患者は一八歳、大学に入ったばかり。相手の男性は二人いて、片方は三六歳の大学職員、離婚経験もある男性で、もう一方は立教大四年の大学生。
「私、ダブル恋愛をしています。一人は立教の四年生。もう一人は日大の職員で三六歳の離婚経験者です。ほんとの気持ちは三六歳の彼に向いていますが、立教の彼とは惰性でつき合っているような感じです。でも、もし家族が三六歳の彼のことを知ったら絶対に許してくれないだろうし、私としても長くつき合うことはできないと思っています。でも、彼のやさしさとベッドでのことを思うと別れられません。田中さん、私はいけない恋をしているのでしょうか」
全然、別に、いけなくはないです。
むしろ、理想的といわなければいけないくらいですね。三六歳の男性のほうは、離婚もしているわけですから、問題らしい問題は何ひとつありません。
恋愛というのは「いまが楽しい」ものであればいいわけです。あまりにも先のことを考えていると、ついつい繕《つくろ》ってしまう部分が多くなってきて、正直な気持ちが出しにくくなってくるものです。
ですから、三六歳で、セックスも上手で忘れられないのであれば、彼と会っているときには、それを最大限、楽しめばいいわけです。全然、いけなくないです。
大学生の彼と会うんでしたら、きっと彼にも何か、あなたが惹《ひ》かれるものがあるんでしょうから、そのときは、それを十分に楽しめばいいわけです。
あなたにはただひと言、「がんばってほしい」としか、いいようがないですね。
まあ、あなたは、「自分のなかにある�女の性�が人より激しい」ということを自覚して、より認識できるように瀬戸内寂聴でも読むといいですね。まあ、半分冗談ですけど。