことだ、という声に、|桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]《かんたい》はいっそ無邪気なふうな笑みを見せた。
「おそらく殊恩党討伐《しゅおんとうとうばつ》のために、州師の大半が一両日中に拓峰に向かう。明郭はがらあきになるぞ。この機を逃す法があるか?」
 おお、と軽くどよめきが起こった。
 桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]は三人の人間を呼ぶ。
「——汚名をそそぐ機会をやる。お前たちはこれから直ちに配下を連れて、密《ひそ》かに拓峰に向かえ。必ず州師より先に拓峰に着けよ」
 汚名、と祥瓊は首をかしげたが、当の男たちからは、はい、と歯切れ良い返答があった。
 桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]は、供案《かざりだな》の前に座った柴望を振り返った。
「——で、どうなさいます」
 柴望は少し考え、桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]を見返した。
「明郭はわたしがあずかろう。お前は拓峰に行きたいだろう」
 桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]は苦笑した。
「ばれましたか」
「ああいう連中が好きだからな、お前は。——ただし、開戦まではいてもらう。備えが整ったら、拓峰に行け。我らの目的は呀峰を討《う》つことではない。和州に過ちあり、と王に知らせることだ。なにも無理に勝たなくてもいい。あとはわたしがなんとかしよう」
「ありがとうございます」
 祥瓊は声をあげた。
「わたしも——拓峰に行かせてください」
 ほう、と柴望は祥瓊を見た。
「拓峰には知り合いがいるんです。殊恩党の中に。……お願いします」
 柴望はうなずく。
「祥瓊といったか。お前は騎獣《きじゅう》に乗れるかね?」
「乗れます」
「では、桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]と行動を共にせよ。行って義勇の民を助けてやるがいい」
 祥瓊は深く頭を下げる。
「——ありがとうございます!」
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