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十二国記457

时间: 2020-08-31    进入日语论坛
核心提示: 街を取り囲んだ禁軍の旗は、市民を激しく動揺させた。州師とはわけが違う。市民にとって龍旗《りゅうき》は王そのものであり、
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 街を取り囲んだ禁軍の旗は、市民を激しく動揺させた。州師とはわけが違う。市民にとって龍旗《りゅうき》は王そのものであり、国そのものを背負っている。
 ——王師が討伐《とうばつ》に来た。
 絶望の声が流れる。投降しても厳しい処罰があるだろう、ひょっとしたら一人として許されないかもしれない、と人々は浮き足立つ。
 それは虎嘯《こしょう》の仲間や、|桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]《かんたい》の仲間もまた例外ではなかった。
 やはり王は昇紘《しょうこう》を保護していたのだ、という声があり、自分たちは間違っていたのか、と不安を叫ぶ声がある。いずれにしても、彼らは逆賊《ぎゃくぞく》になったのだ。
 一軍がそろい、さらに後続、二軍目の旗が見えて、市民が門闕《もん》に殺到する。王師に投降する、と言う。
「王ににらまれたら終わりだ」
「わたしたちは、謀反《むほん》に参加しようなんて思ったわけじゃない!」
「昇紘ににらまれてもああだったんだ。……国ににらまれたら、どうされるか分かったもんじゃない」
 勝手なことをして、拓峰《たくほう》を災禍《さいか》に落としこんだ、と市民の非難は虎嘯に集中する。
「お前らが余計なことをするからだ!」
「——どうしてくれるんだ」
 虎嘯は悄然《しょうぜん》と郷城正門の箭楼《みはりば》に座っていた。局囲にはごくわずかの人影しかない。虎嘯の首を取って王師に下れば許されるのではないか、とまことしやかに囁《ささや》く者があるからだった。
「……どうする」
 桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]が言って、虎嘯はうなだれたまま床に息を落とした。
「どうするもこうするもないだろうが。とにかく午門《ごもん》を開けて、逃げたい者は逃げさせろ」
 口調は軽かったが、言葉には覇気《はき》がなかった。
「門を開けた瞬間に、王師、州師がなだれこんでくるぞ」
「それも仕方ねえだろ」
 言って虎嘯は前に立った桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]を見上げた。
「桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]、あんたは素性《すじょう》がばれてねえ。吉量《きつりょう》を使って逃げな」
「勝手にひとを腑抜《ふぬ》けにせんでもらいたいんだが」
 そうか、と笑って虎嘯は周囲を見渡す。
「どうせ、助かるとは思ってなかったんだ。……とにかく他人を巻きこまねえようにしないとな」
 言って虎嘯は、男のひとりに声をかける。
「行って門を固めた連中に、郷城に帰るなり逃げるなりするよう伝えてくれ。……逆上した連中に襲われないよう、気をつけろよ」
「しかし、……虎嘯」
「逆賊として処刑されるにしても、俺たちなりの仁義だけは通しておこうや。このまま街の連中を閉じこめておくのは、人質《ひとじち》みたいで我慢できねえ」
「待って、虎嘯!」
 鈴《すず》は叫ぶ。
「——それは駄目。早まらないで」
 そう、と祥瓊《しょうけい》も口をそろえる。
「もう少し待って。どうせ連中はわたしたちがこうやって勝手に降参するのを待ってるんだわ。そうでなきゃ、とっくに攻めてきてるもの。まだ猶予《ゆうよ》がある。だから、結論を急がないで」
 虎嘯は軽く息を吐いて顔を上げる。自嘲《じちょう》めいた苦笑が浮かんでいた。
「俺は卑怯者《ひきょうもの》にはなりたくねえんだ」
「もうちょっとでいいから」
