患者は一七歳の高校二年生。相手は大学二年生、一九歳。
「とうとう彼に旅行に誘われてしまいました。つき合いだして六か月。彼はけっこうベテランという評判ですが、まだキスしかしてません。私を大切に扱ってくれるんだと思ってうれしく思っていました。『次の連休に伊豆に行こう』って彼がいうんです。きっとCをすることになると思います。家のほうは、友だちと行くといえばなんとかごまかせますが、やっぱり高二の私が彼と旅行するのはちょっと心配です。どうしたらいいでしょうか」
全然、心配なんかいりませんよ。
六か月もつき合っていて、キスしかしていないというのは、ちょっと遅すぎますね、むしろ。あなたの彼には、「本当に好きになったら、指一本触れられない」というような、体育会系学生的体質が感じられますね。
こういう体質傾向の男のコは、「いったんセックスをしてしまうと亭主関白ヅラをしがちである」ということを、ご存じでしょうか? ですから、半年も何もしないでいるのより、一か月でそこまでいってしまうような男のコのほうが、「遊びで終わってしまう可能性も五〇パーセントある一方、大切にしてくれる可能性も五〇パーセントある」といえます。もちろん、ここで重要なことは、あなたが、この点に関して彼はどうであるのかを、見極める必要がある、ということですね。
別に、ロスト・バージンといったって、失うものは何もないわけです。それどころか、いまや、一刻も早くバージンを捨てたほうが、それだけ�勲章�になるわけですし、あなたのように、「伊豆のペンション」でそういう風になれるのだとしたら、それは「清里《きよさと》高原」や「ホテル・センチュリー・ハイアット」でそうなるのと同じ。あなたは完璧《かんぺき》に英雄視されます。
そこで留意したいのは、避妊具の携行です。彼が持ってこない可能性もあるわけですから、やっぱり、あなたが持っていったほうがいい。
けれども、初体験なのにコンドームなんか、女のコのほうから差し出すと�ベテラン�ぽく思われる危険がないとはいえませんから、
「怖いから、これ、して。お友だちからもらったの」
というとよいかもしれません。これを、さらに印象よくするために、コンドームをかわいらしい包装紙にくるんで、あるいは、その上にリボンまでつけるといったバカバカしさを出したほうがいいでしょう。
それから、コンドームとはいっても、これを装着するのが若い少年であったりすると、初めにつけないでインサートして、あとからつけようと思ってはいても、思わずちょびっと、二、三滴ばかり、お漏らしする場合がありますから、とにかくまず、装着してもらってからベッドに入ることですね。でも、彼がつけずにインサートしようとしたときに、
「つけてなきゃ、イヤ」
なんて大きな声でいうと、急に彼が小さくなってしまうこともありえます。こういうことは、シャワーを浴びているときに、あらかじめ伝えておいたほうがいいです。
コンドームだけでは心配という人には「マイルーラー」という避妊薬もあります。ですから、安心してセックスするためにはどちらか一方だけではなく、両方を併用するのが一番いいのかもしれません。マイルーラーが、スムーズに使えるように、あなたは事前に「予習」しておいたほうが正解です。