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父子鷹13

时间: 2020-09-27    进入日语论坛
核心提示:塵芥《ちりあくた》 隠居は行灯を引寄せ、その横から顎を突き出すようにしては「まことに手に及《お》えん奴らでね」 といって
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 塵芥《ちりあくた》
 
 隠居は行灯を引寄せ、その横から顎を突き出すようにしては
「まことに手に及《お》えん奴らでね」
 といって息を切った。
「上総下総辺を追っ払われた浪人共が、ほら、いつか能勢の妙見で出逢った渡辺兵庫という手無しの奴に引きつれられて四、五人も一度にやって来たら、これを頼って次から次と押して来た」
「渡辺兵庫だと?」
「うむ」
「あ奴め」
 といって小吉は眉を寄せた。
 房総には旗本の知行所が多く、殿様は江戸にいるし、代官は微力だ。この隙にばくちがまるで大っぴらである。その上、鹿島香取の社人を中心に昔から剣術の盛んな土地だから、得態の知れない喰詰者が入込んで来て、表向きは武者修行、内実はばくち打ちの親分へ草鞋をぬいでは、碌なことをしない。
 これがあまりひどくなって来たので、勘定奉行支配方から達しが出て、一斉に浪人の追っ払いになった。道場を建てても百姓町人には教えてならない、浪人がやって来ても逗留をさせては相成らぬという。
「渡辺をはじめ、みんなおのしにやられたことのある奴らだ。だからどうしてもおのしに仕返しをするという」
 隠居はにや/\笑った。顎を撫でて
「そううまく行くかねえ」
 と、まるで知らぬ人の噂でもするような顔をした。
「それはまあ寝言みたようなことだからいゝがね。あの柳島の家にごろ/\ごろ/\酒の空徳利を枕にしてねているというような始末で、銭がないから、女を買いに行く事も出来ない。いつ、不意に清明に飛びかゝって来るかも知れないのだよ。どいつもこ奴もじろりと清明を見る眼つきは、まるで色餓鬼の形相でね。わしは夜もねむられん。少々金を工面して来て酒でも馳走しようと、うまく云いくるめて逃げ出して来たのよ」
「それは心配な事だ」
「まことに然様《さよう》だ」
 小吉は笑って
「御隠居、清明をつれて、わたしと一緒に柳島へ帰りましょう」
「えーっ。な、な、何んだと」
「殿村南平一人を置いてけ堀はまことに可哀そうだ」
 あれは男だから心配ない。あんな危険千万なところへ、こっちからわざ/\出て行く手はないだろうと、隠居は頻りに反対するが、小吉は、無理に仕度をさせて、ぐい/\手首をつかんで引っ張って外へ出た時は、もう、だいぶ夜が更けていた。隠居の手はぶよ/\して、本当に脚がもつれて重いものを曳いているような気持だった。
 隠居は、うしろにいる清明へ
「これよ、お前、わしのこっちの手をしっかり握っていなさい。勝さんがついていれば大丈夫だが、何処からどんな悪い男が飛出して来るかも知れないよ」
「あい」
 清明はうしろへ延ばした隠居の右手へしっかりとつかまって、からだをくっつけるようにしている。
 小吉は、ちらりと振向いて
「ふッ/\/\/\」
 思わずこみ上げて笑って終った。
「な、な、何にがおかしい」
「いや何んでもない」
 小吉はこうした時の隠居を、妙にこう憎んだり、さげすんだりする気にはなれなかった。それがどうしてだかは、自分にもわからなかった。さっきもそうだ。隠居は屋敷を出る時に、奥様《おまえさま》の方へやっていって
「では、行って来るよ」
