さて、最後になりましたが、実は、これが最もポピュラーなんではないか、という新宿派サーファー少年。大学でいうと、大東文化大、千葉商科大、城西大学といった、東京でも北部、そして千葉・埼玉にキャンパスのある大学にあって、サーファーしてる、キャンパスではなかなかに目立っている少年たちです。
あろうことか、このテの学校はいまだにジーンズに黒の革靴をはいてウジャウジャ歩きまわっている学生たちのいる大学ですから、サーファー格好をしているだけで、もう、彼らは女のコたちからは、エラく尊敬の眼差《まなざ》しで見られています。
けれども、いかんせん、こういう大学にいる女のコは、薄水色のハイソックスに、千鳥格子のスカート、それにイラスト付きのトレーナーを着て、手には『non・no』を持って歩いてるようなボリューム派が、圧倒的に多いので、当の新宿派サーファーたちは、
「こんな女!」
とかいって、彼女たちを心底、バカにし切っているのです。
そして、自分たちは、
「もっと都会的なサーファー少女や、ニュートラ少女にモテたい!」
と思っているわけですが、いまイチ、通っている大学がマイナー系統なので、気張って六本木のディスコ「ウィズ」へお出かけしても、山脇や川村の女子高生に、
「そんな大学、知らない」
なんていわれてしまい、エラくメゲたりもします。それでも、わざわざ六本木まで来たのですから、
「ナンパして帰らないと故郷に錦が飾れない。乗りつけた習志野《ならしの》ナンバーの車が泣く」
と思い直して、ナンパの名所として知られる「スタジオ・ワン」にも行きますが、目白学園の女子高生や、大妻、跡見といったブランド指向の強い短大生からも、
「私たち、せめて成城とか玉川大学に行ってる男のコでないとつき合えないわ」
というシビアなことをいわれ、さらにメゲてしまいます。
新宿派サーファーの場合、サーフボードにしても、江戸川区の京葉《けいよう》道路沿いにあるディスカウントショップで買っているくらいですから、青山派に比べて、金銭的余裕もありません。ですから、六本木でのナンパにはあまり馴染《なじ》みません。
代わって、カメラの「サクラヤ」とか新宿西口「ヨドバシカメラ」でお馴染みのディスカウントショップのネオンきらめく、新宿の街に親近感がでてきます。
で、新宿のディスコに行くと、大塚の十文字学園や、葛飾《かつしか》区にある都立|葛飾野《かつしかの》高校の女子生徒が、ワンサと来ています。この女のコたちは、普段、ポマードの世界の男のコたちとしかつき合いがないので、たとえ新宿派でも、サーファー格好の大学生が新鮮に見えるわけですね。
ですから、サーファーに憧《あこが》れていて、でも、青山派や自由ケ丘派のような都会派サーファーとは、自分の容姿に自信がなくてつき合えない、という女のコは、即刻、新宿のディスコへお出かけして、新宿派サーファー少年を見つけて、それで手を打ってください。