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さすらいの女王26

时间: 2020-10-22    进入日语论坛
核心提示:生田博士に遺伝子を学ぶ(2)「うさぎさん、遺伝子っていうのはね、図書館なんですよ」 謎のような言葉を吐いて、生田氏はむふ
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 生田博士に遺伝子を学ぶ(2)
 
「うさぎさん、遺伝子っていうのはね、図書館なんですよ」
 謎のような言葉を吐いて、生田氏はむふふと微笑んだ。
「わかりますか?」
「わかりません」
「つまりね、こういうことなんですよ。図書館に行くと、本がたくさん並んでるでしょう? その本の一冊一冊が、遺伝子に書き込まれたデータだと想像してください。でも、そこに並んでいるだけで誰も引っ張り出して読まなければ、本に書き込まれた情報は活用されませんよね?」
「そうですね」
「そこなんですよ。遺伝子というのは、細胞の核の中にあるわけです。その核の中にホルモンが入っていって、そこにある本を開いて活用する。つまり、ホルモンが図書館を訪れて本を開き、情報を取り出さない限り、そこに書かれているデータはまったく活用されないんです」
「じゃあ、一生のうちに一度も開かれない本もある?」
「いっぱいありますよ。人間は必ずしも、遺伝子に書かれた情報をすべて活用しているわけじゃないんです。うさぎさんの遺伝子にAという情報が書かれている。でも、それは書かれているだけ。ホルモンがそのAという本を引っ張り出して開かない限り、うさぎさんの人格や体質にAという遺伝子の影響は発現しない。そして、そのホルモンは、うさぎさんの脳に命令されて図書館に行くんです」
「じゃあ、私のドーパミン受容体の遺伝子変異ってヤツも、もしかしたら全然発現してないかも……?」
「発現されない可能性もある、と。ドーパミン受容体の遺伝子変異を持った人が、すべて『センセーション・シーカー』になるとは限らない。穏やかで平穏無事な一生を送る可能性もあるんです。だから遺伝子に書かれたデータを調べることは、その人の傾向を知るよすがにはなるけど、その人が遺伝子に書かれたとおりの人間になるかどうかは判断できません。一生閉じたままの本かもしれないし」
 民よ、女王様は誤解していた。昔、ドーキンス博士の「利己的な遺伝子」説を耳にした時から、女王様は自分が遺伝子に支配された生き物であり、遺伝子に書かれたことには逆らえない、という、半ば「運命論者」的な思想を持っていたのである。だが、生田氏の解説によると、親からもらった遺伝子は変えられないものの、その遺伝子を使うかどうかは我々の脳が決めている、ということなのだ。これはまた驚愕の事実であるが、そんじゃ、アレか。自分の遺伝子の何をどう使うか、自分で意識的に操作することはできるのか?
「じゃあですね、図書館に行ってこれこれの本を出せ、というのは脳が命令するという話でしたけど、その脳は、何によってそんな命令を決定するんですか?」
「それは外的刺激とか、そういうものによってね」
「その刺激と命令の因果関係を把握していれば、意識的に自分の遺伝子の情報を活用したりとか、そういうこともできるんですか?」
「頭を使えば、できるね。たとえば自分の言葉と行動で脳は左右されるから」
「言葉?」
「そう。言葉は大事なんですよ」
 生田氏は身を乗り出し、ここからものすごく面白い話が始まるのだった。
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