 とにこ/\して頭を下げた。奥様がまた
「お静かに」
 と手をついた。
「ふッ/\/\/\」
 小吉はそれを思い出してまた笑った。
「何にがおかしいのだ」
「いや何んでもない」
 星がすうーっと大きく流れた。
 柳島の梅林の殿村南平の家が近くなると、清明は
「御隠居様、危ないことではござりませぬか」
 と、耳へさゝやいた。
「これッ」
 と隠居は
「お前はどうして、そうわからぬ。わしが事は江雪様と云え。御隠居というてはならぬとあれ程聞かせてあるに、また、云うか」
「はい。すみませぬ事を申して終いました」
「気をつけなされ」
「はい」
 殿村の住居はまだ明々と行燈がついて、一つの窓に、月代を延ばした侍風の影法師が二つ並んで大きく映っている。
「ね、江雪様」
 と、清明はまた低い声で囁いた。
 隠居は
「心配する事はない。勝さんがついている」
 といった。小吉はにこ/\して
「わたしが呼ぶまで、この辺で待っているが無事かも知れないねえ」
「そうか。清明が心配するから、そうさせて貰おうか」
「それがいゝ」
 小吉はもう家の方へ歩いていた。
 清明は、隠居の手をひいて、そこからまた少しうしろの畑道へ退き戻った。そして野菜をまいて風よけに藁の垣根をしてあるところを見つけて
「こちらにお出でなされませ」
 といった。
「うむ」
 隠居もそこへ寄って、どっかりと地べたへ腰を落した。
「そ、それではお召物がよごれます」
「といっても、わしは肥っている。一つところにじっとしゃがんでは居れぬわ」
 清明はうなずいて
「よろしゅう御座ります。後程すゝぎ洗いに致しましょう」
 といった。隠居はうなずいた。が、眼はじっと家の方を射て、息を凝らすように肩を張っている。
 小吉は、ぬうーっと殿村の土間へ入って行った。
「おや、これあ、むごくお客だねえ」
「あ、か、か、勝様」
 奥の方から殿村が転がるように出て来た。泣きっ面《つら》であった。
「何んの客だえ。大護摩かえ。お前の祈祷は駄目だにねえ」
「いゝえ、いゝえ。あ、あの」
 小吉は、そこにいる浪人の一人々々を、妙にこう丁寧に見て行った。
「はっ/\は。違った/\」
 と笑って
「これあ、武者修業などと云いふらし実は破落戸《ごろつき》の上前をはねて廻る人達だねえ。おれもこの間、狐ばくちの用心棒に行ったが、あすこにいる者あ、みんな臭せえよ、ばくち場の匂いというは臭せえものだ。この人達あ、その匂いがしているねえ」
「何、何んだとッ?」
 五人一緒に立上った。もう刀の※[#「木+覇」]へ手をかけている。
「おや喧嘩かえ」
 と小吉は草履のまゝ飛上った。
 途端に、奥から、また五人、飛出して来た。
「これで、みんなかえ。もう一人いるだろう」
 と奥をすかし見た。
 護摩壇の横に、渡辺兵庫が、朱鞘の刀を抱いて、大きな眼で鏡をかけたようにこっちを睨んでいる。痩せた肩が上ったり下ったりしている。能勢の妙見で見た時よりはまたぐんと細って頬骨は高く眼が底深く引っ込んで唇に血の気もないし、膚の色もどす黒い。
「勝小吉だ。どうだ、お前ら、おれに恨みがある筈だ。尤もおれが方では恨まれる覚えはねえと思うがね。おう、渡辺先生、みんな気負っているよ、お前さん、坐っているはねえだろう」
 渡辺はやおら立ち上った。と同時に、二、三度、つゞけて軽い咳をした。小吉は一寸首を傾《かし》げた。
「病気かえ」
 兵庫は無言で、畳をするような足つきで小吉の真っ正面から近寄って来た。左右にわかれて前にいた十人が一人、二人、三人と、抜刀した。下段のもの、星眼のもの、尤もらしく|だらり《ヽヽヽ》と切っ先きを下げたもの。これへ行燈や裸蝋燭がめら/\と映って、虹が立っている。
