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恋愛自由自在12

时间: 2020-09-13    进入日语论坛
核心提示:初体験はだれがやってもぎこちない ってなわけで、ボクはそういう谷間の期間が、非常に長かったのです。やっと、陽が当たるよう
(单词翻译:双击或拖选)
 初体験はだれがやってもぎこちない
 
 ってなわけで、ボクはそういう谷間の期間が、非常に長かったのです。やっと、陽が当たるようになったのは、入学してから、だいぶたってのことです。
 一橋のヨット部には、仲の良い友だちが何人かいました。どこかの大学のヨット部もそうなんですけれど、彼らは、クラブの運営資金稼ぎに、夏休みになると、ヨット講習会を開催するのです。一橋のヨット部も、毎年、千葉のほうの海で、四泊五日くらいの日程の講習会を開いてました。
 慶応大学の医学部とか、日本医大のヨット部の講習会なんていうと、もう、大変。ヨットを習おうなんて目的よりは、とにかく、医学部の男のコと知り合いになりたい女のコが殺到しちゃうのです。それに比べると、一橋のヨット部が主催するヨット講習会は地味め。とはいっても、普段の合コンのときにやってくる、とても信じられないようなファッションした女のコたちよりは、ずうっとずうっとキラメイてる女のコたちが、集まってました。
 ボクは、そこで、真奈美って名まえの山脇学園の短大の女のコと知り合いになりました。木場《きば》の材木商の娘かなんかで、『Fine』あたりに出てきそうなタイプの女のコ。最近では、『Fine』に出ているコというと、いまだにロッキー・アメリカンしてるクサい女のコ、みたいなイメージになっちゃってますけれど、当時は、サーファー全盛の時代ですから、なかなかのもんでした。
 彼女のお兄さんが開成高校から慶応大学へ行ってたんですね。その開成時代の友だちが一橋のヨット部にいて、その関係で彼女がやってきたわけ。
 講習会には真奈美が友だちを連れて、山脇の短大の女のコ三人でやってきてました。ボクはというと、ちょうど、そのころ、カーキ色っぽい服が、ニコルとかビギとか出ていて、その辺のラインでまとめたファッションをしていました。ま、いってみれば、野性の証明というか、小野田元少尉というか、ま、そんなところ。軍隊帽っぽいやつをかぶってね。
 女のコの参加者は、結構、レベルが高いとはいうものの、対する、男のコの参加者はというと、これが、いわゆる、そのお、一橋一橋した男のコばっかりなんですから、アンバランスなんてものじゃ、すみません。そうしたなかで、ニコルやビギのカーキ色でしょ。こりゃ、目立たないほうがおかしい。当然、人気者。
 真奈美のほうから、ボクのこと、気に入り出しました。こっちだって、ハデ目な真奈美のことは、つき合ってみたいタイプ。東京へ帰ってから、会おうね、ってことになりました。
 何日か経つと、ボクのところへ電話がかかってきました。
「夏休み明けに、英文学の試験があるから教えてくれない?」
「いいよ、じゃあ、会おうか」
 単なる口実なんですよね。ボクには彼女が中学生くらいのときから、かなり遊びまくっていたという情報が入ってました。もちろん、何人もの男のコとセックスしちゃってます。
 それで、
「ねえ、抱きたいよ」
 みたいなことをいったわけです。グッと押しちゃう。
「私もいいわよ」
「どういうところがいい?」
「そうねえ」
「ホテル、とっちゃったりする?」
 まったく、もう、お金もないのに、こんな一人前の口をきいちゃって、何のノウハウもないから、とにかく一直線。
「エーッ、私、渋谷の『ガラスの城』って行ったことないから、あそこがいいな」
「ふーん。でも『ガラスの城』って、そんなによくないらしいよ」
「でも、行ってみたいなあ」
「そおう?」
 とかいってね。それで話はまとまったわけだけれども、「ガラスの城」は行ったこと、なかったんですよ。「これは、イカン」と思って、会う前日に下見に出かけたりしました。カップルばかり歩いてるところを、ボクひとりでウロついたりして。
 さて、当日です。ところが、その日の朝から、どうも、風邪っぽい。元気がないんですよ。渋谷で待ち合わせをして、食事をすませてから、二人で「ガラスの城」のほうに歩いてると、真奈美が、
「やっぱり、『サンパルコ』のほうがいいな」
 といい出しました。こっちは下見してたのに、全然、意味ないんですよ。でも、「サンパルコ」といえば、当時は、かなり評判よかったホテル。
「じゃあ、そうしようか」
 ということで、「サンパルコ」に入って、オバサンからキーを受け取ったところが、彼女ったら、
「アーア、三〇七号室がいいのになあ」
「どうしたの?」
 って尋ねたら、
「あのお部屋が一番、いいんだもの」
 というお答え。
 彼女みたいな女のコ、いったい、どうしてるんでしょうね、今ごろ。たぶん、結婚してるんじゃないかとは思いますけれどね。
 えっ、で、結局、その日はどうだったのかですって。一応、ボクとしては、経験豊富なテクニシャンだ、みたいなことを彼女に空威張りしていたから、この発言を聞いたら、ビビリ出しちゃってね。
「たいしたことないのね」
 ホテルを出るなり、そういわれちゃいました。
 とにかく、まだまだ、押したり引いたりという、恋愛ゲームの駆け引きがわかっていなかったんですよね。
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