 祥瓊と鈴が声をそろえて、虎嘯も桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]も怪訝《けげん》そうに眉《まゆ》を寄せた。
 そういえば、と虎嘯は手をあげる。
「——陽子はどうした」
 問われて、鈴は祥瓊と目を見交わした。口を開いたのは、祥瓊だった。
「……午門《ごもん》に詰めているわ。開けろと言っても、陽子は午門を開けたりしないと思うわ」
 虎嘯が口を開いてなにか言おうとしたときに、箭楼《みはりば》の階段を上がってくる者があった。
「虎嘯——」
「どうした」
「街の者の代表だって連中が来てるんだが」
 誰もが眉をひそめたが、虎嘯は鷹揚《おうよう》に、上げろ、と言う。真っ先に夕暉《せっき》が動いて虎嘯の側に寄る。他の者もそれに続いた。万が一、虎嘯を討《う》とうなどと妙なことを考えられてはたまらない。
 やってきたのは、中年の男たちが六人、その代表は革午《かくご》と名乗った。
「我々はあんたに協力したわけじゃない。あんたたち逆賊の捕虜《ほりょ》だ」
 革午は言い捨てる。
「解放してくれ。わたしたちまで逆賊のように言われては堪《たま》らない。だいたいお前のような無頼の連中が——」
 口を極めて革午が罵《ののし》れば、他の五人も声を合わせて虎嘯を責める。虎嘯が息を吐いたとき、鈴が大きな声をあげた。
「——いいかげんにしなさいよ!」
 革午らはもちろん、虎嘯や|桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]《かんたい》までが目を見開く。
「あんたたちは、昇紘が憎《にく》くなかったの? 昇紘のやり方でいいとそう思ってたの!?」
「娘、お前は黙ってろ」
「黙ってあげないわ! ——昇紘を許してたんなら、あんたたちは昇紘の仲間よ。つべこべ言われる筋合いじゃないわ。いますぐここで昇紘と同じように縄《なわ》をかけてやるから!」
「……鈴」
 虎嘯にいさめられて、鈴は虎嘯をねめつけた。
「どうして小さくなっちゃうの? こんな人たちの言うことを聞いて、しょんぼりする必要なんかぜんぜんないわ!」
 虎嘯が悪かったとは思わない。街の者が昇紘を恨《うら》んでいなかったとは言わせない。
「あたしは弟みたいな子を昇紘に殺されて虎嘯の仲間になった。——昇紘が華軒《くるま》で轢《ひ》き殺したのよ。誰も昇紘を責めなかった。昇紘を追いかけて華軒から引きずり出したりしなかった。それはみんなが昇紘に怯《おび》えてるからだと思ってたわ。もしもそうじゃなくて、この街の人みんなが昇紘のことを許してたんなら、この街の人全部があたしの仇《かたき》よ! 許さないわ!!」
「娘、——いいか、わたしたちだって、昇紘が憎くなかったわけじゃない。仕方ないだろう、あんな奴だからこそ頭を下げてなきゃ、生きていけなかったんだ!」
 革午は吐き捨てる。
「昇紘を倒してくれてありがとうよ。だがな、わたしたちは命が惜しい。家族がかわいい、そう思ってはいけないのか。あんたたちは昇紘という豺虎《けだもの》を倒してくれたが、代わりに王というもっと大きな豺虎を呼び寄せたんだ」
「王はあたしたちの敵じゃないわ!」
「げんに禁軍が来てるじゃないか!!」
 革午は怒鳴る。
「王が拓峰《たくほう》の叛乱を許すなと言ったんだ。——そういうことだろう、ええ!?」
「違うわ」
 きっぱりとした声は祥瓊のものだった。
「王は存じあげないことよ。あなたはこの国に三匹の豺虎《けだもの》がいるのを知ってる?」
 革午《かくご》は肩で息をしながら瞬《まばた》く。
「止水郷《しすいごう》郷長、昇紘。和州州侯《わしゅうしゅうこう》、呀峰《がほう》。——そして、もと冢宰《ちょうさい》、靖共《せいきょう》」
 おい、と言ったのは、虎嘯だった。他の者たちもいっせいに祥瓊を怪訝《けげん》そうに見る。
 祥瓊はそれらの人々に笑ってみせた。
「そういうことなの。止水から搾《しぼ》り取《と》ったものが和州に流れこんで、和州に集まったものが靖共のところに流れこんでた。義塾《ぎじゅく》を焼き討《う》ちさせたり、人望ある州侯に汚名をきせて朝廷から追い出したり、里家《りけ》を襲わせたりさせる代わりに、その身柄を守ってた。州師が駆けつけて来たのと同じ理屈よ。昇紘や呀峰が捕まれば、靖共の地位まで危ない。だから禁軍を出したのよ」
