その座右の書は、いわずと知れた、光文社発行の『JJ』であります。この雑誌は、美容院や病院の待合室に行くと必ずおいてある『女性自身』の編集部で村八分にされていた、その昔は実家が練馬で大根を作っていたのではないか、と疑ってしまうくらい立派な赤ら顔をした社員の人たちが、
「チクショー!! いつの日か、オレだって」
と思いながら創刊した雑誌です。
そのせいか、誌面には、作っている人たちとは対極にいるような、いかにもニュートラ、ニュートラした女子大生やOLが、読者モデルとして登場していますね。
そもそも、ニュートラというのは、ご存じのように、基本的には、「原色のお洋服ファッション」といえます。たとえば、サンローランのウェッジソール・シューズに、オックスフォードの緑色をしたスカート、それから、パリスの真っ黄黄シャツ。で、バッグはルイ・ヴィトン。これが、基本パターンなんですね。
きのうまでセーラー服とネグリジェしか着たことのなかった人でも、容易に組み合わせることができる、という意味において、このニュートラ・ファッションは、ファッション感覚ゼロの女のコたちにとって、最も「安心して楽しめ、しかも通用する」ファッションであった、ということができます。
したがって、当然のように、ニュートラ・ファッションは、メジャーになりえたわけであります。
このファッションに代表されるニュートラ派の女のコたちは、さらに細かく、渋谷派のニュートラ、銀座派、新宿派のそれと、もう三分類されますが、それぞれについては、後で詳しく述べることにしましょう。
一般に、ニュートラ派についていえることは、
「つき合う男に恵まれずに、あまりいい目をみない」
ということでしょうか。今や、流行遅れになりつつあるニュートラをしている彼女たちの恋愛パターンについては、後で詳しく書きますので、ここでは、この程度にとどめておきます。