彼女たちは自分に都合の悪いこと、自分を正当化しえない亭主の弁解をまったく無視するという論理をもっています。例をあげて御説明しましょう。年末すでに諸君には御経験もあると思うが、すまじき宮仕えで、忘年会、二次会、三次会で諸君がクタクタに疲れて帰宅したとします。男ならば「本当に御苦労さまでした」といってあげたいところである。しかし女房たちには、これが全く解らない。
女房の論理
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(1)ウマイものを自分だけよそで食べてきた。
(2)妻や子供のことを忘れて一人で遊んでいる。
(3)自分だけイイ目をして家庭を犠牲にしている。
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亭主の弁解
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(1)あんなものはウマくない。上役に気を使って料理など味わうどころではない。
(2)遊んでいるのではない。これをやらねば交際がない男と思われるじゃないか。
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女房の結論
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故にあたしは不幸な女。亭主はエゴイストの男。
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この亭主の弁解は、女房にとってまったく無視される。そんなものは男の勝手なヘリクツと思う。どんなに口をすっぱくして言いきかせても女房の頭には、亭主が「自分だけウマイもの食べてきた……」これ以外にはまったくないのです。自分を正当化するために、相手の正しい弁解には耳をふさぐこの無視論理は女房のもっとも怖るべき戦法です。
逆算論理、比較論理、無視論理、これらをたくみに使いわけることによって、女房は自分を不幸な女と思いこみます。何をしてやっても、ビフテキをくわせてやっても、温泉に行かせても、永遠に彼女たちは不幸だと信じているのです。不幸だと思うのは彼女たちの勝手ですが、一緒に住んでいる亭主こそいいツラの皮というものでしょう。
では一体どうすれば、この女房の論理から、われわれは身を守ることができるでしょうか。ルリイ先生はその方法について話して下さいました。