「お前……そんなことを、どこで」
 |桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]《かんたい》に言われて、祥瓊は鈴と視線を交わす。
「ちょっとね。——王は禁軍を出したりなさらないわ。拓峰の民を哀《あわ》れんでくださる。靖共が勝手に出したのよ。だから禁軍は門前に控えて攻撃してこないじゃないの。本当は動かしてはならないものだからよ。ああしてわたしたちを威圧して、勝手に投降してくれるのを待ってる」
「しかし——」
「あのね、桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]。靖共が大きな力を握っていればいるほど、反発もあるものなの。朝廷は靖共派と反靖共派に二分されてる。勝手に禁軍を出して、反靖共派が黙っていると思う? 単に出征させて、威圧させただけなら言い訳のしようもあるわ。乱を鎮圧したって手柄をたてにとってごまかすこともできるかもしれない。けど、戦わせてしまったら、たとえもと冢宰といえども、言い訳のしようなんてないわ。禁軍は王の私物なんだもの」
「だが、攻めてくるかもしれないじゃないか!」
 革午が叫ぶ。
「攻めてきたら終わりなんだぞ、分かってるのか!?」
「王が助けてくださるわ。ぜったいにとめてくださる」
 革午は祥瓊に指を突きつけた。
「そんな保証がどこにある! 王が靖共と癒着《ゆちゃく》してるかもしれないじゃないか!」
「——ありえないわ」
 祥瓊と鈴は声をそろえて、互いに小さく笑う。くすり、と桓※[#「鬼+隹」、unicode9B4B]が笑いをもらした。
「王を知っているような口振りだな」
 祥瓊と鈴はもういちど顔を見合わせる。先に鈴が口を開いた。
「知ってるわ」
「そんなはずがないだろう! なんでお前みたいな小娘が、王と面識を得る! いい加減なことを言うな!!」
 革午《かくご》が叫ぶ。鈴は言うに言えなくて困惑する。その視線を受けて祥瓊がうなずいた。
「——革午とか言ったか。わたくしが王に面識あるのがおかしいか」
「当たり前だろう!」
 言いかけた先を祥瓊は制す。
「我は芳国《ほうこく》は先の峯王《ほうおう》が公主《こうしゅ》、祥瓊と申す。——一国の公主が王に面識あってはおかしいか。我の身元に不審あれば、芳国は恵候月渓《けいこうげっけい》に訊《き》くがよろしかろう。先の峯王が公主、孫昭《そんしょう》をご存じか、と」
 革午はもちろん、虎嘯たちまでがぽかんと口をあけた。
「我は父王が薨《みまか》り、景王《けいおう》を頼って慶国《けいこく》に参じた。景王より依頼を受けて、和州の実状を見聞していたまで。妙な縁《えにし》で虎嘯らに手を貸すに至ったが、これは景王もご存じのこと。——景王におかれてはこれを機に一気に靖共らを捕らえられるご意向。浮き足だって虎嘯らを責めれば、かえって王の不興をいただくことになると思うが」
「まさか——」
 信じられない、と革午の顔は言っている。鈴はふと懐《ふところ》に手を入れた。
「革午、これを見て」
 革午は娘が差し出したものを受け取り、首をかしげた。それは単なる旌券《りょけん》に見える。どういう意味だ、と顔を上げれば、裏を見よ、と言われた。旌券を裏返し、革午は硬直する。
 墨書と朱印。いや、これはむしろ。——御名|御璽《ぎょじ》。
「あたしは才国琶山《さいこくはざん》が主《あるじ》、翠微君《すいびくん》にお仕えする者です。采王《さいおう》御自らの御達しあって慶国は景王をお訪ねしました。不審あらば長閑宮《ちょうかんきゅう》に問い合わせてごらんなさい。御名御璽に不審あればの話だけれど」
 革午は旌券と二人の娘を見比べた。娘たちは晴れやかに笑う。
「景王を信じてお待ち。決してあなたたちに悪いようにはしないから」
 
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