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十二国記460

时间: 2020-08-31    进入日语论坛
核心提示: 閑地の端に展開した軍勢は、そろって空を見上げ、ぽかんと口を開けていた。禁軍左軍、将軍|迅雷《じんらい》も例外ではない。
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 閑地の端に展開した軍勢は、そろって空を見上げ、ぽかんと口を開けていた。禁軍左軍、将軍|迅雷《じんらい》も例外ではない。
 ——なぜ、と彼は息を呑《の》む。なぜ、麒麟《きりん》の背に騎乗する者がいる。
 騎乗する者があるのはまだしも、それが一路迅雷をめざして——軍旗をめざして駆けてきて、彼は思わず一歩を退《さが》った。
 ——だから反対したのだ。禁軍を動かすのはあまりに危険だと。
 行け、と大《だい》司馬《しば》に命じられれば、迅雷には否とは言えない。ましてや、大司馬に靖共《せいきょう》の名をちらつかされれば、いっそう否とは言えなかった。せっかく得た将軍の地位をそんなことで失いたくはなかったのだ。
 ——だが。
 駆け寄ってくるその神獣、騎乗した人影の赤い髪、年頃は十六かそこらの若い娘、それが誰だか、迅雷には分かった。禁軍左軍はその即位式にも、その直後の郊祀《まつり》にも、側近くに従ったのだ。
 間近に駆け寄った麒麟《きりん》は龍旗の側で宙にとどまる。その騎上から射抜くような視線が降ってきた。同時に降ってくる声はよく透《とお》り、それ以上に怒りを露《あらわ》に伝えていた。
「——迅雷」
 呼ばれて迅雷は思わずさらに一歩を退る。周囲の兵士がどよめいて、やはり後退《あとずさ》るふうを見せた。
「誰の許しを得て、拓峰《たくほう》に来たか」
「——わたしは」
「どこの王の宣下《せんげ》あってのことだ」
 申し開きをせねば、と思う。思うが声が出なかった。言葉を探して、思考はいたずらに空転する。——小娘だと思っていた。先王と同様の凡庸《ぼんよう》な王だと。だが、迅雷を萎縮《いしゅく》させるほどの覇気《はき》はどうしたことか。
「それとも禁軍の兵は将軍もろとも辞職して私軍になったか」
「……主上《しゅじょう》、わたくしは——」
「お前たちの主《あるじ》はいつから靖共になった! 靖共のために拓峰を攻めるというなら、禁軍全てを反軍とみなすが良いか!!」
 迅雷はもちろん、周囲の兵もまた立ちつくすしかない。そこにひどく静かな声が降る。
「——なにをしている」
 麒麟の双眸《そうぼう》はひたと迅雷に向かっている。
「主上の御前にあって、なにゆえ許しもなく頭《こうべ》を上げるか」
 迅雷の意地が砕《くだ》けた。彼はあわてて膝《ひざ》をつく。迅雷にならうように、次々に兵士が膝を折ってその場に叩頭《こうとう》していく。
「——迅雷」
 は、と迅雷は額を地にすりつける。
「勅命《ちょくめい》をもって命ずる。禁軍を率いて明郭《めいかく》に赴《おもむ》き、和州侯呀峰《わしゅうこうがほう》を捕らえ、州城に捕らわれた遠甫《えんほ》という瑛州固継《えいしゅうこけい》の閭胥《ちょうろう》を助けよ」
「——かしこまりまして」
「一軍を堯天《ぎょうてん》に戻らせ、靖共の身柄を押さえろ。無事靖共、呀峰を捕らえ、閭胥を救命すれば、今回のことは不問に処す。禁軍兵士も、和州州師もだ」
「確かに、承りました——!」
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