もしかして今年の年末は、港区で、差し押さえキャンペーンでも開催中なのであろうか。
というのも、港区役所から住民税滞納で預金口座を差し押さえられた事件に続いて、同じく港区役所の国保年金課、さらに麻布税務署から、女王様の元に続々と「差し押さえ予告書」が送られてきたのである。
うーむ、どうしよう。とてもじゃないが、払えそうにないわ。女王様はもう、日本国民でいられないかもしれない。まぁ、よくよく考えたら、べつに日本国民でいたいってわけでもないんだけどさ。
ずっと以前、邱永漢氏から「あなた、香港人と結婚してるんだから、向こうに移住しなさい。日本の税金払ってるより、そっちのほうがいいですよ」というアドバイスをいただいたものだが、ちょっと本気で考えてみたくなった女王様だ。だって、税金、高いんだもん。しかも、その税金を滞納すると、すげぇ利率で延滞金がつくのよ。女王様が支払いに頭を痛めているのは、まさにその延滞金、約三百万円也。ちゃんと支払ったら、何に使ったか教えてくれよ、港区。納税が国民の義務なら、使途を説明するのはそっちの義務だろ。ま、女王様のような不良国民に、ご公儀に文句を言う資格などないかもしれん。言いたいことは税金払ってから言え、てなもんだ。
そこでまた思い出すのは、何年か前、政府税調前会長の加藤寛氏が、「どうして税金を払わなきゃいけないの?」という女王様の小学生みたいな疑問に答えて、「税金というのは入場料みたいなもんで、要するに国の政治に参加する権利を持つ、ということです」と説明してくださったことである。その時の女王様は「そうか、なるほど。税金を払えば、国の政《まつりごと》にも堂々と意見ができて、よりよい日本を作ることができるのね」などと納得したのであるが、あれからイラク戦争とか北朝鮮の拉致問題とかいろいろ見てるとさ、意見したい気持ちもどっかに行くよな。もう勝手にしろよ、あたし日本人じゃなくていいや、という気持ちになっちまう。税金は参政料なのであると考えたら、女王様、選挙権いらないから、その分、税金をまけて欲しいな。
そんなふうにボヤきながらも、この年末の超多忙時に、港区役所と麻布税務署に出頭せねばならぬ女王様である。なにしろ午後五時には閉まっちゃうから、大変だよ。締め切りに追われ、金策に追われ、税金に追われて、駆けずり回る年の暮れ。師走というより女王走だわ。寝不足だし、ホント、辛いの。
げっそりした顔で新宿二丁目の友人の店に顔を出したら、これまた女王様よりげっそりした顔のゲイが、会うなり倒れかかってきて、
「ちょっと、聞いてよ〜」
「どうしたの?」
「一昨日の夜、あたし、泥酔して歌舞伎町のホストクラブに行っちゃったらしいの。全っ然、憶えてないんだけど。それでね、昨日、鞄の中からカードの明細書が出て来てさ、その金額がなんと四十万円なのよ!」
「えっ、四十万円も!?」
「そうなのよ! あたし、本当に何にも憶えてないのよ! ああ、死にたい〜」
差し押さえられ女王とホストにカモられオカマで、その夜は痛飲したわ。バカって辛いわねぇ。皆様は、どうぞ、よいお年を!