 じり/\と小吉へ爪先きがほんの目に見えない位ずつ近づいて来た。
「か、か、勝先生」
 殿村が堪らないか、そう叫んだ。
「危ない」
 と小吉は
「外へ出ていろ」
 と叱りつけた。その声は腹へこたえるようであった。
「あ、あなた、危ない。あちらへ行ってはなりませぬ」
 隠居もまた畑の方で突立って、殿村の家へ行こうとするのを、清明がうしろから抱くようにして押さえている。
「内へは入らぬ、こちらから覗くだけだ」
「いゝえ、それでも危のうござります」
「隠居はしても岡野江雪、一人位は斬れるだろう」
「いゝえ、なりませぬ。こ、こ、江雪様に万一の事がございましたらこの清明はどうなります」
「そ、そ、それは」
「可哀そうではござりませぬか」
「いゝや、そのような取越苦労はするな。とにかく、おれは見て来る」
 家へ近づいたところへ、殿村がころがり出て来た。
「危ない、か、か、勝様が危ない」
「え? ほ、ほ、ほんとに危ないか」
「十一人を対手だ。みんな刀をぬいた」
 清明は、隠居の肥ったお腹へ顔をくっつけるようにして、前から力一ぱい抱きついた。
「い、い、行ってはなりませぬ」
「こ、これ放せ、放せというに——いゝえ、困った女子《おなご》だ」
 兵庫は、じり/\と小吉の前へ出て来た。
「勝、みんなお前のために江戸に居れなくなった男だ。おれは違う、おれは江戸が嫌やになったから出て行っただけだ。が、考えて見ると、やっぱりお前に追われたのかも知れない」
「おれが何にをした」
「江戸というところはな、塵芥《ちりあくた》のような奴がみんな塵は塵、芥は芥なりにくらして行くところなのだ。それでいゝのだ。お前はそれを住難くした覚えはないか。この十人が十人お前のために江戸を喰詰めた男だ。お前は恐らく顔も知らぬだろう。知っても知らなくても、お前のために江戸で食えなくなった事に間違いはない」
「馬鹿奴、おのれでおのが身の置きどころを無くし、その尻をおれがところへ持って来やがるかえ。こっちこそいゝ災難だ。がおれを斬る気でいるのなら、さ、斬るがいゝだろう。だが、ちょいと断って置くがねえ、おれは御旗本だよ。お前らのからだを流れているくだらねえ血とおれが血とは、ちいーっとばかり違うんだよ」
「うぬッ!」
 左右の丈の高い奴が、うまく呼吸を合せて、さッと双方から斬込んで来た。ちゃちゃーんと音がして、火花が散ったが、その刃の下にはもう勝小吉はいなかった。
 ものの五尺も飛びすさったと思うと、さっと稲妻のように自慢の国重を抜き放って、しかもこれをずばりと畳へ突立て、そのうしろに膝がしらをぴったり揃えて刻んだ石像のようにゆるぎない姿で坐っていた。
「ほーら見ろえ、うぬらで勝手に怪我をしやがった。一人は鼻が斬れてるじゃあねえか」
 とせゝら笑って
「お、渡辺兵庫、さ、おれが斬れるなら斬って御覧な。斬れなかったら諦めて、みんなをつれて、今夜の中にここを出ろ、いや、江戸を出るのだ」
 渡辺は頻りに頬を痙攣《けいれん》させている。眼がすわって鼻筋が雪のように真っ白くなっていた。がたがた小さくふるえているようである。
 しかし、二、三歩、やっぱり足を畳へするようにして出て来ると、間合を計って朱鞘からはじめてすうーっと抜いた。きらっと光った。小吉は睨みつけている。静かな呼吸であった。
 渡辺は、片手だ。一旦抜き下げた刀を一歩程また出て、今度は、徐々に宙を斬るような恰好で上段に構えを変えて行った。
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