彼女は、かなり真面目《まじめ》なほうなのですが、主人公には耕一という恋人がいます。彼はどうやら、湯浅君とは経済レベルが違う普通の大学生のようだけど、別にケンカしてるわけでもなければ、嫌いになったわけでもないのです。
明日の授業では、何ごともなかったように耕一と顔を合わせ、一緒に昼食を食べることになるのだけれど、なぜか、今、彼女は、湯浅君とヒルトン・ホテルの一室で、ベッドの上の行為までしてしまっているのです。
ここにはホテル恋愛のステレオタイプがありますね。と、いうことはつまり「よそ行き顔した恋愛」がある。それと同時に、主人公は、いまや「並行恋愛」、もしくは「ブティック恋愛」に目覚めようとしています。ワンステップを踏み出そうとしている女のコの姿が、そこには見てとれます。ここまでの「おさらい」として、もう一度、じっくり読んでみてください。もちろん、短編集に載っている本編のほうを、ですよ!