さて、これまでお勉強してきたみなさんには、ボクのいう「よそ行き顔した恋愛」の輪郭が、見えてきたことと思います。
でも、頭でわかっていても、実行に移さなければ、知識なんて、何の役にも立ちませんね。おおいに恋をし、恋愛を楽しみましょう。
よそ行き顔、ということは、普段とは違う、ということでもありますね。いつも彼の部屋、彼女の部屋でしか、セックスをしないようでは、すぐにマンネリ化します。とても、よそ行き顔、というわけにはいきませんね。
だからといって、ラブホテルを使うのも、芸がないですね。あそこは第一、陽が当たらない。暗い。
「どうせ夜だもん」なんていわないで。窓を開けても隣のビルの壁しか見えなかったり、見えても、隣のホテルのネオンのチカチカだったり。まったく夢がない。
おまけに、部屋の天井や、ベッドのまわりが鏡張りになってたり、ビデオが備えつけになってたり。あるいは、電動ベッド、透明プラスチック浴槽《よくそう》とか。いかにも見え見えでセックスを楽しもうとするための小道具たちも、いただけないですね。
それが好きで好きでしようがない、という人は、そういうのが、実に刺激的なのかもしれませんね。でも、ボクは、そんな、自分たち以外のものの力を借りて楽しもうとは思いませんね。
セックスは、基本的に、二人の人間の営みなわけですよね。特に、男のコが女のコに奉仕し、女のコの反応を確かめて男のコが楽しみ、女のコも楽しむ、という風に考えているボクには、明るくて、清潔な部屋が、ふさわしいと思うんです。
それに、たとえ数時間にせよ、ホテルを単なるベッドハウスとしてではなく、ホテルという場所を楽しむ、ということで使える場所であるほうが、豊か気分ですよね。
セックスだけが目的じゃなく、ホテルを楽しむ。上手に使う。これが「よそ行き顔した恋愛」のエッセンス・パターンだと思うんです。それには、ラブホテルでもなく、ビジネスホテルでもなく、一般にシティーホテルと呼ばれるところがベストです。
ラブホテルだと、いったん部屋に入ってしまうと、そのあとの出入りがむずかしいでしょ。入っちゃうともう、セックスをして「おやすみなさい」になっちゃうケースが圧倒的。恋愛行動が、非常に窮屈になっちゃいます。
その点、普通のホテルであれば、午後二時チェックイン、翌日の正午くらいまでリザーブで、丸々一日分、その空間を利用できます。二人の行動にはとても柔軟な幅ができるんですね。その間、何回でも出入りがきくわけですから。
どこかの安酒場でお酒飲んで、酔っぱらって、
「さぁ、行こうかァ!」
って感じでラブホテルへ行っても、もう本当にセックスだけ、という感じで、面白くもなんともないし、セックスも短い、つまらないものになりがちですね。
ラブホテルだって、いまは高い所だと泊まって一万五〇〇〇円くらいするわけですから、それだったら、たとえば、センチュリー・ハイアットのダブルに泊まって朝ごはんもとったって二万五〇〇〇円くらいで収まるわけです、このほうがずっとステキですよね。
セックス、というものを、あんまり「暗がりで行うもの」「夜のおつとめ」みたいに決めつけてしまわずに、もっと明るい感じでとらえたほうが、いいと思うんです。そうしたら、昼間の三時ごろにチェックインして、ベッドの上で運動してから、夕ごはんを二人で一緒に食べに出かけられるし、夜になってお酒を飲んで帰ってきて、また仲良くしちゃうことだってできるわけ。気が向けば、それからまたドライブに出ることだってできちゃうでしょ。
シティーホテルを使うってことは、非常に楽しみの幅が広がるってことなんですよね。