患者は二〇歳、短大二年生。相手の男のコは二〇歳の大学生と二六歳のサラリーマン。
「去年の一二月、シスコに語学研修に行き、留学している彼と出会いました。向こうにいる一か月間は夢のような日々で、帰ってきてから文通が続いています。でも、じつは日本には一年ほど前からつき合っている彼がいたのです。今年になって我慢しきれなくなって、日本の彼にシスコでの彼のことを告白しちゃったんです。以来、日本の彼は電話はしてくれるんですが、デートはしてくれません。私、身勝手ですが、少し寂しいんです。シスコの彼は帰るのはまだ半年先だし、二六歳の日本の彼とまたつき合おうとするのはひどい女でしょうか。アドバイスをお願いします」
うーん、これは典型的な失敗例ですねー。
だからといって、そういう状況を作ってしまったあなたが「ひどい女」だということではありません。
今回の場合、そのことを相手に正直に「いってしまったこと」が、日本にいる彼との間をギクシャクしたものにさせてしまっているわけです。つまり、実際にあなたがとった、シスコでの行動と、いまの状況との関係は、なんにも因果関係がないということをよく認識してください。
しかも、もし、その男のコに「そんなこと関係ないじゃないか」というやさしさが備わっていれば、何の問題にもならなかった、ということも、考えるべきでしょうね。
ただ、今回、軽率にも本当のことを「いってしまったこと」で、彼との間がダメになってしまうとすれば、次回からはいわないようにする、ということを学んでほしいのです。
昔から、浮気している現場に踏みこまれたとしても、
「まだ、してない」
「裸になっているけど、まだ最後まではしてない」
といい張ることが、見つけられた側のやり方なわけです。いくら相手に疑われても、そういい続けることは、相手にも救いの手を差しのべることにもなるからです。
「絶対に信じられない。おまえはあのコと肉体関係をもってしまったんだ」
と、頭では思っていても、男にしろ女にしろ、心のどこかでは「そうじゃない」と信じたがっている部分があるものなんです。そこを「はい、そのとおり、やってしまいました」といってしまうのは、良策とはいえません。無理を承知で、否定し続ける一手なわけなんです。
わかっていても、シラを切る——これは、ボクのいう「よそ行き顔」の理論に通じる部分なんですね。それで、今回のケースですが、いったんそういう風になってしまったわけですから、修復はむずかしいでしょうね。しかし「どうしても」という場合は、強引にやり直す方法が、ないわけではありません。
あなたの友だちのなかでド淫乱《いんらん》な女のコを意識的に、彼に近づける、というやり方ですね。つまり、ロシアの女スパイが、西側の外交官に近づいて、情報活動を展開する、といった方法です。ド淫乱な友だちががんばってくれれば、彼にもあなただけを責められない負い目ができるわけですから、そこでお互いの行為を「御破算」にして、新しくもう一度、やり直すことができるかもしれません。