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ぐうたら愛情学39

时间: 2020-10-10    进入日语论坛
核心提示:女のうわさ話 たいていの亭主は、勤めから疲れて帰宅したあと、細君から他人のうわさ話や悪口を聞くのがきらいだ。「山本さんの
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 女のうわさ話
 
 たいていの亭主は、勤めから疲れて帰宅したあと、細君から他人のうわさ話や悪口を聞くのがきらいだ。
「山本さんの娘さんね。一年前にお嫁にいった人よ。あの人、離婚されてもどったんですって。八百勝さんがそう話していたわよ」
 そういう時、へえ、とか、そうかいと答えてくれる亭主はまだマシなほうである。大半の亭主は、黙って夕刊でも読んでいる。
「あなたは……」
 と細君はいらだつ。
 他人のうわさをするのが悪いというのではない。男にとってやりきれないのは、たいていの女のする他人のうわさには、思いやり[#「思いやり」に傍点]というものが欠けている点である。自分だけの世界、自分だけの道徳、自分だけの感情に受け付けないものは、ただちに裁き、切り捨てるのである。「山本さんの娘さんが、離婚されてもどったからといって、その人だけの過失ではないかもしれないじゃないか」
「でも、あまりにだらしないから、追い出されたって話よ。掃除なんかもチャンとしないんですって。ご主人に汚れたワイシャツを着せて、平気だったんですって」
 ひょっとすると、その嫁は体が病弱だったのかもしれぬ。あるいは、その夫のほうにも落度があったのかもしれぬ。夫婦間の機微は、当人たちだけにわかることで、第三者が軽々しく批判できぬものなのだと、亭主は思う。
「いいじゃないか。他人さまのことは」
 と、彼はけんかをしたくないために、そういって話を打ち切ろうとする。
 しかし、自分の亭主が会社から疲れて帰った時、その疲労に神経を働かせないで、こんな話をしだす細君に、彼はいいようのない情けなさを感じる。
「わたしの話なんかバカにして聞いてくれないのねえ。うちには夫婦の対話がないんだわ」
 冗談ではない。人のうわさを一緒になって夫婦がやるのが対話なのかと、亭主は怒鳴りたいのをじっと我慢する。
 男からみると、女はどうして、あれほどロクでもない他人のウワサ話が好きなのだろう。主婦だけではない。会社の化粧室でも、女の子たちは絶えずそれをやっている。
「もう少し、マシな話ができんのか」
 と、たまりかねて亭主がいうと、女房は待ってましたとばかり反撃する。
「マシな話ができないようにしたのはだれ。あたしをいつも一人ぼっちにして家のなかに閉じこめておくからじゃないの。マシな話ができなくて悪かったわね。そんな方をお嫁さんにすれば良かったのに」
 そうなると、亭主はもうにが虫をかみつぶしたような表情で、
「うるさいな」
 と、つぶやくより仕方ない。
 もちろん、亭主だって細君にだれかの話をすることがある。
「オレの大学の後輩のA君だけれどね。父親の会社をやめて、一人で百姓をやるそうだ」
「なぜ」
「なぜって、会社で働くより、自分で畑を作りたかったんだろう。そのほうが、彼には意味があると思ったんだろう」
「へえ、せっかく、お父さまの跡を継いで、社長にもなれる将来をもっていたのに、そんなことをするの。Aさんって、少し、バカじゃない?」
 亭主は、じっと細君の顔をみる。そして、何と想像力のない女だろうと考える。
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